これから先も金利は上がる(小宮一慶先生 経営コラムVol.104)
本コラムでは、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が、経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.154(2026.8)に掲載されたものです。
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶 先生
6月15日、16日の日銀の政策決定会合で、「政策金利」が0.25%上がり、1.0%となりました。政策金利は、コールレート翌日物と呼ばれる金利で、1日だけ銀行間で貸し借りする金利です。そこに日銀が毎日介入し、資金の供給や吸収を通じて、現状では1%程度になるように調整をしているのです。それ以外の短期金利はこの政策金利にほぼ連動しています。皆さんの会社でもTIBOR(東京銀行間取引金利)をベースに借入れをしているかもしれませんが、これも政策金利に連動して動きます。
これに対し、長期金利の代名詞は「新発10年国債利回り」です。昨年1月には1.2%程度だったのが、この原稿を書いている時点では2.85%を超えています。数年前には、0%台でしたから、とても上昇しているのです。そして、短期金利、長期金利は今後も上昇することが予想されます。
まず、政策金利に連動する短期金利ですが、今後消費者物価の上昇が予想され、金利も上昇します。日本の消費者物価(生鮮除く総合)は、5月で前年同月比1.4%です。以外に低いと思う人もいると思いますが、これは、昨年末にガソリンの暫定税率がなくなったことと、電気・ガスの補助金が出ているためです。そして、3月半ばからはレギュラーガソリンをリッター170円に抑えるために、補助金が出ています。これらがなければ日銀は2.8%程度物価が上昇していると試算しています。
そして、物価はこの先上昇することが予想されます。イラン戦争でナフサ関連商品が目詰まりを起こし高騰し、国内企業物価は5月に前年比で6.3%上昇しています。また、輸入物価も円安や原油高の影響で5月には前年比25.5%上昇しています。これらのことを総合すると、補助金等が出ているものの、消費者物価は当面は上昇せざるをえないと考えられます。
そして、円安も是正しなければなりません。日米金利差が縮まらない限り、この円安のトレンドは変わらないと考えられます。そのためにも日銀は政策金利を上げます。どこまで上がるかの予想は難しいですが、1.5%程度を覚悟する必要があります。
そして、長期金利も上がります。高市政権が「秩序ある積極財政」を標榜していますが、「秩序」がなくなっているのが現状です。補助金だけでなく、今後、食料品にかかわる消費税を減税する予定です。ただし、国民会議の議論では、今の時点では財源は未定です。おそらくは国債増発しかないでしょう。そうなると長期金利は上がり、3%を超えてくるものと考えられます。 いずれにしても、長短金利の上昇を前提にした経営が必要です。
小宮 一慶
こみや・かずよし/京都大学法学部卒業。 米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス(現:セントケア)を経て独立。名古屋大学客員教授。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」をもとに幅広く経営コンサルティング活動を展開する一方で、年100回以上講演を行っている。経営・会計・経済・ビジネススキル等をテーマにした著書160 冊以上、累計発行部数は410 万部を超える。
