10万以上の購入品は経費計上できる?減価償却の特例についても解説
経費で落とせるのは、10万円まで。10万円以上の場合は備品として減価償却の対象となるとお考えの方が多いと思います。
ただ、減価償却には、一括償却資産の特例や中小企業者の少額減価償却資産の特例もあり、10万円以上の購入品を経費計上できることもあります。
この記事では、経費計上の基本と減価償却の特例について解説します。
経費に計上できるものとは?

経費とは、事業の売上を得るためにかかった費用のことです。仕事にかかったお金は、原則として、その年に全額を一括で経費計上(即時費用化)することができます。
一般的には「経費で落とす」と表現されます。経費計上を行うことで、売上から経費を差し引くことができ、課税の対象となる所得が減り、法人税や所得税が安くなります。
では、経費に計上できるものはどのような費用なのでしょうか。
主な費用は次のとおりです。
| 項目 | 詳細 |
| 旅費交通費 | 仕事のために支払った電車代や出張費 |
| 交際費 | 仕事の打ち合わせなどで取引先への接待にかかった費用 |
| 通信費 | 仕事で使うインターネット回線や通話料金などの費用 |
| 地代家賃 | 仕事で使う店舗やオフィスの家賃など |
| 水道光熱費 | 職場での水道や電気代などの公共料金 |
| 広告宣伝費 | 仕事の宣伝などに掛かった費用 |
| 福利厚生費 | 従業員の福利厚生のために掛かった費用 |
| 消耗品費 | 短期間で消費するもので固定資産にならない10万円未満の事務用品などの費用 |
経費に計上できるのは10万円未満?
経費に計上できるのは10万円未満のものまでと言われることがあります。では、10万円以上の購入品をその年に全額を一括で経費計上することはできないのでしょうか?
結論から言うと、10万円未満の購入品であれば、消耗品費として、購入した年のうちに経費に計上できます。一方、10万円以上の購入品の場合は、備品となり、原則として固定資産となることから、耐用年数に応じて減価償却を行い、数年間に分けて経費に計上する形になります。
消耗品とは?
経費に計上できる消耗品とは、原則として使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の購入品のことを言います。
具体例としては次のようなものが挙げられます。
| 品目 | 種類 |
| 事務機器 | パソコンのマウス、テンキー、USBメモリなど |
| 文房具 | 用紙、ノート、ボールペン、インクカートリッジなど |
| 清掃用品 | 洗剤、モップ、掃除機、雑巾、ゴミ袋など |
| 衛生用品 | 消毒液、除菌シート、マスク、せっけん、トイレットペーパーなど |
| 飲食関連備品 | プラスチック容器、紙皿、紙コップ、コーヒーフィルターなど |
| 工具類 | カッター、ドライバー、作業着など |
| その他 | スリッパ、時計、名札、ガソリン代など |
これらの購入品については、取得価額が10万円未満であれば、その年に全額を一括で経費計上することができます。
なお、一体となって初めて機能を発揮するものは、セットで10万円未満になるかどうかで判断します。例えば、ノートパソコンは、一般的な事務仕事で使うものであれば、10万円未満で購入することができますし、経費計上することもできることが多いです。
しかし、デスクトップPC本体とモニターのように、一体となって初めて機能を発揮するものについては、これらがセットで10万円未満で収まるかどうかで判断します。
それぞれの単体価格が10万円未満でも、その年に全額を一括で経費計上することはできないので注意してください。
10万円未満の金額に消費税は含むのか?
購入費が10万円未満であるかどうか判断する際に、消費税の金額は含まれるのでしょうか。
例えば、税抜き価格が95,000円の場合、消費税10%を含むと税込み104,500円となります。税抜き価格なら経費計上ができそうですが、税込みだと経費計上ができません。
このような場合は、会社の経理方式によって判定が異なります。
税抜経理方式であれば、税抜き価格が95,000円で判断するため、経費計上ができます。
一方、税込経理方式の場合は、税込み104,500円で判断するため、固定資産として減価償却する必要があります。
税抜経理方式と税込経理方式のどちらを採用しているかは、消費税について免税事業者か課税事業者かにより異なります。
免税事業者の場合は、税込経理方式しか選択することができません。一方、課税事業者の場合は、どちらかを選択することができます。一般的には、税込経理方式の場合は日々の経理処理が楽になりますが、経営状況の正確な把握が必要なら税抜経理方式を採用するのがよいとされています。
10万円以上の備品の経理処理方法は?

使用可能期間が1年以上で取得価額が10万円以上の備品は、原則として固定資産となるため、取得した年に経費計上することはできず、減価償却が必要になります。
また、原則として、償却資産税(固定資産税)の課税対象になってしまいます。
では、こうした備品はどのように経理処理したらよいのでしょうか。
備品の経理処理の方法は、3つの方法があります。
- 減価償却で処理する
- 一括償却資産の特例で処理する
- 中小企業者の少額減価償却資産の特例で処理する
それぞれどのような方法なのか確認しましょう。
減価償却で処理する
減価償却とは、事業のために使用されるもので時間の経過や使用により価値が減少する固定資産について、法定耐用年数により、減価償却費を計上する方法です。
法定耐用年数については、国税庁が発表している耐用年数表により確認します。例えば、パソコンの場合、一般用は4年、サーバー用は5年とされています。
減価償却費の計算方法は、主に定額法と定率法があります。
定額法は、毎年、均等額を減価償却費として計上する方法です。計算式は次のとおりです。
毎年の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
減価償却費が毎年同じなので、経理処理がしやすいという特徴があります。
定率法は、償却されていない金額に対して一定の償却率を掛けて減価償却費を計上する方法です。計算式は次のとおりです。
毎年の減価償却費 = 未償却残高(期首簿価) × 定率法の償却率
初年度は、取得金額全体に対して、償却率を掛けるため、償却費が多くなります。その後は、償却費が徐々に少なくなります。初期の節税効果は高いですが、計算方法はやや複雑になります。
減価償却で処理する場合の具体例
20万円の一般用パソコンを購入した場合、どのように減価償却するのか確認しましょう。
耐用年数表は4年なので、取得費の20万円を4年間で償却していきます。(なお、年度の途中で購入した場合は、使用した月数に応じて「月割り計算」を行いますが、この事例では、年度初めに購入したものとして計算しています。)
定額法の場合は、耐用年数が4年の償却率は 0.250(=1/4年)になります。
計算すると次のとおりです。
200,000円×0.250=50,000円
つまり、4年かけて5万円ずつ減価償却費として計上することになります。
定率法の場合は、4年の償却率は 0.500になります。
なお、定率法では計算額が「償却保証額(取得価額 20万円 × 保証率 0.12499 = 24,998円)」を下回る年以降は、改定償却率(1.000)を適用し、帳簿上に1円(備忘価額)を残して償却します。
計算すると次のとおりです。
- 1年目 200,000円×0.500=100,000円
- 2年目 (200,000円-100,000円)×0.500=50,000円
- 3年目 (200,000円-100,000円-50,000円)×0.500=25,000円
- 4年目 3年目終了時点の未償却残高(25,000円)に本来の償却率(0.500)を掛けると12,500円となり、償却保証額(24,998円)を下回ります。そのため、4年目は改定償却率(1.000)を適用し、備忘価額1円を差し引いた額を償却し、25,000円-1円=24,999円となります。
一括償却資産の特例で処理する
取得金額が20万円未満であれば、通常の減価償却ではなく、取得価額を3年間で均等償却することもできます。
3年間で取得価額を償却できることから、一般的には、法定耐用年数により減価償却するよりも節税効果が高いとされています。
また、定率法のようなややこしい計算をしなくてよいことから、減価償却費の計算が簡単であるという特徴があります。さらに、一括償却資産として処理したものは償却資産税の対象外となるので、税金面でさらに有利になります。
例えば、一般用パソコンを18万円で購入した場合、定額法の減価償却だと次のように計算します。
180,000円×0.250=45,000円
つまり、4年間かけて、45,000円ずつ経費計上する形になります。
一方、一括償却資産の特例を使った場合は、
180,000円÷3=60,000円
つまり、3年間かけて、60,000円ずつ経費計上できることになります。
さらに、償却資産税も掛かりません。
中小企業者の少額減価償却資産の特例で処理する
中小企業の場合は、40万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に、即時償却できるという制度があります。例えば、30万円前後の高額なパソコンを購入した場合でも、消耗品などと同じように、購入した年度に、取得価額の全額を経費として計上できてしまうということです。
この特例を受けるためには、個人事業主と法人のどちらでも青色申告が必要です。その上で、個人事業主については、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の「摘要」欄に「措法28の2」と記載する。
法人の場合は、法人税の確定申告書に別表と適用額明細書を添付する必要があります。なお、この特例を適用した減価償却資産については、償却資産税の対象になるので注意が必要です。
まとめ
経費計上の基本についておさらいし、10万円以上の備品を購入した場合の減価償却の原則と、一括償却資産、中小企業者の少額減価償却資産の特例について解説しました。
10万円以上の購入品は、その年に全額を一括で経費計上ができないわけではなく、いくつかの特例があります。会社員の方や自営業の方で、10万円以上の購入品について、どのように経理処理したらよいのか迷った際は、参考にしてください。
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