事業復活支援金を活用せよ!<税理士のヒヤリ・ハット体験談 第25回>
税理士法人 古田土会計 社員税理士
土田大輝
2022/4/25
第25回 『事業復活支援金』を活用せよ!締切りまで残り約1ヶ月!
中小企業庁から今年『事業復活支援金』という新しい補助金が創設され、1月31日からその申請がスタートしています。この支援金は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上高が一定割合以上減少したなどの要件を満たす個人事業者等や中小法人等(資本金10億円未満)に、最大250万円(個人事業主には最大50万円)を補助する支援金です。売上が低迷する中小企業を支える補助金として、いま非常に注目されている補助金の一つです。
今月のヒヤリハットは、この支援金の申請期限が5月31日(火)に、そして申請前に必要な登録確認機関による事前確認の実施が5月26日(木)に迫っているので、そのアラートとして記事を書かせていただきます。
【事業復活支援金の概要・特徴】
事業復活支援金の対象となる期間は、令和3年11月から令和4年3月までのいずれかの月で、その前年・2年前・3年前のいずれかの同月に対して
・50%以上の減少
・30%以上50%未満の減少
の2つの区分に応じて、給付額が決まります。この区分は下表をご参照下さい。
この支援金の特徴は、主に次の通りです。
① 売上の減少の理由が、新型コロナウイルス感染症の影響でないといけないこと。
② 飲食店もこの補助金の対象業種になっていること。
③ ただし上記②について、自治体からの時短要請に基づく協力金等の収入を当月(対象月)に受けている場合については、対象月には含めて、比較する基準月には含めないこと。
④ 申請期日は5月31日ですが、その間に申請できるのは一度に限られること。(ただし、一度『30%以上50%未満の減少』の区分で申請し給付を受けた申請者が、その後の月で50%以上の減少の区分で申請できることとなる場合には、その給付金の差額について再申請することが可能です)
⑤ 申請前に、税理士などの登録確認機関で事務局に登録したものが、申請内容を事前に確認するシステムがあること。
・・・等が挙げられます。その他詳細は、下記支援金HPをご参照下さい。
事業復活支援金HP
【事業復活支援金の税務上の収益計上時期について】
補助金や助成金・支援金については、「いつの収益計上になるのか」が税務においてポイントとなります。
<補助金の種類による収益計上時期の整理>
この補助金等の収益計上時期については、法人税法基本通達に則り、次の2つに大別されます。
① 経費の補填の目的の補助金等(例:雇用調整助成金)
雇用調整助成金など、経費の補填の目的があり、かつ予め所定の手続き(休業等計画届の提出など)を経て支給を受けるものについては、費用収益対応の観点から、休業等を実施した事業年度の収益に計上することとされています。
(例外として、この度“コロナ”で新設された雇用調整助成金の特例措置については、事前の計画届の提出が不要のため、休業実施事業年度又は支給決定・入金事業年度のどちらの収益計上でも、税務上認められます。)
② それ以外の補助金等
支給決定・入金事業年度の収益計上になります。
<『事業復活支援金』の当てはめ>
事業復活支援金は、上記の①②のどの区分になるのでしょうか。事業復活支援金は、②のそれ以外の補助金等に該当し、その支給決定・入金事業年度で収益計上になります。
なお、支給決定から入金までの日数がある場合ですが、少なくても入金日以前に支給決定通知があったものされるため、入金日の属する事業年度で収益計上することで差し支えありません。
私どもの税理士法人古田土会計でもお客様の事前確認を承っており、4月22日(金)現在で200件を超える、非常に多くのお客様の事前確認をさせていただいています。
お客様が現場で奮闘され、ご苦労されているのを、まさに肌で感じています。国が多くの予算を割り当て、この支援金を取り組んでくれました。要件に該当しないで申請する「不正申請」はもちろん排除しなければいけませんが、多くのお客様の苦労に報いることができるように、我々からこの支援金のことをお客様に提案していってほしいです。特に個人事業の方。支援金の存在自体を知らない方もいらっしゃいます。法人に比べて支援金の額は少ないですが、お手伝いすると喜んでくださると思います。
申請期日まであと約1ヶ月です。多くのお客様と一緒に喜べることを祈って、今回のコラムとさせていただきます。