投資促進税制の留意点<カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 第3回>

佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏

2021/10/20

第3回:カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の留意点


カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の概要については、前回ご案内のとおり、
 
青色申告書を提出する法人で、認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者であるものが、

改正産業競争力強化法の施行の日から令和6年3月31日までの間に、

認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された生産工程効率化等設備等の取得又は製作若しくは建設をし、国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、

その供用年度において、一定額の特別償却又は税額控除の適用を受ける事が出来る。
 
というものですが、今回は、次の留意点等についてお知らせ致します。
 
1、税法と産業競争力強化法
上述にある認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者とは、
 
産業競争力強化法第21条の16第1項に規定する認定事業適応事業者のうち、

認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に、

その認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に従って行う同号に規定するエネルギー利用環境負荷低減事業適応のための措置として生産工程効率化等設備等を導入する旨の記載があるもの
 
をいいます。

そのため、
・認定事業適応事業者に該当するのか。
・認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画とはどのようなものなのか。
という事等を理解していなければなりません。
 
そのため、関連条文が記載されている税法だけではなく、産業競争力強化法も抑えておく必要があります。
 
2、事業適応計画の申請及び認定
青色申告書を提出する法人で認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者が、
事業所管大臣へ事業適応計画を申請し、認定を受ける必要があります。
 
3、確定申告書類への記載及び添付
確定申告書等に、次に掲げる書類の添付がある場合に限り適用されます。
※下記(2)については、この制度により控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、その修正申告書又は更正請求書を含みます。
(1) 特別償却の適用を受ける場合(租税特別措置法42の12の7⑧)
生産工程効率化等設備等の償却限度額の計算に関する明細書
(別表十六(一)又は別表十六(二)及び特別償却の付表)及び財務省令で定める書類
(2) 法人税額の特別控除の適用を受ける場合(租税特別措置法42の12の7⑨)
生産工程効率化等設備等の取得価額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細書(別表六(三十二))並びに財務省令で定める書類
 
4、適用開始時期と法律案の可決・成立状況等
このカーボンニュートラルに向けた投資促進税制等の適用にあたっては、事業適応計画の認定が必要であり、その計画の認定制度がスタートするのは、改正産業競争力強化法の施行日からとなっています。
この第3回原稿の執筆時点では、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案が6月9日の参議院本会議で可決・成立しましたが、今回の原稿が公開される時点で施行日等の詳細が決定している場合があります。
 
<出典元>
環境省:
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて

経済産業省:
令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について

財務省:
「令和3年度税制改正(案)のポイント」(令和3年2月)

国税庁:
令和3年度法人税関係法令の改正の概要

産業競争力強化法
租税特別措置法
租税特別措置法施行令
財務省令
その他関連法令
 

※本記事は2021年5月時点の情報に基づいて作成しております。

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