働き方改革推進支援助成金2026とは?設定された5コースの概要と違い、申請手順及び期限、注意点など解説

働き方改革推進支援助成金2026とは?設定された5コースの概要と違い、申請手順及び期限、注意点など解説

厚生労働省が取り扱う「働き方改革推進支援助成金」は、生産性の向上を図りつつ、労働時間の削減や年次有給休暇の促進など、労働時間設定の改善に取り組む中小企業事業主に対して、その実施費用の一部を支援する制度です。

2026年度もすでに4月13日より申請受付が開始されています。

本記事では、働き方改革推進支援助成金2026について、設定された5コースの概要と違い、申請手続きや各手続きの期限、利用の際の注意点など、詳しく解説します。

目次

働き方改革推進支援助成金とは?

働き方改革推進支援助成金とは、残業時間の削減や有給休暇の取りやすい職場作り等に取り組む中小企業に対して、制度整備や設備導入に掛かった費用の一部を国が支援する制度です。

働き方改革推進支援助成金を活用することで、業務フローの見直しやITツール等の導入が進み、より効率化された業務体制の中で成果が出しやすい組織が構築でき、ひいては従業員の健康管理や働くモチベーションアップにもつながります。

こうした取組を通じ、中小企業は生産性向上と働きやすさの実現の両立が可能になり、持続的な事業の成長が期待できるようになります。

働き方改革推進支援助成金2026の全体像と目的

働き方改革推進支援助成金の目的は中小企業における労働時間の設定の改善及び促進です。

2026年は業種や目的別に5コース用意して、就業規則の整備や最新のITツール・設備等の導入を通じ、会社での仕事のやり方そのものを変えて合理化・効率化を進めていくことを図っています。

働き方改革推進支援助成金2026の対象コースと支援内容

2026年度における働き方改革推進支援助成金は以下の5コースがあり、それぞれ特定のターゲットと成果目標が設定されています。

ただし共通した項目もあり、「生産性向上」と「労働時間の改善」が必ずセットで進められることが求められています。

【コース名】

  1. 業種別課題対応コース
  2. 労働時間短縮・年休促進支援コース
  3. 勤務間インターバル導入コース
  4. 取引環境改善コース(今回新設)
  5. 団体推進支援コース

各コースの概要は以下の章で解説します。

参照先:働き方改革推進支援助成金申請パンフレット | 厚生労働省

1. 業種別課題対応コース

このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援しています。

時間外労働の上限規制が適用された業種や、長時間労働が課題となっている特定業種の中小企業を重点的に支援するコースです。

1.1 対象となる事業主

  • 建設業
  • 運送業
  • 医業に従事する医師
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
  • 情報通信業
  • 宿泊業

1.2 成果目標…以下の項目のうち、1つ以上の目標を達成する必要あり

  1. 月60時間を越える36協定の月の時間外労働・休日労働時間数の削減
  2. 所定外労働時間の削減
  3. 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入
  4. 時間単位の年次有給休暇制度と特別休暇を1つ以上新規導入
  5. 9時間以上(運送業のみ10時間以上)の勤務間インターバル制度(※)の導入
  6. 4週における所定休日を1日以上増加(建設業のみ)
  7. 働き方改革の推進(医師のみ)

(※) 勤務間インターバル制度については、以下の章の「勤務間インターバル導入コース」で詳しく解説します。

1.3 助成率及び上限額

項目算出方法
助成率・助成額上限額または対象経費の合計額に4分の3を乗じた額のいずれか低い金額
※常時使用する労働者が30人以下、かつ、30万円を超える設備導入の場合は5分の4
上限額選択した成果目標に各々設定されている助成上限額に、賃金引上げ加算制度における加算額を合計した額

参照先:業種別課題対応コース | 厚生労働省

2.労働時間短縮・年休促進支援コース

2020年4月1日から、中小企業に対して時間外労働の上限規制が適用されています。

このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援しています。

特定の業種に限らず、広く残業時間を減らし休みを取りやすくしたいと考えている中小企業に向けたスタンダードなコースです。

2.1 対象となる事業主

  • 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
  • 年5日の年次有給休暇の取得に向けて年休管理簿や就業規則等を整備していること

2.2 成果目標

  1. 月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減
  2. 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入
  3. 時間単位の年次有給休暇制度と交付要綱で規定する特別休暇を1つ以上新規導入

2.3 助成率及び上限額

項目算出方法
助成率・助成額上限額または対象経費の合計額に4分の3を乗じた額のいずれか低い金額
※常時使用する労働者が30人以下、かつ、30万円を超える設備導入の場合は5分の4
上限額選択した成果目標に各々設定されている助成上限額に、賃金引上げ加算制度における加算額を合計した額

参照先:労働時間短縮・年休促進支援コース | 厚生労働省

3. 勤務間インターバル導入コース

「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るもので、2019年4月から制度の導入が努力義務化されました。

このコースでは、勤務間インターバル制度の導入に取り組む中小企業事業主を支援しています。

3.1 対象となる事業主

  • 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
  • 36協定を締結しており、原則として過去2年間において月45時間を超える時間外労働の実態があること
  • 年5日の年次有給休暇の取得に向けて年休管理簿や就業規則等を整備していること

3.2 成果目標

  • 新規導入…新規に所属労働者の4分の1を超える労働者を対象とする勤務間インターバルを導入すること
  • 適用範囲の拡大…対象労働者の範囲を拡大し、所属労働者の4分の1または半数を超える労働者を対象とすること
  • 時間延長…所属労働者の4分の1または半数を超える労働者を対象として休息時間数を2時間以上延長して9時間以上11時間未満(または11時間以上)とすること

3.3 助成率及び上限額

項目算出方法
助成率・助成額上限額または対象経費の合計額に4分の3を乗じた額のいずれか低い金額
※常時使用する労働者が30人以下、かつ、30万円を超える設備導入の場合は5分の4
上限額選択した成果目標に各々設定されている助成上限額に、賃金引上げ加算制度における加算額を合計した額

参照先:勤務間インターバル導入コース | 厚生労働省

4. 取引環境改善コース(新設)

荷主集団などが、トラックドライバーの時間外労働の削減等のために、荷待ち・荷役時間の短縮に向けた取引環境整備の取組を実施した場合に、その荷主集団などに対して助成するものです。

荷主集団等の事業者を支援するとともに、トラックドライバーを応援することをめざしています。

4.1 対象となる事業主

  1. 代表事業主及び構成員を合わせて3者以上で構成された組織であること
  2. 代表事業主を含め、少なくとも1以上の荷主もしくは倉庫事業者及び1以上の運送事業者で構成されていること
  3. 組織として現に活動している、または今後具体的に活動することが見込まれる荷主集団であること
  4. 中小企業事業主の占める割合が構成員たる運送事業者の2分の1を超えていること

4.2 成果目標

助成対象となる取組内容について、荷主集団等が事業実施計画で定める改善事業を行い、運送事業主の2分の1以上に対して荷待ち・荷役時間及び労働時間の短縮に効果を上げること

4.3 助成上限額等

項目算出方法
助成額以下のいずれかの低い方の額対象経費の合計額上限額100万円

参照先:取引環境改善コース | 厚生労働省

5. 団体推進支援コース

中小企業事業主の団体や、その連合団体(以下「事業主団体等」)が、その傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主(以下「構成事業主」)の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組を実施した場合に、その事業主団体等に対して助成するものです。

事業主団体等の事業者を支援するとともに、構成事業主を応援することをめざしています。

このコースは個別の企業でなく、中小企業事業主の団体(事業協同組合等)を助成対象としていますので混同しないようご注意下さい。

5.1 対象となる事業主

  1. 3者以上で構成され、かつ1年以上の活動実績があるなどの要件を満たす事業主団体
    ア 法律で規定する団体、鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業に関連する団体
    イ 上記以外の事業主団体(一定の要件有)
  2. 10者以上で構成され、かつ1年以上の活動実績がある共同事業主
    ア 共同する全ての事業主の合意に基づく協定書を締結しているなどの要件を満たすこと

5. 2成果目標

助成対象となる取組内容について、事業主団体などが事業実施計画で定める時間外労働の削減または賃金引上げに向けた改善事業を行い、構成事業主の2分の1以上に対してその取組または取組結果を活用すること

5.3 助成上限額等

項目算出方法
助成額以下のいずれかの低い方の額対象経費の合計額総事業費から収入額を控除した額
(※)上限額500万円

(※)事例として、試作品を試験的に販売して収入が発生する場合などが該当する
参照先:団体推進支援コース | 厚生労働省

2026年度分に設定されている「賃金引上げ加算」について

団体推進コースを除き、各コースに共通して用意されている仕組みが「賃金引上げ加算」です。これは助成金の取組と併せて「事業場内最低賃金を3%以上引き上げる」等の規定を会社の就業規則に盛り込んだときに、本来の助成上限額にさらに上乗せしてくれる制度になります。

以下がその加算例です。

引上げ率加算額
3%以上6万円~最大60万円
5%以上24万円~最大240万円
7%以上36万円~最大360万円

この加算制度を活用することで、実質的な人件費負担を抑制しつつ、事業の生産性向上と従業員のモチベーションアップの両立が期待できます。

働き方改革推進支援助成金2026の交付申請など各種手続きについて

働き方改革推進支援助成金2026の交付申請から受給までの流れ、及び各種手続き期限は以下の通りです。

交付申請から受給までの流れ

働き方改革推進支援助成金は、支給方法が「掛かった費用を後で清算する」後払い形式ですが、手続きの中でも特に事前の手続きが重要です。なぜなら助成金は補助金のような審査による選別はなく、要件を満たせば原則支給される方式をとっているからです。

ただし手続き順序のミスや書類の不備で不支給になることも多いので、申請においては就業規則や賃金台帳など労務関係書類との整合性が問われます。

以下の図を参考に「交付申請から受給までの流れ」を良く理解して、また2026年度における各種手続き期限を意識した上で遅滞なく手続きを進めて下さい。

手続き期限等一覧

働き方改革推進支援助成金2026の手続き期限等は、以下の一覧表を参考に整斉と手続きを進めてください。

働き方改革推進支援助成金2026の利用上の注意点

働き方改革推進支援助成金2026を利用しようとする中小企業事業主、あるいは税務・会計等の業務を通じて中小企業と関わりを持つ方に対する本制度の注意点は以下の通りです。

現状の把握と書類の確認

本助成金の利用に際しては、申請要件を満たしているか、どのような成果目標を設定すべきか等を確認するために、以下のような労務関係書類をチェックして自社の現状を把握しておきましょう。

  • 36協定(時間外及び休日労働に関する協定届)
  • 就業規則
  • 賃金台帳

費用に係る相見積もりの取得を忘れないよう注意

改善事業の実施に要する費用を算出し、金額の妥当性を証明するためにも、2社以上の複数事業者から見積りを取得すること(相見積り)が必要です。また見積りを取得する際は、業者に対して納品時期の見込みも必ず確認するようにしましょう。

見積り時に納品時期の希望をあいまいにしていたら、後で思っていた以上に納品が遅れて、事業実施計画の変更申請をすることになるリスクもあるので注意して下さい。

専門機材やソフトウェアの購入ではきちんと説明できるよう事前準備

専門的な機材やIT等のソフトウェアを購入する場合には、どのように使うものなのか、どのような機能があるのか、通常どのようにして購入するものか等、専門知識がなくても本助成金の審査担当員が理解できるよう、事前に資料を整備するなど準備しておいて下さい。

不明点は最寄りの「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」に必ず質すこと

本助成金の利用に当たり、「どのコースを選んだら良いか不明」「就業規則の書き方がよく分からず不安」等の不明点があれば、最寄りの「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」に必ず事前に問い合わせしてから申請手続きに入って下さい。

都道府県労働局は申請書の提出先でもあり、具体的な要件の確認ができます。

また本助成金は「働き方改革推進支援センター」でも受付けしています。働き方改革推進支援センターは、全国47都道府県に設置されている“無料の専門相談窓口”で、働き方改革推進支援助成金の申請や労務改善をサポートしてくれる公的機関です。ここでは社会保険労務士などの専門家による相談が全て無料で受けられます。

申請期限前でも予算消化の進捗によっては事前締切りがあるので注意

本助成金は国の予算の範囲内で支給される助成金です。そのため、申請期限前でも予算額の上限に達した場合には予告なく受付が締め切られるリスクがあります。

本助成金を受ける予定のある中小企業者は、できるだけ早く申請準備を開始しましょう。また本助成金に係り、全てのコースに共通した点として「交付決定前に発注・契約・購入した経費は一切支給対象にならない」という基本原則があります。

必ず労働局からの「交付決定通知」を受け取ってから事業に着手または発注するよう注意して下さい。

費用の支払時には取引の詳細な書面・データを残すよう注意

費用を支払う際には、誰が誰に、何の取引で、いつ、いくら(内訳含む)支払ったかを必ず書面やデータに取って手元に残すよう心がけて下さい。

これらは助成対象経費の範囲を決める際の重要な判断資料になります。

仮に領収書に支払金額の合計額しか記載されておらず、審査官から指摘されて業者に品目や内訳を追加して再発行してもらった場合、予想を超えて審査に時間が掛かるリスクもあります。

不正受給は判明したら厳しい罰則があるので注意

本助成金は、もし不正受給したことが判明したら、厳しい罰則がありますので、安易に申請しないよう注意が必要です。支給前の場合には当然助成金は受けられませんし、支給後でも不正受給が判明したら、返還を求められます。

さらに事業主名も公表されてしまうので著しく会社の信用が傷つきます。加えて当該事業者には5年以下の懲役または100万円以下の罰金が処せられます。

まとめ

働き方改革推進支援助成金2026について、設定された5コースの概要と違い、申請手続きの流れや各手続きの期限、利用の際の注意点など、詳しく解説しました。

働き方改革は単なる労働時間の削減ではなく、限られた就業時間の中で従業員が最大の価値を生み出し、同時に健康で意欲的に働き続けられる会社となるための重要な経営戦略です。

働き方改革推進支援助成金2026を利用して、今の時代に合った中小企業の形態を作っていくことが重要になってきますので、要件を満たせる中小企業事業主はぜひ本助成金の活用をご検討下さい。

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