インフレ再加速、金利上昇に注意(小宮一慶先生 経営コラムVol.100)

本コラムでは、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が、経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.150(2026.4)に掲載されたものです。


株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶 先生

米国がイランとの開戦に踏み切りました。中東情勢が不安定化する中で、原油やLNGの価格が騰勢を強めています。1月にはバレル60ドル、2月には70ドル程度だった中東産原油の指標であるドバイ原油が一時120ドルを超える水準に達しました。G7の備蓄放出情報もあり、この原稿を書いている状況では80ドル台まで下落していますが、予断を許さない状況です。

心配なのは日本の物価です。2025年は3%前後で推移していた消費者物価ですが、今年1月には2.0%にまで下落しました。しかし、これは昨年12月末のガソリンの暫定税率廃止や、電気やガスの補助金の影響が大きく、食料品などは値上がりが続いています。コメも高止まりです。

そんな中での原油価格の上昇です。このままでは、ガソリン価格は暫定税率廃止を帳消しにするくらいの上昇をし、電気・ガスは今後は補助金がなくなることに加えて、原油やLNG高の影響を受けて大幅な上昇が予想されます。インフレの再燃です。

インフレが再燃すると、昨年1.3%下落した実質賃金のことが心配になります。実質賃金は実額である名目賃金からインフレ率を差し引いたものですが、4年連続でマイナスが続いています。インフレがひどくなると当然、実質賃金が下がります。それでは、これまでと同じものが同じ値段で買えなくなります。子供さんがいるような家庭では、食料などは量を確保せざるを得ないので、量を確保しようとすると質を落とさざるを得なくなります。

この春に、ある程度の賃金上昇は見込めますが、インフレはそれを帳消しにします。
そうするとインフレを抑え込むしかなく、日銀は政策金利(短期金利)を上昇させざるを得ません。おそらく、4月の政策決定会合で、0.25%金利を上昇させ、政策金利が1.0%になると考えられます。年末には1.25%まで上昇する可能性も低くありません。

また、政府はインフレ対策を行わざるを得ない状況となります。ガソリン、電気、ガスなどへの補助金を出すなどです。そうすると、もちろんその財源が必要です。それでなくても財政状況の悪い日本では、高市政権の「積極財政」の掛け声だけで、長期金利が大きく上昇しました。一時は10年国債利回りが2.3%にまで上昇。現状は少し落ち着いていますが、こちらも再上昇することが考えらます。 イランでの戦争の行方次第ですが、今後の原油価格、日本のインフレ率、金利からは当分目が離せない状況です。

小宮 一慶

こみや・かずよし/京都大学法学部卒業。 米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス(現:セントケア)を経て独立。名古屋大学客員教授。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」をもとに幅広く経営コンサルティング活動を展開する一方で、年100回以上講演を行っている。経営・会計・経済・ビジネススキル等をテーマにした著書160 冊以上、累計発行部数は410 万部を超える。

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