2027年度 介護報酬改定の主要サービスの論点<小濱道博先生の介護特化塾 vol.19>
本コラムでは、介護経営コンサルタントとして、日本トップクラスの小濱道博先生が、介護業界の「知って得する」トピックスを取り上げて解説します。会計事務所の皆様に、介護マーケットの魅力・重要性のほか、介護特化を進めるためのヒントや戦略などを毎回お届けします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.154(2026.8)に掲載されたものです。
小濱介護経営事務所 代表
C-SR(一社)介護経営研究会 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問
小濱 道博 先生
2027年度介護報酬改定に向けた介護給付費分科会の審議では、各サービスの経営実態、利用者像、人材不足、加算の算定状況などが幅広く示された。訪問系サービスでは、地域ごとの経営条件の違いが大きな論点である。訪問介護は、都市部と中山間地域では移動時間や利用者密度が大きく異なり、人材不足の深刻さも一様ではない。全国平均だけで経営状態を判断せず、地域特性や事業規模を踏まえた評価が求められている。
訪問看護では、24時間対応や急変時対応を維持しながら、看護職とリハビリ職の役割をどう整理するかが問われている。訪問リハビリテーションでは、実施回数だけでなく、生活機能の維持や悪化防止といった成果をどう評価するかが重要である。LIFEの活用や多職種連携も、今後の評価に関わる可能性が高い。
通所系サービスでは、中重度者や認知症高齢者の在宅生活を支える機能が重視されている。通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護では、入浴や食事、レクリエーションだけでなく、機能訓練、口腔、栄養、家族支援まで含めた役割が問われている。通所リハビリテーションでは、リハビリ、口腔、栄養の一体的な取組や、退院直後の早期支援が論点である。
短期入所系では、本来の役割である家族の休息支援と緊急受入れ機能をどう強化するかが中心である。一方、連続60日を超える長期利用については、施設入所に近い利用実態との整合性が問われている。
小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護では、通い、泊まり、訪問を柔軟に組み合わせる強みを地域でどう広げるかが論点である。グループホームでは、協力医療機関との連携を実効あるものにすること、看取りへの対応、見守り機器を活用した夜間配置の柔軟化、地域の認知症支援拠点としての役割が焦点である。特定施設では、重度化や医療ニーズの増加に対応する体制、自立支援、看取りが主な論点である。
居宅介護支援では、ケアマネジャー不足への対応が最重要課題である。オンラインモニタリングやケアプランデータ連携システムを活用し、質を落とさず事務負担を減らす仕組みが求められている。
施設系では、特養、老健、介護医療院に共通して、協力医療機関との連携、感染症対応、看取り、リハビリ、口腔、栄養の一体的な支援が重視されている。老健では在宅復帰支援、介護医療院では長期療養と生活施設としての機能が改めて問われている。
全サービスに共通する大きなテーマは、報酬体系の簡素化である。算定率が低い加算の整理や統合、算定率が高く定着した加算の基本報酬への組み込みも含め、利用者に分かりやすく、事業者の事務負担を減らす仕組みが検討されている。 2026年秋以降は具体的な方向性が絞り込まれ、年末に基本的な考え方が取りまとめられる予定である。
小濱 道博
こはま・みちひろ/介護経営コンサルタントとして、全国各地で介護事業全般の経営支援、コンプライアンス支援に 特化した活動を行う。2009年にC-MAS 介護事業経営研究会の立ち上げに関与。 税理士、社労士など200を超す専門士業事務所との全国ネットワーク網を構築し、 国内全域の介護事業経営者へのリアルタイムな情報提供と介護事業経営の支援活動を行う。 介護経営セミナーの講演実績は、全国で年間300件以上。 書籍の大部分はAmazonの介護書籍で第一位を獲得。
