重ならない“円”から始める挑戦
会計事務所とエンジニア集団がタッグを組んで切り拓く
新たなコンサルティングの形

汐留パートナーズ様

RSM汐留パートナーズ ファウンダー&CEO・公認会計士(日米)・税理士 前川 研吾 先生
RSM汐留スマートプロセス株式会社 代表取締役 西岡 良太 氏
株式会社ビズアップ総研 代表取締役・税理士 吉岡 高広 

会計事務所のM&Aといえば、これまでは同業の会計事務所を買収し、新たなエリアへの進出や規模の拡大を目指すケースが一般的だった。ところがここ数年、異業種の事業会社と手を組み、「会計事務所×他業種」の強みをクロスさせ、新たな領域に進出するケースが増えつつある。東京・汐留に本拠を構える「RSM汐留パートナーズ」はこの7月、国内大手自動車メーカーなどをクライアントとする株式会社Smart Processとの資本業務提携を実現。同社は商号を「RSM汐留スマートプロセス株式会社」に変更し、グループインした。株式会社Smart Processは元々、モビリティ開発現場のDXを支援するコンサルティング会社であり、会計・税務とは程遠い存在。一見するとシナジーが薄そうにも映るが、RSM汐留パートナーズはなぜこの提携に踏み切ったのか?RSM汐留パートナーズ代表の前川研吾先生、RSM汐留スマートプロセス株式会社代表の西岡良太氏のお二人に、この提携の狙いや、次に目指すビジョンについて詳しくお話を伺った。

4年で280名体制へ
― 急成長の裏にある課題

吉岡 高広(以下吉岡):前回の取材から4年ほど経ちました。当時は150名、売上15億円ほどの規模というお話でしたが、現在はいかがですか。

前川 研吾 先生(以下前川):7月1日時点で280名の体制になりました。売上自体は非公開ですが、今年の計画では少なくとも30億円台に到達することを目指しています。

吉岡:30億円ということは、4年で倍増ですね。とても素晴らしいペースです。

前川:ありがとうございます。確かに急激に伸びてはいますが、「1人あたりの売上高」については、BIG4や大手コンサルティングファームの水準を見据えると、まだ伸ばしていける余地があると考えています。業務の一部をアウトソーシングしていますし、パートタイムのメンバーもいるため、現在の「1人あたりの売上高」は1,000万円程度です。今後は、AIを活用してこの水準を引き上げ、その分をスタッフの給与に還元していくことが目標です。その意味で、現状にはまだ満足していません。

吉岡:とはいえ、増員のペースもかなりのものです。

前川:新卒採用にも、中途採用にもかなり力を入れてきましたし、ありがたいことに離職者も減り、着実に人が増えた4年間でした。

吉岡:外資系企業の比率についても、以前は2割程度でしたが、将来的に5割まで引き上げたいとお話されていました。現状はいかがですか。

前川:実は、ちょうど5割に到達したところです。外資系企業向けにサービスを提供する事務所と経営統合したことで、無事に達成できました。また、2022年に世界有数の会計・コンサルティングネットワークである「RSM」に加盟したことも大きな追い風になりましたね。加盟したことで、独立性を維持するために既存クライアントを整理しなければならない場面もありましたが、それ以上に新しいクライアントをご紹介いただくことができ、コンサルティング領域を拡大できる手応えを感じています。長期的には、国内でBIG4に次ぐ存在感を持つ、ワンストップ型のプロフェッショナルファームになることを目指しています。

新たな一手、
「Smart Process」との資本業務提携

吉岡:いまご紹介いただいた以外に、何か新しい動きはございましたか。

前川:大きな動きとしては、7月1日に発表した「Smart Process」との資本業務提携ですね。

吉岡:業務提携されたSmart Processの事業内容について、ぜひ詳しく教えてください。

西岡 良太 氏(以下西岡):私たちは元々、自動車業界を中心に、特に開発領域におけるIT活用についてコンサルティングサービスを展開してきました。クライアント数は全部で10社ほどですが、いずれも大手企業です。3年ほどのスパンで開発現場の改革や、DX・AI化推進の支援を手がけています。

吉岡:西岡さんは、元々どのようなキャリアを歩まれてきたのですか。

西岡:工学系の大学院を出てから、国内自動車メーカーでエンジニアとしてずっと働いてきました。車の設計や、その効率化のためのDX・IT部署にプロジェクトリーダーとして長く携わっていました。ただ、ひとつの会社にずっといるより、外に出て自分で経営してみたいという思いがずっとあったため、働きながら慶應義塾大学大学院のEMBAクラスに通いはじめました。その時に出会ったのが、先輩経営者の前川さんだったのです。

前川:2021年4月に慶應義塾大学大学院のEMBAクラスに入学したのですが、西岡さんはそのクラスメートでした。当時、西岡さんはまだ前職を退職する前で、在学中に起業されたのです。私は、その会社に個人的にマイノリティ出資させていただき、卒業後も親しくさせていただいていました。その後、今年の初め頃でしたが、ゴルフの帰り道で「一緒にビジネスができたら絶対に面白いよね」という話になり、そこからおよそ半年の準備期間を経て、この提携が実現しました。

吉岡:何がこの提携の決め手になったのでしょうか?

前川:RSMに加盟してから、会計事務所がITコンサルティングを含む総合的なプロフェッショナルファームへと領域を広げていく世界的な流れを肌で感じていました。ただ、実際には、会計事務所がエンジニアを自社で採用し、AI・DXコンサルティング事業を内製化するのは、決して簡単ではありません。ただ、そんな簡単には実現できない事業も、西岡さんやSmart Processのメンバーのスキル・経験を融合させれば、実現できるのではないか、何か面白いことができるのではないか、と思ったのです。一方、Smart Processが提供するビジネス領域では、BIG4や大手コンサルティングファームが活躍しており、競合も非常に強力です。そんな中で躍進する西岡さんを尊敬する一方で、私たちの持つ「RSM」というグローバルネットワークがビジネスを加速させるのではないか、何らかの一助になるのではないか、そのように感じていました。このように、お互いの強みを生かし合える関係だったことが一緒になる決め手でしたね。もっとも、これによってビジネス領域をさらに広げていく必要があり、大変な面もあると思います。ですが、それ以上に新しいビジネスチャンスも広がっていると確信しています。

西岡:私の考えも前川さんと同じですね。RSMのブランドやネットワークが我々にとってプラスになると考えていましたし、それが社員へ還元することにもつながるだろう、と。また、「バックオフィス体制を整える」という面でも、RSM汐留パートナーズと提携する価値は大きいと感じたので、今回、グループインさせていただきました。

吉岡:独立してすぐに国内大手自動車メーカー各社と契約されているのですね。前川さんも驚かれたのではありませんか?

前川:社員がいるか、いないかというほぼ創業の時点でそうした企業から受注しているのですから、本当にすごいですよね。高度で、尖った技術を持っているという何よりの証拠です。

吉岡:その「尖った技術」というのは、具体的にどのような内容なのでしょうか。

西岡:先ほどお話しした開発・設計現場の改革は弊社の得意分野のひとつですね。特に最近では、AIを活用した開発・設計フローの改善をご支援しています。ただ、この領域は、いわば「効率化」の文脈ですが、私たちはこれだけではなく「何かを開発する、新製品を生み出す領域でAIをどう活用するか」というコンサルティングも提供しています。「ルーチンではない部分でのAI活用」、これを提供できることこそが、私たちのいちばんの強みです。

吉岡:今回の資本業務提携は事業会社を丸ごとグループに迎えるという、これまでの士業のM&Aとは異なる形ですが、西岡さんとのパートナーシップにおいて、どのようなことを大切にされたのでしょうか。

前川:西岡さんと一緒にビジネスをするからには、資本の論理だけで縛られる関係にはしたくないと思っていました。プロフェッショナルファームの業界というのは、必ずしも株の関係だけで成り立つものではありません。実際、私自身、グループ内の社労士法人や司法書士法人には出資していません。それらの国家資格を保有していないためです。それでも、一つのグループとして一緒に活動しています。これは私見ですが、法的な意味での出資とは別に、経営という観点では、金銭だけでなく、労務や信用も大切な「出資」だと考えています。私たちは、その「信用」でつながっているのだと思います。西岡さんがいなければこの事業は成り立ちませんし、西岡さんにとっても、RSMに入った方が面白い展開になる。そう思える関係だからこそ、この提携を進めました。

重ならない領域から、新しい円を広げていく

吉岡:両社のサービス領域という点では、重なりはどの程度あるのでしょうか。

前川:正直にお話しすると、2つの会社のサービスの円は、現状はほんの少ししか重なっていません。安全な経営統合のセオリーで言えば、円が重なっているところから始めるのが教科書通りかもしれませんが、私たちはあえてそこを選びませんでした。

吉岡:それはなぜですか。

前川:BIG4をはじめとする世界的なコンサルファームは、すでに「我々の円が重なる領域」でサービスを提供しています。要は、すでにサービスが存在しているのです。ですから今後、私たちはそれぞれの「円」を大きくし、「重なる部分」を増やしていく。そして、それによって私たちならではのサービスを生み出していきたいと考えています。これが、これから最も力を入れていきたいことです。

西岡:Smart Processの社員は、「やったことないことをやってみたい」という気質のメンバーがほとんどです。提携のシナジーが出てくるのは少し先の話かもしれませんが、そこは心配していません。「自分たちでシナジーを生み出していこう」という組織なので、この点でも前川さんの考えとしっかり一致しています。

吉岡:両社が一緒に取り組んでいく中で、最終的にどのような形を目指していますか。

西岡:我々の持つ技術やサービスは、手前味噌ですが非常に尖っていると思います。ただ、サービスを提供した結果、「クライアントの経営が本当に良くなったのか」という点については、大手企業になればなるほど効果が見えにくい、という問題があります。正直に言うと、この部分は「我々だけでは簡単ではない」と感じていました。しかし、RSM汐留パートナーズのノウハウをお借りすることで、「会計」の領域からその効果を可視化できるのではないかと考えています。

吉岡:前川さんから見て、そのお話をどう受け止めていますか。

前川:まさに、そこが最も重要だと思っています。「社内をDXしました」と言っても、それが本当に経営成果につながったのか、明確に測れていない企業は少なくないと思います。実際、私たち自身も積極的にDXを進めてきましたが、その効果については「明確に答えられない」というのが正直なところです。「DXの効果を可視化・標準化」し、それを最終的には「経営」や「会計」に接続する。さらにサプライチェーンまで包括的に可視化していく。こうした一連の流れをコンサルティングサービスとして確立していくことが、今回の提携の最大のキーポイントだと思っています。

事業部としての今後
― グループ拡大とリスクアドバイザリー領域

吉岡:今回、ITコンサルティング事業を含めたグループを統括する立場になられたわけですが、今後さらに他のIT関連会社をグループに迎える可能性もあるのでしょうか。

前川:それはあり得ると思います。「ITコンサルティング」という領域は非常に広く、RSM汐留パートナーズが得意とするERP導入支援もあれば、Smart Processが手がけてきたAI・DXのコンサルティングもあります。それぞれの専門性を持った会社やチームと組むことによって、この事業部自体をさらに大きくしていきたいと考えています。

吉岡:ITコンサルティング以外にも力を入れていきたい領域はありますか。

前川:あります。会計とは少し離れますが、内部統制や内部監査といった、いわゆる「リスクアドバイザリー」と呼ばれるサービス領域も伸ばしていきたいですね。サイバーセキュリティやISO27001の取得支援なども含めて、こうした領域を融合させながら企業を守っていく。このようなサービスは、RSM Japanの経営に関わる立場として、私自身がコミットしなければいけないと感じてきた部分です。ただ、全部自社だけでやるのはなかなか大変だとも感じていました。西岡さんたちと一緒になったことで、より大きなことを、より速いスピードで実現できるのではと考えています。

吉岡:事業部としての体制はどのように立ち上がったのでしょうか。メンバー構成や発足の経緯について教えてください。

西岡:元々、RSM汐留パートナーズの経営推進室の中で、新事業としてITコンサルティング事業を3名ほどで立ち上げていたところでした。そこに、Smart Process側のメンバー13名が合流し、7月1日付で正式に事業部が発足、私が部長を務めることになりました。サイバーセキュリティなど、私自身が元々知見を持っていない領域も多いのですが、専門的な知見を持つメンバーがいるので、そこは彼らの力を借りながらマネジメントし、シナジーを生んでいければと考えています。

吉岡:事業部の中では、今後どのような領域を強化していきたいとお考えですか。

前川:西岡さんも触れたサイバーセキュリティに、特に力を入れていきたいですね。AIの普及によって言語の壁が低くなり、日本企業を標的とするサイバー攻撃のリスクも一段と高まっていると感じています。一方で、国内では高度なサイバーセキュリティ人材が不足しているのが実情です。そこで、RSMのグローバルネットワークを活用し、海外の人材と連携しながら国内向けにサービスを展開したいと考えています。現在、フィリピンに100名ほど、インドにも200名ほどサイバーセキュリティのコンサルタントが在籍しているので、日本で受注した案件を彼らと連携して進めるような形を、実際に始めています。

会計事務所から
総合プロフェッショナルファームへ

吉岡:冒頭、「RSMというグローバルネットワークに身を置いていると、会計事務所がITを含むコンサルティング領域へサービスを広げていると感じる」と仰っていました。今後のこのような流れは進んでいくとお考えですか。

前川:大きな流れとして、進んでいくと見ています。RSMに入った当時、アメリカの代表は会計士で、監査畑出身の方でした。それが2年ほど前に代わったのですが、現在のトップはコンサルティング部門出身です。RSMのメンバーはアメリカだけで1万7000人ほどいて、現在、売上の4割がITを含むコンサルティングによるものです。実はアメリカでは今、PE(プライベート・エクイティ)ファンドが会計事務所を積極的に買収しており、上位30事務所のうち10から15ほどがPEの傘下に入っているという話もあります。PEファンドが資金を注入し、テクノロジーへの投資や業務プロセスの見直しを進めることで、生産性や収益性を高めていく動きがあります。会計は企業との継続的な接点として非常に重要で、その基盤の上に、より付加価値の高いサービスを広げていくのが現在の世界的な流れだと感じています。今回のSmart Processグループインによって、私たちもそれを実現していきたいと思っています。

吉岡:確かに、今はAIの活用によって、作業する人がそこまで要らなくなってきているという声もよく聞きます。

前川:そうですね。AIを活用して定型的な作業を減らし、一人ひとりがより付加価値の高い仕事に取り組めるようにする。その結果として生まれた利益を、スタッフへの還元や新しい事業への投資につなげることができます。日本の士業事務所はなかなか利益が生まれにくい業界でしたが、その辺りは日本でもかなり変わってくると予想しています。

吉岡:少し話は変わりますが、今回の資本業務提携に伴い、新しい拠点も設立されたと伺いました。

前川:はい。北関東エリアでの事業拡大を見据えて、宇都宮に新しく事務所を開設しました。サービス提供の体制をさらに強化していきたいと考えています。

吉岡:同じような動きは、今後、会計事務所の業界に広がっていくと思われますか?

前川:例えば、香川県に本拠を構える「みどり合同グループ」さんは、建設業と会計事務所を合わせて100億円規模の企業グループになっていると聞いています。経営が厳しい建設会社を買収し、経営に入り込むことで立て直していくというケースです。このように、数字を通じて経営を理解してきた会計事務所の蓄積は、異業種の経営に関わっていく上でも強みになります。そうした動きは、これからも広がっていくと感じています。

吉岡:そうした変化に前向きに取り組まれる背景には、前川さんご自身の原体験も影響しているのでしょうか。

前川:私が税理士登録をした18年前は、所長に権限が集中し、スタッフの待遇やキャリア形成が現在ほど重視されていない事務所も少なくありませんでした。当時から、そのやり方はサステナブルではないと感じており、スタッフが長く成長していける組織を作りたいと思いながら、この18年間経営してきました。

吉岡:そうした業界の変化のなかで、古い構造のまま変わらなかった事務所は、今どうなっているのでしょうか。

前川:この5年、10年ほどの間に、士業の経営だけにとどまらない、面白い先生方が増えてきました。社員一人ひとりを大切にし、新しい発想を柔軟に取り入れている事務所が伸びている印象です。一方で、長い歴史があっても、時代に合わせた組織づくりや、人への向き合い方を見直せない事務所は、次第に活力を失っていくことも目の当たりにしてきました。結局のところ、これからの事務所経営では、人を大切にし、そこで働く人が成長できる環境をつくれるかどうかが、ますます重要になると思っています。

これから描く未来
―インバウンドからアウトバウンドへ

吉岡:最後になりますが、お二人が今後、注力していきたいことを教えてください。

前川:RSMに加盟してから、海外から日本に進出する企業の支援、いわゆるインバウンドで私たちは成長してきました。これからは、日本企業の海外進出、アウトバウンドの支援にもより力を入れていきたいと考えています。日本は今も世界有数の経済大国で、自動車業界を含む製造業の企業は世界に打って出る上で外せない分野だと思っています。西岡さんらとご一緒することで、日本企業がもっと外貨を稼ぐ支援をしていきたい。地政学的に不安定な時代だからこそ、製造業大国としての日本の価値が、改めて注目される可能性があると感じています。また、日本は世界に先駆けて高齢化と人手不足に直面していますが、だからこそ、AIを活用した課題解決の知見やノウハウを世界に輸出できるのではないかと思っています。

西岡:自動車業界にいた立場から言うと、製造業は若い世代からの人気という点ではなかなか厳しい状況もあります。ですが、実際には日本の基幹産業で、グローバルに活躍している方も多い、とても面白い業界です。この産業を盛り上げたいという思いで、元々Smart Processを立ち上げました。今後は自動車を基軸に技術を確立しながら、他の業界にもお手伝いできる幅を広げて、グローバル展開のアウトバウンド支援につなげていきたいと考えています。

吉岡:お二人はプライベートでもかなり親密なのだそうですね。

前川:この4年間、ゴルフや食事に何度もご一緒させていただきました。実は一緒にブラジルの大学院に留学したこともありますし、今年の秋にはペルーの大学でまた一緒にEMBAプログラムを受ける予定です。西岡さんとは本当に波長が合うというか、卒業後もずっとお付き合いさせていただいている仲です。

吉岡:意見がぶつかったことはないのですか。

前川:大きくぶつかったことは一度もないですね。西岡さんが怒っているところも見たことがありません。

西岡:前川さんもそうですね。目先の損得ではなく、クライアントや社会の役に立つ、面白いことを長く続けていきたいところが共通しているのだと思います。

吉岡:それは、提携を進めるうえでも大きかったのではないでしょうか。

前川:そうですね。共通の課題に対して一緒に頭を悩ませることはあっても、お互いに向き合ってぶつかるということがないんです。むしろ、外の困りごとに対しては一緒に対処してきた仲なので、そこは信頼関係の土台になっていると思います。

吉岡:最後に、今後3年から5年でどのような形を目指していきたいか、それぞれお聞かせください。

西岡:まずはグループインさせていただいたので、シナジーを発揮するために、しっかりと協力できる体制を作っていきたいですね。その上で今後のビジョンとしては、現状、自動車業界を中心とした大手クライアントに特化していますが、これを他業界にも広げていきたいと考えています。そのためには、サービス提供の質を保ちながら量をこなせるよう、標準化されたテンプレートの整備が欠かせません。また、それに伴って採用にも力を入れ、現在の約20名体制を最低でも倍ぐらいにしていきたいです。こうした基盤を整えたうえで、その先ではグローバル展開も見据えていきたいと考えています。

前川:RSMは、2030年までの5年間で世界売上を倍にするというビジョンを掲げており、私たち日本においても、売上を2倍にするという目標を共有しています。RSM Japan全体としては、監査法人と私たち税務・コンサルティングの各法人を合わせて100億円規模を視野に入れており、その中で、RSM汐留パートナーズとしては、まず50億円を目指しています。年率15%の複利成長でようやく5年で倍になる計算ですが、オーガニックな成長だけで15%を続けるのはなかなか大変です。そのため、オーガニック成長、新規事業開発、M&Aという3本柱を掲げています。今回の取り組みはまさに新規事業開発の代表例で、この目標を5年後に実現しようと、今、全社員と共有して取り組んでいるところです。

吉岡:協業による体制強化からグローバル展開、そしてRSM Japanとしての100億円規模という目標、オーガニック成長・新規事業開発・M&Aという3本柱まで、力強いビジョンをお聞かせいただきました。本日はありがとうございました。

プロフィール
まえかわ・けんご
まえかわ・けんご
新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)監査部門にて、製造業・小売業・情報サービス産業等の上場会社を中心に法定監査に従事。同法人公開業務部門では株式公開準備会社に対し、IPO支援、M&A関連支援、デューデリジェンス等のFAS業務を担当。2008年に汐留パートナーズグループを設立し、代表取締役社長に就任。2009年よりグループCEOとして公認会計士・税理士・社会保険労務士・司法書士・行政書士等のプロフェッショナル集団を統括。北海道大学経済学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)修了。公認会計士(日本/米国)・税理士・行政書士。
にしおか・りょうた
にしおか・りょうた
ソフトウェア会社および自動車OEMにて実務経験を積み、株式会社Smart Process(現RSM汐留スマートプロセス株式会社)を設立し、代表取締役に就任。製造業を中心とした開発プロセスのデジタル化や業務効率化を推進し、多くのクライアントのDX戦略立案から実装支援まで一貫して担う。新規ビジネスの立ち上げやイノベーションプロジェクトの推進・運営を得意とし、幅広い業種のクライアントの成長を支援。2026年7月、RSM汐留パートナーズへのグループインに伴い、ITコンサルティング事業部を統括するパートナーに就任。神戸大学大学院海事科学研究科修了、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)修了。

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