業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金について<President’s Report vol.11>

株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広

皆さまこんにちは、 
株式会社ビズアップ総研の代表取締役 吉岡高広です。

いつも弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
今回は、職場環境を改善するための助成金である業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金についてご紹介し、その相違点も解説したいと思います。

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げ、機械設備導入や教育訓練実施など、生産性向上施策を実施した企業を対象に助成金を支給する制度です。設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

支給対象は、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の中小企業・小規模事業者です。助成対象となる経費は生産性向上に資する設備投資全般で、具体的な事例にはPOSレジシステムやリフト付き特殊車両の導入などがあります。

支給金額は賃金の引き上げ額や引き上げる労働者数によって、上限が異なります。詳細は次の通りです。

*()は事業場規模が30人未満の事業者です。
出典:厚生労働省(令和6年度業務改善助成金のご案内)

また、助成率は引き上げ前の事業場内最低賃金によって、以下のように変わります。

出典:厚生労働省(令和6年度業務改善助成金のご案内)

一方、働き方改革推進支援助成金は、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備などに取り組む中小企業事業主に対して助成する助成金制度です。労働時間短縮・年休促進支援コースをはじめ、全4コースの助成金があります。

支給対象はコースによって異なりますが、労働時間短縮・年休促進支援コースでは、

  1. 労働者災害補償保険の適用事業主
  2. 交付申請時点で「成果目標」①から③の設定に向けた条件を満たしている
  3. 全ての対象事業場で、交付申請時点で年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則などを整備している

のすべての条件を満たす事業主が支給対象です。

助成対象となる経費は、就業規則などの作成・変更費用や労務管理用機器などの導入・更新費用など、労務の改善に必要な費用です。POSレジシステムや自動車修理業の自動車リフトなど、労働能率の増進に関わる設備・機器の導入費用も含まれます。

支給額はコースによって異なりますが、労働時間短縮・年休促進支援コースでは、上限金額は730万円です。労働環境の改善にかかる3つの成果目標と、賃金引き上げの達成に応じて加算される仕組みとなっています。詳細は次の通りです。

成果目標①(月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の縮減):上限額100万円〜200万円
成果目標②(年次有給休暇の計画的付与制度の新たな導入):上限額25万円
成果目標③(時間単位の年次有給休暇を新たに導入し、かつ、交付要綱で規定する特別休暇のいずれかを1つ以上新たに導入):上限額25万円

【賃金引上げの達成時の加算額】

*()内は、常時使用する労働者が30人を超える場合の助成額です。
出典:厚生労働省(働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース))

助成率は対象経費の合計額の3/4です。ただし、常時使用する労働者数が30人以下かつ、労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新などを実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5となります。

最後に業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金の違いについてご説明したいと思います。両助成金の最大の違いは、対象経費の方向性が異なる点です。 例えば、同じ設備投資の経費でも働き方改革推進支援助成金は労務の改善がメインの支給要件になるのに対し、業務改善助成金では、生産性向上(賃金改善)を目的とした設備投資が対象経費となります。

助成対象経費も異なります。例えば、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末と周辺機器は、業務改善助成金でのみ助成対象経費に含まれます。定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車も同様です。この点、設備投資に関しては、業務改善助成金の方が間口が広いといえるでしょう。

ただし、業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金は、助成対象とする設備投資が同じでなければ、併用申請ができます。職場の環境改善に頑張る企業の背中を押す制度設計になっているので、本社所在地を管轄する労働局の担当者や顧問社労士と相談しながら併用申請を検討すると良いでしょう。

当社のウェビナー(BizWebinar・ハイグレードセミナー)でも、業務改善助成金と働き方改革推進支援助成金に関する最新情報をご用意していますので、ぜひご活用いただければと思います。

今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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