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ジャングリアは173億円の赤字?ディズニー・USJとの比較で見るテーマパーク経営

ジャングリアは173億円の赤字?ディズニー・USJとの比較で見るテーマパーク経営

2025年7月に沖縄県北部で開業した「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」をめぐり、2026年9月、運営会社の親会社であるジャパンエンターテイメントホールディングスが約173億円の最終赤字だったと報じられました。来場者数も当初想定の年間150万人に対して約100万人にとどまったとされ、テーマパーク経営の難しさが改めて注目されています

ただし、「ジャングリアが173億円赤字だった」とだけ捉えるのは正確ではありません。約173億円は親会社の最終赤字であり、実際にパークを運営する子会社ジャパンエンターテイメントの最終赤字は約89億円だったと報じられています。親会社側の損失には、子会社株式の評価損なども含まれています。(参照:ジャングリア沖縄親会社が約173億円の赤字 | FNNプライムオンライン – 2026年9月25日)

また、ジャパンエンターテイメントホールディングスは上場企業ではないため、オリエンタルランドのように詳細な決算説明資料を一般向けに開示しているわけではありません。そのため、173億円という数字についても、公開IR資料から損益計算書の内訳まで検証できる状態ではなく、株主総会についての報道ベースで見る必要があります。現に、同社の公式HPには今回の報道を受けて「当社は現在も通常通り営業を行っており、今後もパークの運営を継続してまいります。」との声明を出しています。(参照:当社に関する一部報道について | 株式会社ジャパンエンターテイメント – 2026年9月25日)

では、ジャングリアの数字は東京ディズニーリゾートやUSJと比べるとどのように見えるのでしょうか。入場者数やチケット価格、売上高などを確認しながら、テーマパーク経営の特徴を見ていきます。

ジャングリアの「173億円赤字」は何を意味するのか

ジャングリア沖縄は2025年7月25日に開業しました。2026年9月の株主総会についての報道では、開業後およそ1年間の来場者数は約100万人で、当初見込んでいた年間150万人を下回ったとされています。

一方、決算については、運営会社であるジャパンエンターテイメントが約89億円の最終赤字、親会社のジャパンエンターテイメントホールディングスが約173億円の最終赤字だったと報じられています。

項目公表・報道されている数字注意点
来場者数約100万人
(併設スパの利用者を含む)
開業後約1年間
当初想定年間約150万人株主総会についての報道値
運営会社の最終損益約89億円の赤字ジャパンエンターテイメント
親会社の最終損益約173億円の赤字評価損などを含む

このため、173億円をそのまま「パーク営業による損失」と考えることはできません。最終損益には営業段階の損益だけでなく、減価償却費や支払利息、評価損なども影響します。まして親会社の最終赤字と、テーマパーク単体の営業赤字は同じものではありません。

現時点では詳細な決算資料が一般公開されていないため、売上高の規模やチケット収入と飲食・物販収入の構成、人件費、減価償却費、営業キャッシュフロー、さらに173億円のうち評価損がどの程度を占めるのかまでは確認できません。数字の大きさだけで経営状況を判断するには情報が不足しています。

ジャングリア・ディズニー・USJの規模を比べる

3つのテーマパークは立地や開業時期、施設規模が大きく異なるため、単純比較はできません。それでも、来場者数やチケット価格を見ると、ビジネスモデルの違いは見えてきます。

東京ディズニーリゾートは、2026年3月期に東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの2パーク合計で2,753万4,000人を集客しました。オリエンタルランドのテーマパーク事業売上高は5,683億4,500万円で、ゲスト1人当たり売上高は18,403円です。(参照:業績予想 | 株式会社オリエンタルランド)

USJについては、運営会社が非上場であるため、ディズニーのような詳細な売上高は公開されていません。一方、外部統計では2024年の来場者数が約1,600万人と推計されており、国内でも最大級の集客力を持つテーマパークです。

ジャングリアは開業後約1年間で約100万人と報じられており、来場規模ではディズニーやUSJとの差が大きいことがわかります。ただし、ジャングリアは開業初年度であり、既存の大型テーマパークと同じ成熟度で比較することはできません。

チケット価格だけでは売上規模は分からない

2026年9月時点で、ジャングリアの国内在住者向け1Dayチケットは大人6,930円です。USJの1デイ・スタジオ・パスは大人8,400円から、東京ディズニーリゾートの1デーパスポートは大人8,900円からとなっています。

価格だけを見ると、ジャングリアはディズニーやUSJより安い水準です。しかし、テーマパークの収益は入場券だけで決まりません。

例えば、ディズニーの2026年3月期のゲスト1人当たり売上高18,403円の内訳は下記の通りです。

アトラクション・ショー収入…9,608円
商品販売収入…5,227円
飲食販売収入…3,569円
合計 18,403円

つまり、1人の来園者から得る売上は、入場料だけではありません。園内での飲食やグッズ販売、有料体験、周辺施設の利用などを積み重ねることで、1人当たり売上高を高めています。ジャングリアにもプレミアムパスやスパなどの追加サービスがあります。

このため、単純に「100万人×6,930円」で売上高を推計することはできません。反対に、チケット収入だけを見ても、実際の収益力は分からないということです。

ディズニーは「人数」だけでなく1人当たり売上も伸ばしている

(引用:2027年3月期第1四半期決算 | 2026年7月30日株式会社オリエンタルランド)

テーマパーク経営を考えるうえで参考になるのが、東京ディズニーリゾートのIRです。

2026年3月期の入園者数は2,753万4,000人で、前期とほぼ同水準でした。それでもオリエンタルランド全体の売上高は過去最高となりました。テーマパーク事業でも増収となっており、その背景にはゲスト1人当たり売上高の増加があります。

成熟したテーマパークでは、来場者数を増やすだけでなく、1人の来園者が園内でどの程度消費するかも重要になります。チケット価格の調整、限定グッズ、飲食、プレミアムサービスなどを組み合わせれば、来園者数が横ばいでも売上を伸ばす余地があります。

この点はUSJにも共通します。USJでは需要に応じたチケット価格が設定されており、2026年9月時点の1デイ・スタジオ・パスは8,400円からです。テーマパークの収益性を見るときは、「何人来たか」だけでなく、「1人当たりいくら使ったか」を確認する必要があります。

来場者数が少ないと固定費の負担が重くなる

テーマパークは、来園者が少ない日でも一定の費用が発生します。大型アトラクションや建物の維持管理、スタッフの人件費、清掃、警備、電気代、広告宣伝費などです。大規模な設備投資を行っていれば、減価償却費や金融費用も発生します。

こうした固定的なコストが大きいビジネスでは、来場者数が想定を下回るほど、1人当たりが負担する固定費が重くなります。

たとえば年間固定費が100億円だと仮定すると、来場者100万人なら1人当たり1万円、1,000万人なら1人当たり1,000円です。実際のテーマパーク経営はこれほど単純ではありませんが、集客規模が損益に大きく影響する理由はイメージしやすいでしょう。

ジャングリアについては、当初想定150万人に対して来場者数が約100万人にとどまったと報じられています。来場者が3分の2に減れば、入場料だけでなく、飲食や物販、追加サービスの利用機会も減ります。開業初年度のように固定費負担が大きい時期ほど、想定との集客差が収益に与える影響は大きくなります。

3施設を比べると見えてくること

ジャングリア、東京ディズニーリゾート、USJの特徴をまとめると、次のようになります。

ジャングリア沖縄東京ディズニーリゾートUSJ
年間・年間相当来場者数約100万人※2,753万人約1,600万人※
大人1日券6,930円8,900円~8,400円~
(10月入園分以降は8,900円から)
売上高詳細非開示テーマパーク事業5,683億円非開示
1人当たり売上高非開示18,403円非開示

※集計期間・出典が異なるため、厳密な横比較ではありません。ジャングリアは開業後約1年間の報道値です。ディズニーは2026年3月期実績、USJは外部調査による推計値です。

ディズニーは上場企業のため、来園者数や1人当たり売上高、事業別売上高まで細かく確認できます。一方、ジャングリアとUSJは非上場企業が運営しており、公開情報の範囲が限られています。この違いも、3施設を比較するときには押さえておきたい点です。

ジャングリアの173億円赤字から見るテーマパーク経営

ジャングリアをめぐる約173億円の最終赤字は、ニュースの見出しとしては非常に大きな数字です。ただし、この数字だけでテーマパーク事業の成功・失敗を判断することはできません。約173億円は運営会社そのものではなく親会社の最終赤字で、パークを運営する子会社の最終赤字として報じられているのは約89億円です。親会社側には子会社株式の評価損なども含まれており、公開情報だけでは赤字の内訳を細かく分析することはできません。

また、テーマパーク経営では来場者数だけでなく、チケット価格や園内での飲食・物販による1人当たり売上高、固定費、設備投資、営業利益、キャッシュフローなどをあわせて見る必要があります。

開業初年度は立ち上げコストや設備投資の負担が重くなりやすいため、初年度の赤字だけで長期的な採算性を判断するのも適切ではありません。一方で、今後も来場者数が伸びなければ、固定費負担が経営を圧迫する可能性があります。今後は、来場者数がどこまで伸びるのか、リピーターを確保できるのか、1人当たり売上高を高められるのか、営業段階で利益を出せる収益構造をつくれるのかといった点を見ていく必要があります。

今回の173億円という数字は、テーマパークが単に「多くの人を集めれば成り立つ」ビジネスではなく、集客、客単価、固定費、投資負担を同時に管理する必要がある事業であることを考える材料の一つといえるでしょう。

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