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65歳超雇用推進助成金(2026年度版)とは?制度の全体像、制度利用の注意点など詳しく解説

65歳超雇用推進助成金(2026年度版)とは?制度の全体像、制度利用の注意点など詳しく解説

少子高齢化の進展により日本の労働力人口は大きな減少局面に至っています。このような環境下、長年に渡る経験豊富な高年齢者が意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備は、企業の人手不足の解消や技能継承の観点から極めて重要なテーマといえます。

65歳超雇用推進助成金はこうした喫緊の課題を解決する手段として2016年(平成28年)10月19日に設けられました。本記事では、65歳超雇用推進助成金最新版(2026年度版)に基づき、制度の全体像や目的、各コースの要点、制度利用の注意点など詳しく解説します。

制度の位置づけと背景

65歳超雇用推進助成金は、高齢者が意欲と能力を発揮しながら長く働ける職場作りを支援する国の助成制度です。その目的は、少子高齢化による労働力不足が深刻化するなか、経験豊富な高齢人材を戦力として活用し、生涯現役社会を実現することです。

2025年4月には高年齢者雇用安定法が改正され、「65歳までの雇用確保が完全義務化」「70歳までの就業機会確保が努力義務化」となりました。これにより、企業は高齢者雇用の仕組みを整備する必要性が高まり、国はその取組を後押しするために本助成制度を継続・拡充しています。

2026年(令和8年)度も制度は継続しており、支給額の増額、要件緩和などを通じて企業がさらに利用しやすい方向で内容が改正されています。

制度の基本構造と共通条件

65歳超雇用推進助成金(2026年度版)は以下の3つのコースで構成されています。

  1. 65歳超継続雇用促進コース
  2. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
  3. 高年齢者無期雇用転換コース

またいずれのコースも助成を受けようとする企業は以下の共通条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険適用事業所である
  • 就業規則が書面で作成され労働基準監督署に提出済み
  • 就業規則等が従業員に周知されている
  • 定年制度がある場合には「60歳以上」に設定し、65歳までの雇用確保措置を導入
  • 高年齢者雇用安定法の規定に違反していない(高年齢者の雇用確保措置に関する勧告を受けていない)
  • 「高年齢者雇用管理に関する措置」を1つ以上実施

上記の共通条件は、高齢者が働き続けられる職場の基本的な土台であり、助成金支給の前提条件として審査で厳格に確認されるので注意が必要です。

以下は上記の3コースを一覧で総合比較したものです。

各コースの詳細は下記の章で解説しますが、まずはコースの概要を確認しておいて下さい。

65歳超雇用推進助成金(2026年度版)のコース概要

助成金活用のメリット

65歳超雇用推進助成金は、企業に対して金銭的支援だけでなく、以下のような実質的メリットをもたらします。

  • 熟練人材の確保…若手の労働力不足等による採用難のなか、経験豊富なベテランが継続して戦力となる
  • 技術・ノウハウの継承…若手労働者への技能伝承が進み、組織の生産性向上につながる
  • 企業イメージの向上…「長く働ける会社」は求職者にとっても魅力的で、採用ブランディングにも効果が見込める
  • 職場の一体感向上…高齢者だけでなく全社員が長く働ける安心感を得ることで職場の定着率が高まる

2026年(令和8年)度最新コース詳細

本章からは65歳超雇用推進助成金(2026年度版)に基づき、最新コースを体系的にまとめて解説します。

65歳超継続雇用促進コース

65歳超継続雇用促進コースは、定年引上げ・定年廃止、継続雇用制度導入など、高齢者が長く働ける制度を導入した企業を支援するコースです。

2026年は支給額が大幅に増額され、かつ支給要件も改善されています。さらに制度が設立されて以降、今日まで事業者の利用が最も多いコースです。

【支給額】(要点のみ)

支給額は「対象人数×措置内容」で決定されます。

区分A:65歳以上への定年引上げ
対象人数1~3人の場合…15万円~45万円
(中略)
対象人数10人以上の場合…30万円~140万円
※引上げ年齢が高くなるほど支給額も増えます。

区分B:定年の定めの廃止
対象人数1~3人の場合…60万円
(中略)
対象人数10人以上の場合…240万円(最大)

区分C:自社での継続雇用制度導入(66~70歳)
対象人数1~3人の場合…22万円~40万円
(中略)
対象人数10人以上の場合…90万円~130万円
※希望者全員対象か、基準該当者のみかで金額が変動します。

区分D:他社(※)による継続雇用制度導入
対象人数1~3人の場合…20万円~32万円
(中略)
対象人数10人以上の場合…70万円~105万円
※他社とは、当該企業のグループ会社や関連事業者等を指し、自社での雇用維持が難しい場合でも、
これらの他社と連携して継続雇用制度を導入すれば、本制度の対象となります。

【主な要件】

  • 就業規則等に制度を規定し、労働基準監督署に提出済みのこと
  • 申請日前日に「60歳以上の雇用保険被保険者」が1名以上在籍していること
  • 措置実施日の翌月から4カ月以内に申請すること

参照先:65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) | 厚生労働省
参照先:令和8年度65歳超雇用推進助成金のご案内 | 厚生労働省及びJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、55歳以上の労働者が能力を発揮できるよう、評価制度・賃金制度・研修制度・健康管理制度などを導入・改善した企業を支援するコースです。

【支給額】

実施した措置に応じて以下の金額が支給されます。

  • 職業能力評価制度の導入…60万円(中小企業)/45万円(大企業)
  • 短時間勤務・隔日勤務制度…30万円(中小企業)/23万円(大企業)
  • 在宅勤務制度…30万円/23万円(区分は上記に準ずる、以下同じ)
  • 研修制度…30万円/23万円
  • 法定外健康管理制度…30万円/23万円
  • その他の雇用管理改善…30万円/23万円

さらに制度整備に伴う機器導入費用は、中小企業の場合、経費の60%、大企業の場合には経費の45%(上限50万円)が支援されます。

【主な要件】

  • 「雇用管理整備計画書」をJEEDに提出し、事前認定されることが必須
  • 計画に基づき措置を実施し、終了後6カ月間の運用状況を記録すること
  • 60歳以上の雇用保険被保険者が、計画終了後も6カ月以上継続して雇用されていること
  • 機器導入費は申請日までに支払済みであること

参照先:令和8年度65歳超雇用推進助成金のご案内 | 厚生労働省及びJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)

高年齢者無期雇用転換コース

高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上の有期契約労働者を、期間の定めのない無期雇用へ転換する取組を支援するコースです。

【支給額】

  • 中小企業の場合、1人につき40万円
  • 大企業の場合、1人につき30万円

※1事業所あたり年度内10人まで

【主な要件】

  • 無期転換ルールを就業規則等に新設すること
  • 転換日に50歳以上・定年未満であること(64歳以上は対象外)
  • 有期契約期間が通算1年以上5年以内
  • 無期転換後6カ月以上継続雇用し、賃金を適切に支払うこと
  • 「無期雇用転換計画書」を計画開始3カ月前までにJEEDに提出し認定を受けること
  • 転換後6カ月分の賃金支給の翌日から2カ月以内に申請すること

参照先:令和8年度65歳超雇用推進助成金のご案内 | 厚生労働省及びJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)

2026年度の主な改正点

65歳超雇用推進助成金(2026年度版)は、65歳超継続雇用促進コースを核に改訂が行われ、企業にとってさらに大きく使いやすくなっています。

2026年度の主な改正点は以下の3つです。

【改正点1】支給額の大幅拡大
全般的に支給額の拡大が図られましたが、特に定年廃止は180万円から240万円に増額、さらに他社継続雇用も「実費補助」から「定額助成」に変更されています。

【改正点2】受給回数制限の撤廃
「1事業主1回限り」の制限がなくなり、過去に受給した企業でもより高い水準の取組を行えば再受給が可能となるよう改訂されました。

【改正点3】専門家委託要件の撤廃
以前の制度では外部コンサルタントへの支出が必須でしたが、今回の改定では外部委託なしでも受給が可能になりました。

各コース共通の申請の流れ

65歳超雇用推進助成金(2026年度版)の申請の流れは以下の通りです。

  1. JEED都道府県支部へ事前相談
  2. 計画書提出(必要コースのみ)
  3. 制度導入及び措置実施
  4. 支給申請(郵送・窓口及び電子申請)
  5. JEEDによる審査及び現況確認(ケースによる)
  6. 支給決定及び入金(通常は2~3週間かかる)

本制度を利用する際の注意点

65歳超雇用推進助成金を利用する際、申請企業や税務会計等の実務を通じた関係者が注意しなければならない点は主に以下の7つです。

申請期限の誤り

助成金では申請期限を誤って手続きすると、受給できないケースが発生しますのでご注意下さい。「措置を実施した翌月から4カ月以内」など、選択したコースによって申請期限や申請期間が異なっています。

提出後の各種書類は差し替え不可

JEED提出後の書類の差し替えは、各支部から補正依頼があった場合を除いて、基本的に認められていないので注意が必要です。

たとえば書類の提出後に各書類で整合性が取れていないことに気づいた場合、あるいは提出済みの就業規則の不備(規定不足等)、必要書類の記載漏れ等に気づいたときにも差し替えはできず、最終的に不支給になってしまうケースもあります。

場合によっては不正と判断されてしまうこともあるので、書類を提出する前には社内の事実と相違ないか、法律や助成金制度の趣旨に沿った内容となっているか、十分にチェックしてから出しましょう。

窓口の誤認に注意

一般的な助成金は都道府県労働局に問い合わせします。しかし65歳超雇用推進助成金は問い合わせ・申請先が異なっているので注意しましょう。

本補助金の相談及び申請窓口はJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)の各都道府県支部となっています。またJEEDの支部は都道府県によって所在が異なり、各県のポリテクセンター(職業能力開発促進センター)内か、ハローワーク内に置かれていることが多いです。

詳しくは以下の資料でご確認下さい。

参照先:相談・申請の窓口一覧(各都道府県の支部高齢・障碍者業務課) | 令和8年度65歳超雇用推進助成金のご案内 | JEED

助成金を当てにして資金繰りしない

本助成金は申請書提出後、審査終了まで3カ月程度時間を要しますので注意して下さい。(上記図「受給までの流れ」を参照)

助成金を当てにして、従業員の給与に充てようとしたり、助成金を前提に経費の支払を試算したりしているときには特に注意が必要です。助成金は全ての取組が終わった後に振り込まれるので、たとえば経費の精算では一旦先に自社で資金を工面して支払を済ませる必要があります。

それを助成金の受給を前提に資金繰りを組み立てていると、給与支給・経費精算等の支払で資金不足に陥る可能性が出てきます。くれぐれも会社の支払と助成金の受給のタイミングを間違わないようにして下さい。

他の助成金とは併用できない

本助成金は、原則、同一の対象者や同一の取組事由に対し、他の助成金(キャリアアップ助成金等)と重ねて受給はできません。ただし全く異なる事由の場合、他の助成金も受けられる可能性はあります。

詳しくは社会保険労務士等の専門家にご相談下さい。

年度途中でも予告なく受付停止される

本助成金は年度内であっても予算上限に達すると早期に受付が停止されるので要注意です。過去には2021年度で9月に新規受付が完全に終了・停止された例があります。

そのため受給を検討している企業は早めに申請をすることが鉄則です。

その他の注意点

本助成金に係るその他の注意点としては以下の通りです。

  • 従業員の要件不備(年齢等)、支給後の対象者の早期退職、高年齢者雇用推進者の選任漏れなどがあれば不支給や返還になるケースもあるので注意
  • 同一の理由で他の助成金を受けている場合は、供給調整で本助成金が支給されない場合がある
  • 申請に使用した書類は、支給決定の翌日から5年間の保存が義務付けられているので安易に廃棄しないよう注意
  • 不正受給が判明した場合、全額返還が求められると同時に事業主名も公表されるので、十分受給の必要性を検討してから申請のこと

まとめ

65歳超雇用推進助成金(2026年度版)について、制度の概要、各コースの詳細、制度利用の際の注意点など詳しく解説しました。65歳超雇用推進助成金(2026年度版)は、支給増額、要件緩和、再受給可能という大幅な改善が行われており、高齢者雇用を進めたい企業にとって極めて利用価値が高い制度となっています。

特に定年廃止の場合、受給額が最大240万円、継続雇用制度を導入すれば最大130万円、無期転換の場合には最大40万円など、企業規模を問わず実務的なメリットが大きいです。さらに高齢者雇用は、単なる助成金獲得にとどまらず、人材確保、技術継承、企業ブランド向上、組織の安定化などに直結する戦略的テーマになります。

本記事も参考にして、65歳超雇用推進助成金の利活用をぜひご検討下さい。

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