会計業界の常識を変えていく。
BEEKCY SOLUTION株式会社「ワクワク」を生み出すハブ型事務所の挑戦 Vol.2

BEEKCY SOLUTION株式会社 代表取締役 綾部 雅祥
「減らす節税」から「増やす資産防衛」へ
10年連続満席セミナーが伝えるコンサルティングの本質
貴社の大きな強みの一つとして「相続セミナー」があると伺いました。
これはかなりの実績があるそうですね。
相続セミナーは、高知新聞企業さんとの共催で、もう10年以上、毎月開催しています。2014年の8月からスタートして、今でもキャンセル待ちが出るほどの人気です。当初は120人入るホールが満員でキャンセル待ちが出る状態でした。現在は30人規模のスペースで開催していますが、それでも毎月満席で、席を増やして対応している状況です。基本的には相続にまつわるテーマですが、レジュメはほとんど見ていません。参加者の反応を見ながら、現場で実際にあった相続トラブルの話や、老後の話、税務調査の実態など、生々しい話を交えて内容を変えていくので、「2時間があっという間だった」とよく言われます。他のセミナーのような堅苦しい税金の計算や商品の売り込みではなく、「大事な時のためのお金をどう残すか」に特化しているため、受講者からは「もっと早く出会いたかった」「目からウロコでした」「保険の概念が変わりました」という声を多数いただいています。本当にありがたいことです。
高知県とはどのようなご縁で繋がったのでしょうか。
2013年の1月頃、ジブラルタ生命さんが高知県で代理店を集めた初のイベントがあり、そこで私がお話ししたのが最初です。たまたまそれを見に来ていた高知新聞企業の部長さんが「今までいろんなセミナーを聞いたが、こんな話は聞いたことがない。ぜひうちの読者向けにやってほしい」と熱烈にオファーをしてくださったのです。第1回目は台風で私が高知に入れず、たまたま相続の概算の仕事で高知にいたうちの社員が代わりに最初だけ対応し、私が夜10時過ぎに到着して引き継ぐという波乱の幕開けでしたが、そこからずっと長いお付き合いが続いています。現在は高知城のすぐ下、高知大神宮、ひろめ市場の近くにオフィスも出しており、常駐はしていませんが、私が高知に行った際の生命保険やDXの相談窓口や拠点として活用しています。
10年も続き、キャンセル待ちが出るセミナーというのはすごいですね。
他の相続セミナーと何が違うのでしょうか。
一番の違いは「わかりやすさ」と「税金を抑えることだけを目的にしていない」という点ではないかと捉えています。多くのセミナーは「いかに税金を安くするか」に終始しがちですが、私は相続の「本質」を伝えることに重きを置いています。例えば、相続の現場の話も交えたりしながら、「本当に大事なのは財産を上手に引き継ぐこと」や「税金を抑えるよりも、資産を増やして解決すること」などを伝えています。
参加者はどのような層の方々ですか。
若い方からご年配の方、経営者はもちろん、その奥様、ハンディキャップをお持ちの方のご家族など、本当に様々です。また、高知県内だけでなく、県外からも同業者の税理士や保険代理店の方が見学に来られます。「同業者お断り」とするセミナーも多いですが、私は断る理由はないと思っています。私たちのノウハウを真似されたとしても、その先のお客様が喜ぶならそれでいいじゃないか、と。ちっちゃいことは言わず、どうぞ見てくださいというスタンスです。
一般的に保険は「出ていくお金」というイメージが強いと思います。
これをどう転換させているのでしょうか。
私はセミナーでよく、「お金がない人こそ保険に入るべきだ」とお話ししています。家族を持っている方が「どうやって家族にお金を残すか」と考えたとき、お金がない人が貯金をしてお金を作ろうと思っても、すぐには貯まりませんよね。もし今自分に何かあったら家族を守れないわけです。だから、お金がない人がお金を作るための第一歩として、保険は「絶対」なのです。特に終身保険は、100%確実にお金が入ってきます。セミナーではよくこんな例え話をします。
「皆さんに私が毎月1万円を払います。65歳まで払い続けます。その代わり、もし私が死んだら私の家族に500万円を払ってください。ただ、65歳になって私が死ななかったら、今まで払った保険料を返してくれと言うかもしれません。その時は100%とは言いません、95%でいいので返してください。こういう約束をしてくれますか?」
皆さん絶対に嫌がります。毎月1万円もらっても、いつ500万円払うリスクが来るか分からないし、65歳までお金を預かって結局95%返さないといけないなんて、全くメリットがありません。でも、保険会社に皆さんそのリスクを負わせているわけです。これほど契約者にとって有利なもの(権利)はありません。
なるほど。保険は「債務」ではなく「圧倒的に有利な権利」なのですね。
その通りです。保険会社から見れば、終身保険が増えれば増えるほど会社の債務が増えるようなものですからね。私たちは税金の計算をするためだけに存在しているのではなく、お客様の成長を後押しし、資金繰りやリスク管理をきちんとしてあげるのが本来の税理士の仕事だと思っています。もしクライアントの社長が急に亡くなって、会社に借金だけが残り、家族に何も残せなかったとしたら、「先生、今まで何を見てたんですか?」という話になりますよね。いざという大事な時にお金が回るように準備しておくこと、その中で保険は非常に重要な位置を占めているということをしっかり伝えていかなければなりません。
多くの方が「いかに税金を減らすか」に注目しがちですが、先生が推奨されている「手残りの資産を増やす」という考え方について、どのように説明されているのですか。
セミナーでもよく言うのですが、例えば、1億円の財産で300万円の税金を払って9,700万円残るのと、2億円に資産を増やして3,000万円(10倍の税金)を払って1億7,000万円残るのと、どちらが良いですか?と。当然、手残りが1億7,000万円の方がいいですよね。でも、皆さんは一生懸命9,700万円の方ばかり見ている。「減らす努力よりも、増やす努力をしましょう」というのが私の考えです。「なんで税金を減らすことばかり一生懸命考えているんですか? 財産は少しでも多い方がいいですよね。税金を多く払ってでも資産を増やしましょう」とお話ししています。
現実に資産をそこまで増やすことができるのでしょうか。
例えば死亡保険金を活用すれば、極端な話ですが入れたお金が倍になることもあります。1億円が2億円に増えれば、当然相続税も増えますが、手元に残る現金も圧倒的に増えますよね。金利がゼロパーセントや1%の時代なら税金を抑える方が効果的だったかもしれませんが、今のように(海外などで)4%で回っている時代に、税金を抑えることばかりにお金を使っていては一番効率が悪いです。もちろん、資産が10億円以上あるような超富裕層の方は税金対策で減らす効果も大きいですが、一般的な資産家の方であれば、20%税金を取られても残りがしっかり手元に残るよう、資産を「増やす」方向にシフトした方が絶対に良いのです。物価高や円安を実感している現在、預金に置いているだけではいかに目減りするか、多くの方が気付き始めています。
円安のお話が出ましたが、外貨建て保険なども積極的に提案されているのですか。
はい。私自身、もともとは外貨建て保険には為替リスクがあるから嫌だと思っていました。しかし、ある時お客様から「S生命の学資保険より良い商品はないか」と相談され、真剣に為替リスクの損益分岐点を計算してみたのです。すると、「外貨建て保険ってめちゃくちゃいいじゃないか」と気づきました。当時は1ドルが70円台の時代でした。その時にお客様に提案してご加入いただいた方々は、現在1ドル160円を超え、資産が倍以上になりめちゃくちゃ喜ばれています。「お宝保険」ですね。当時でさえ「為替リスクがあるから」と入らなかった人もいましたが、プロとしてリスクを正確に伝え、不安を払拭してあげることが大切なのです。今でも投資信託の前に、まずは変額保険などで死亡保障を確保しながら運用を始めることをお勧めすることが多いです。現在は主要な保険会社11社ほどの代理店として、各商品の特徴を見極めながら、お客様の人生観に合わせたプランニングを行っています。
セミナー後には個別相談も設けられているのですね。
午後からは、一人1時間で個別相談を受けており、もともと税務署で資産税を担当していた提携税理士の先生に来ていただいて税務の相談を受けたり、司法書士さんと連携したりしています。

なかには、「何に困っているのか自分でもよく分かっていないけれど、とにかく不安だ」という方もたくさんいらっしゃいます。そういう方の話をじっくり聞き、カウンセリングのように意見を整理してあげることも私たちの重要な役割です。時には「相手が悪い」と思い込んでいる方に、ご自身の行動を振り返っていただくようお話しすることもあります。
そのような相談は、直接的な利益には結びつきにくいのではないでしょうか。
おっしゃる通り、ほとんどは直接の仕事にはなりません。社員の中には「そんな相談を受けても何の仕事にもならないじゃないか」と言う者もいましたが、困っている人に何らかの光を見せてあげることは絶対に大切です。それに、色々な方の人生相談を受けることは、自分自身の経験値(疑似体験)となり、必ず後々のプラスになります。こうした活動を大切にしてきたからこそ、巡り巡って紹介が集まり、結果的に相続や生保の見直しなど、年間300件にのぼる相続の概算業務といった大きな仕事に繋がっていると感じています。
高知ではJA(農協)でのセミナーもされているそうですが、やはりこれも自社の保険販売には直結しないですよね。
JAさんの共済商品は私たちが販売できるわけではないので、「何のメリットもないでしょう?」とよく言われます。もちろんセミナー講師としての謝礼はいただきますが、一番の目的は、社員や組合員さんたちにきちんとした知識や情報をお伝えし、社会貢献をすることです。高知県の方々が正しい知識を持ち、JAの共済だけでなく様々な手当てができるようになれば、それは高知県に対する社会貢献であり、ひいては生命保険業界や税理士業界全体の信用にも繋がります。種をまいてから芽が出るまでが長い業界だからこそ、丹念に水をやり、大切に育てていくことが重要なのです。「非効率で経費の無駄」と言われるかもしれませんが、お客様のためを思って一生懸命やっていれば、結果的に巡り巡って返ってくると信じています。
出張の際には、必ず現地の神社にお参りされると伺いました。
ええ、会社を引き継いでからずっと大切にしています。新しい土地で仕事をさせていただく際は、必ず地元の神様にご挨拶をして、「今日はこちらで仕事をさせていただきます」とお伝えします。もともとそういうものを深く信用するタイプではなかったのですが、以前、ある地域の神社の近くで仕事が入った際にお参りしたところ、そこから運気が変わり始め、毎年その周辺で仕事が入るようになったのです。先代から引き継ぎ新オフィスを急遽探さなければならなくなった時も、絶望的なスケジュールの中で、この事務所ですが奇跡的に良い物件が見つかり、内装工事から事務所見学会の受け入れまで全てがパズルのように完璧にハマったのです。東京出張の際も、小網神社や江島神社などに行き、パワーをいただきながら自分自身の心を綺麗にし、「いい加減な仕事はしません」と誓うようにしています。味方にできるものは全部味方につけようと思っています(笑)。
「先生」から、真のパートナーへ。
未経験の若手が躍動する50名体制の未来像
税務・コンサル業務の実務は、現在どのような体制で回されているのでしょうか。
私以外のスタッフ、パートを含めて約22名が実務を担当しています。ルーティン業務はパートスタッフや派遣、あるいは外部委託やDX(マネーフォワード等の会計システム導入)を活用して徹底的に効率化をはかっています。そうして空いたリソースを使って、正社員の担当者2名体制で、コンサルティングや相続の財産診断など、付加価値の高い業務にしっかりと時間を割けるようにしています。新規の営業活動はほとんどしていません。

セミナーからの流入や、既存のお客様からのご紹介、また生保やDX・記帳代行からの入り口で十分にお仕事をいただいており、逆にお断りすることもあるくらいです。何でもかんでも受けてしまうと、信頼してくださっている既存のお客様にご迷惑がかかってしまうからです。現在は、他の業種に手を広げるよりも、税務や経営コンサルティングのレベルを徹底的に底上げしていく準備段階と位置づけています。
働き方についても柔軟な姿勢をお持ちだと伺いました。
基本的には、結果さえ出せればフレックスタイムでもいいですし、その人のスタイルで働けるのが一番だと思っています。家庭の事情など、人それぞれいろいろな背景がありますから。実際にあった例ですが、大きな病気をして働けなくなった社員が「また働きたい」と言ってくれた時、週2回、1日1〜2時間からでもいいよと復帰を受け入れました。私はその人に合った形で能力を発揮できる環境を作りたい。柔軟に対応し、誰もが楽しく仕事ができる場を提供し続けることが、会社を存続させるためにも不可欠だと考えています。
採用については、どのような人材を求めていますか。
現在、新卒採用に力を入れています。一昨年から新卒採用を始め、今年も2名内定しており、来年もコンスタントに採用していく予定です。採用で一番重視しているのは、「素直か」「明るいか」「向上心があるか」という点です。一流大学の法学部出身など学歴や資格の有無は全く気にしていません。会社に入ってから一生懸命勉強して結果を出してくれれば良いのです。反対に、会計事務所での経験者は極力採用しないようにしています。経験があると「自分の仕事はここまで」と勝手に枠を作ってしまい、発想が狭まってしまったり、なまじ経験があるからこその悪い癖がついていたりすることも多いからです。何色にも染まっていない若い力を育て、20代、30代のうちから勝負ができる人間を育てていきたいと考えています。これからの時代は、特にそこが大事ではないかと個人的に感じています。
社員の皆様には、「お客様と同じ目線に立つ」ことの重要性をどのように伝えていますか。
この業界は、若いスタッフでも年配の社長さんと普通にお話しできるという特殊な恵まれた環境にあります。しかし、お客様から「先生、先生」と呼ばれ続けると、人間ですからどうしても高揚して慢心してしまう危険性があります。だからこそ、「決して先生ではなく、パートナーなんだ」ということを常に意識するように指導しています。私自身も過去に痛い思いをして経験してきたことですから、自分を過信してはいけないと口酸っぱく言っています。もちろん「お客様は神様だから」とへりくだるということではなく、お客様が間違ったことを言っていればきちんと正す、本当の意味での対等なパートナーシップを築くことが大切です。
最後に、今後の会社のビジョンをお聞かせください。

まずは、今の若いメンバーを育て上げ、組織として50名体制を目指したいと思っています。個人的な目標としては、いずれは一線から退いて、社員たちが仕事をするのをしっかり見守りながら、私自身は別の分野の勉強をして、さらにレベルの高い情報や環境を社員に提供できるような立場になりたいです。そして何より、「社会貢献ができる会社」であり続けたい。企業としてしっかり利益を出すことが社会貢献ですし、稼いだお金を社会に還元すること、そして優秀な人材を育てることも大きな社会貢献です。志を同じくする全国の会計業界の皆さんたちと切磋琢磨しながら、中国・四国地方の要の事務所となるよう、しっかりと役割を果たしていきたいと思っています。
| プロフィール |
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