九州初の1,000名事務所へ向けて躍進中! 税務×労務×ITで切り拓くアップパートナーズの成長戦略

アップパートナーズグループ 代表税理士 菅 拓摩 先生/社会保険労務士法人かぜよみ 代表社労士 肥海 聡芝 先生 × 株式会社ビズアップ総研 代表取締役社長・税理士 吉岡 高広

売上34億円・グループ8社・従業員385名―。 福岡を拠点とするアップパートナーズグループは、税務・労務・M&A・ITを一体で擁する総合士業グループとして、 10年以上にわたり年率10〜12%の安定成長を続けてきた。 なかでも特筆すべきは労務部門、社会保険労務士法人かぜよみの台頭だ。 売上6億円超・70名の規模は、税務を除くグループ最大。 大手企業向けBPO、銀行ルートからの人事評価制度コンサルティング、ファンドレベルのデューデリジェンスと、 社労士事務所の既成概念を超えた領域で着実に存在感を高めている。 「労務の単価は税務に引けを取らない」「スタッフが頑張れば年収800万円の事務所にしたい」。 業界の常識を意図的に逆転させてきた経営哲学、 そして「1,000名」という次の分岐点を見据えた新たな戦略について、 アップパートナーズグループ代表・菅拓摩先生と、 社会保険労務士法人かぜよみ代表・肥海聡芝先生にお話を伺った。

8社・385名・34億円 ― 九州最大級士業グループの現在地

吉岡高広(以下吉岡):前回、2021年にインタビューをさせていただきましたが、そこから5年が経ちました。まずは改めて、グループの現在の規模感や構成を教えていただけますか。

菅拓摩先生(以下菅):従業員数は、グループ全体で385名前後です。税務部門が250〜260名、労務部門である社会保険労務士法人かぜよみが70名、残りがコンサル・IT・総務といった構成ですね。グループ会社の数は、税務・労務・M&A・司法書士法人・コンサルティング・行政書士法人・保険代理店2社の計8社。昨年度の売上はおよそ34億円で、今期は38億円を見込んでいます。先日、2月の数字が上がってきたのですが、しっかりと予算をクリアしていました。出だしとしては上々です。

部門別の売上は労務が6億円超で、税務を除くとグループ最大です。次いで、保険が2社合わせて3億円、M&Aが約1億円、IT・補助金がそれぞれ5,000万円前後、残りが税務という内訳になります。昨年、グループでもっとも利益が出たのも労務部門でした。

吉岡:売上でも利益でも(税務を除いて)労務部門がトップなのですね。関与先の件数は、現在どのくらいになっていますか。

菅:税務と労務合わせて3,100件ほどです。前回、5年前にインタビューしていただいた際には「5年後3,000件」とお話ししたのですが、ほぼそのとおりに来ています。
毎年10〜12%の成長を続けてきた結果です。この成長率は、税理士法人諸井会計の諸井政司先生から「10%成長なら無理がない。でも簡単でもないよ」と教えていただいたため、その数字を参考にしています。これまで大量離職のような苦しい時期もなく、安定的に成長できているのは、弊社がこの方針を堅持しているおかげだと思います。ただ先日、税理士が集う勉強会で、グロースリンク税理士法人の鶴田幸久先生が「年平均25〜30%成長」という目標を掲げてらっしゃるのを見て、「自分は夢のない発表をしてしまったな」と少し反省しています(笑)。

吉岡:いえいえ、売上高が30億円を超えると、年率10%なら単年3億円の増収ですから、決して楽ではないと思います。この着実な成長をどのように実現されているのですか。

菅:私たちがもっとも注目しているのは「紹介率」の数字です。新しいお客様をご紹介してくださる、既存のお客様の割合ですね。これを下げなければ、基本的に成長率はしっかり維持できると考えています。また最近では、「他の社長さんも頼んでいると聞きました」とか、「雑誌で名前を見ました」という問い合わせが入ることも増えているので、これも追い風です。

吉岡:諸井先生の教えを実直に守りながら10年積み上げてきた、ということですね。口コミや広報経由で問い合わせが増えているとのことですが、広報面ではどのような取り組みをされているのですか。

菅:こちらから顧客を直接狙ったマーケティングはほとんど行っていません。どちらかというと採用広報に力を入れています。5年前に広報担当を1名採用したのですが、現在はパートを含めて3名体制になっており、ここが着実に機能してきているのだと思います。採用広報が充実してくると、自然と対外的な認知にもつながる。私も意図していなかった副産物ですが、良い流れになっています。

吉岡:採用広報が社会的な認知にもつながっていくというのは面白い連鎖ですね。さて、拠点についてもお聞きしたいのですが、福岡・佐賀・長崎・東京と複数展開されています。拠点を出す判断はどういった基準でされているのですか。

菅:基本的には「スタッフが通いやすい場所に出す」という発想が先にあります。佐賀中央事務所がわかりやすい例で、伊万里にしかオフィスがなかった頃、佐賀市内在住のスタッフはいちど伊万里に出勤し、佐賀市内のお客様を訪問するために、逆方向に1時間移動していました。これって、本当に無駄ですよね。それに、佐賀県は小さいようで端から端まで車で2時間かかりますから、遠方のスタッフにとって相当な負担だったと思います。もともと佐賀市内にも140件以上のお客様がいらっしゃったため、では出してしまおうということになりました。単体で派手に営業しているわけではなくて、あくまでスタッフの就労環境を整えるための拠点です。
一方で、東京はまた全然違う経緯です。どうしても東京に住みたいという資産税担当のスタッフがいたため、それならばと、東京事務所を開設し、事業承継の専門家として育てることにしました。現在そのスタッフは、みよしコンサルティングの川口修司先生のもとで経験を積んでいます。川口先生のスタイルがとてもシンプルで、「参考書もセミナーも禁止、条文だけと向き合え」というのです。聞いただけで私は絶対行きたくないと思いましたが(笑)、彼はそこで「免許皆伝」をいただきました。現在は川口先生の事務所との共同案件でレベニューシェアをしながら、相続案件だけで年5〜6,000万円を稼いでいます。また、オフィスを出すと自然と一般税務も増えてくるもので、現在は東京にフロント担当を2名配置し、業務処理は福岡で対応するスタイルで展開しています。

会計ソフト統一で入力業務の劇的スリム化を実現

吉岡:スタッフのために場所を作ったら、結果的に事業が育っていく。人の話が先にある、というのがアップさんらしいですね。話は変わりますが、前回インタビューのとき、DXや製販分離を進めているとおっしゃっていました。5年経った現在はどのくらい進んでいるのでしょうか。

菅:製販分離はずっと継続してきたものの、会計ソフトの統一だけはなかなか決断できずにいました。「どれが最善か」と数年にわたって検討を重ねた末、1年前にようやくfreee・マネーフォワード・発展会計の3本に絞ることを決断しました。昨年末時点で約5割のお客様への移行が完了しており、今年中に8割への移行完了を目指しています。なお、医療機関については日本ビズアップさんの発展会計との相性が特に良いと感じているため、今後もメインで活用していく予定です。
現在も移行を進めている最中ですが、その前段階となるデータ整備が非常に大変な作業です。パートスタッフや時短勤務のスタッフが懸命に取り組んでくれており、その頑張りに支えられています。ただ、ひとたび移行が完了すると、その効果は想像以上のものでした。すでに領収書の自動取り込みとAI自動仕訳が稼働しており、これまで仕訳確認に費やしていた時間がほぼゼロになりました。「たった数か月でこれほど変わるとは」とスタッフ自身も驚いているほどです。業務効率が上がって手が空けば、より多くのお客様を担当できるようになります。現在のスタッフ数のままでも関与先をさらに増やせる体制が、着実に整いつつあります。

吉岡:5年越しの課題が、この数か月で一気に動いた。内部にIT部門を持っているからこそできる加速スピードだと思いますが、IT部門はいま何人くらいいらっしゃるのですか。

菅:全部で14名います。そのうち今年は10名くらいが社内のDX化にほぼ付きっ切りです。freeeやマネーフォワードのベンダー担当の方も弊社までしょっちゅう来てくださり、もうパートさんみたいになってきているくらいです(笑)。いま進めているのがAI・OCRによるクレジットカード明細の自動取り込み、自社ツール「アップジップ」による入力作業の自動化、報告資料の作成プロセスの全自動化といったところですね。今年は外部案件より社内に集中しているので、毎日のようにどこかの業務が改善されていっています。

社内にIT部門がいる最大の価値は、業務の実態をある程度わかっていることです。税務や労務の話を5つ、6つ聞いたら10くらい理解してくれる。「これってこういうことですよね」と先読みして動いてくれる。外部のITベンダーだと同じことを理解してもらうために30くらい説明しないといけないし、仕様を完全に決めないと動いてくれない。以前は外注に頼んでいたこともありましたが、繁忙期に相手してもらえないことが続いて、やはり「内部にいてもらわないと」と感じました。現在はITスタッフを各部署にバラして配置し、要望をその場で吸い上げて仕組みを構築するスタイルにしています。

業界の「逆」を行く、労務優先のビジネルモデルを展開

吉岡:内部にIT部門がいることで、業務理解の深さが全然違うというのはよくわかりました。さて、グループとして税務と労務を両輪にされていますが、両部門の関係性はどのようになっているのでしょうか。

菅:一般的な事務所は税務が主で、労務は顧問料に少し乗せる程度というパターンが多いですよね。私たちはその逆で、労務の単価は値引かないと決めています。たとえば年額150万円の契約の場合、労務が70万円なら税務は残りの80万円以内に収める。税務が「割を食う」形になりますが、税務側には保険や法人化、グループ会社の増加といったクロスセルの機会があるので、初期の顧問料を抑えても長期では回収できる計算が成り立ちます。

肥海聡芝先生(以下肥海):労務側からすると、単価は税務に引けを取らないと感じています。一人あたりの売上でみれば同水準か、それ以上のケースも多い。かぜよみだけで関与している企業も相当数あって、500〜1,000名規模の大手企業は税務ニーズが薄い分、労務単独で関与しているケースがかなりあります。そのような層があるからこそ、かぜよみとして独自の成長ができているとも言えますね。

吉岡:老舗の事務所ほど労務を税務の下に置きがちな中で、アップさんは意図的にそれを逆転させているわけですね。ところで肥海先生、改めてお聞きしたいのですが、かぜよみはどのような経緯で現在の規模になったのでしょうか。

肥海:私は前職、メーカーで商品開発と海外事業を11年間担当していました。人事の実務経験はまったくなく、「社労士のニーズが高まる」という話を聞いて、とりあえず資格だけ取っておこうという程度の動機でした。かぜよみを立ち上げた当初の売上はわずか1,500万円。基本的な労務手続きすら知識が少ない状態からのスタートで、業界の人脈もゼロでした。見様見真似でやるしかなかったので、1年目でユニオンの団体交渉に入ったり、2年目には上場を予定している企業から「労務支援はできますか」と聞かれて「もちろんできます」と即答したり、今思えば無謀なことをたくさんしてきました。ただ、タイミングに助けられた部分は大きくて、労働基準監督署の運用厳格化や労働訴訟の急増などにより、需要が急増した時期と重なったのです。

それからもうひとつ、メーカーで11年間一般企業を経験していたので、士業の世界に来たときに「業界の慣習が必ずしも正しい訳ではない」という感覚を自然と持つことができました。それが組織を作るうえで長期的にはプラスに働いたと思っています。

規模と柔軟性を武器に大手企業向けBPOの獲得狙う

吉岡:実務もキャリアもゼロの状態から、市場の波を見極めながら育ててこられた。一般企業出身の感覚が逆に武器になってきたというのは、とても面白いですね。ところで、いま労務部門として力を入れている事業はどの辺りになりますか。

肥海:もうひとつの柱は、大手企業向けの労務相談顧問とアウトソーシング(BPO)です。かぜよみのホームページ経由で大手企業からお問い合わせをいただくケースが意外に多いのですが、「どのようにして弊社を知りましたか」とお聞きすると、ほぼ全員がWEB検索でたどり着いており、事務所の規模を重視して選んでいるとおっしゃいます。大手企業では給与計算業務が特定の担当者に依存しがちで、その方が退職すると外部委託せざるを得ない状況になります。しかし、個人事務所では規模的に対応が難しく、大手アウトソーサーは画一的な処理しか対応できないため、これまで「自社の実情に合った柔軟な対応」を求めるニーズが満たされていませんでした。弊社のような中堅規模で、かつ多岐にわたる労務相談やBPOに柔軟に対応できる事務所に引き合いが集まってくるのは、こうした背景があるためと考えています。
現在、最も大きいケースでは従業員6,000名規模の企業を担当しています。この規模になると、3月退職が300名・4月入社が400名に上ることもあり、繁忙期の業務量は相当なものです。営業時に「本当に対応できますか」と念を押されたのですが、入退社手続きはRPAで効率化できる典型的な業務ですから、これを機に一気にシナリオを構築して効率化を実現しました。現在はキーエンス社製のRPAも一部導入し、育休給付金申請など手順の多い業務への活用範囲をさらに広げています。このような規模感でBPOに対応できる社労士事務所は全国的にもそれほど多くないため、この領域はまだまだ成長余地があると見込んでいます。

吉岡:大手と個人事務所の間にある、ちょうど良い受け皿になっているわけですね。他に今伸びている領域はありますか。

肥海:銀行とのお付き合いをきっかけに、人事評価制度に関するご相談が想定以上に増えてきました。銀行のシンクタンク部門が取引先企業を訪問した際、経営課題として最も多く挙がるテーマが「人事評価制度の再構築」なのだそうです。ある銀行の担当者からは「地元の大手企業案件はかなりの割合でかぜよみさんにご紹介しています」とおっしゃっていただいたこともあり、率直に驚きました。案件を増やすうえで、この銀行ルートがかなり効果的だと実感しています。
この領域はコンペになるケースも多いのですが、競合相手はコンサル会社がほとんどで、社労士事務所とぶつかることはほぼありません。弊社を選んでいただける理由として最もよく挙げられるのが、「人事評価制度の構築と同時に、労務コンプライアンスも確認してもらえる」という点です。制度設計とリスク精査を一体で提供できる競合がほとんど存在しないことが、差別化につながっています。

吉岡:労務コンプライアンスは、近年M&Aの場面でも重要性が高まっていますね。労務デューデリジェンスも提供されていますか。

肥海:ええ、重要なサービスのひとつです。大手監査系事務所のデューデリジェンス報告書を見ると、書面監査が中心で「就業規則がこの法改正に未対応です」といった指摘が並んでいることが多いのですが、我々からすると、それは直せば良いだけの話で大した問題ではありません。本当に重要なのは実態の部分です。未払い残業・ハラスメントリスク・勤怠記録と給与の乖離・退職金制度の将来債務といった項目を丁寧に精査していきます。実際に、給与制度や退職金制度の問題で多額の将来債務リスクを指摘するなど、M&Aの進捗過程で売り手と買い手の認識に齟齬が生じないようサポートしています。
上場支援の際のデューデリジェンスも同様で、かなり厳しめの目線で臨んでいます。労働基準監督署による調査があった場合、1件の是正勧告でも上場が1年延期になることがあるため、それだけ慎重に見る必要があるのです。おかげさまで、ある大手事務所のデューデリジェンス報告書と比較した方から「社労士事務所とは思えないクオリティだ」とおっしゃっていただいたこともあります。最近はグループ外から「デューデリジェンスだけお願いしたい」という依頼も増えており、ファンドレベルの要求水準にも応えられるようになってきたと自負しています。案件を積み重ねるたびに「この業種ではこのリスクが出やすい」というパターン認識が蓄積されていくので、年々精度が上がっていると感じています。

吉岡:ノウハウが積み上がっているのがよくわかりました。ところで菅先生、いまM&Aのお話が出ましたが、アップパートナーズ本体のM&A部門はいまどのような状況ですか。

菅:昨年、過去最高実績を達成しました。プレイヤーは4名に増え、現在も採用を続けています。M&Aの人材には、外資系保険会社出身に多い「フィー志向型」と、銀行出身に多い「安定志向型」の2タイプがいることが分かってきたのですが、会計事務所のM&A事業にはやはり安定志向型が合っています。年収1,000万円をベースに、案件が決まらない時期も「ナイストライでいい、3年スパンで見る」という方針でじっくり育てています。それからもうひとつ、創業当初からお付き合いしてきたお客様がちょうど事業承継を考える年齢に差し掛かっており、長年の信頼関係から自然と大きな案件が生まれてきています。実際、20年来のお付き合いがある企業で、現在大きなM&A案件が進行中です。営業で取りにいったわけではなく、積み重ねてきた関係性の中から自然と生まれてきた案件です。年末からずっと打ち合わせに同席しており、夜中に社長さんから直接電話がかかってくることもありますが、長く伴走してきたお客様の承継をお手伝いできるのは、本当にやりがいがありますね。

「一般企業化」と従業員の豊かさを本気で追いかける

吉岡:長年積み上げてきた信頼が、事業承継やM&Aというかたちで実を結んでいくわけですね。話は変わりますが、組織としての方針、とりわけスタッフへの向き合い方についてはどのようなお考えをお持ちですか。

菅:父が残した「税引前利益の4割を従業員に配分する」というルールをずっと守り続けています。そのぶん私自身の報酬は長年2,000万円のままで、8年前に上げましたがあまり積極的には増やしていません。一方で、スタッフについては、普通に頑張れば誰でも800万円以上を稼げる事務所にしたいと思い、仕組みとして構築できています。夫婦共働きであれば世帯年収2,000万円に近い水準になる。そうすれば、顧客の中小企業オーナーに近い感覚で話せるようになります。経営者と対等に会話できることがサービスの質に直結すると考えています。

肥海:私はメーカー出身なので、士業の世界に来たときの衝撃が大きかったです。給与・待遇・仕事のやり方、11年間一般企業にいた身から見ると、疑問に感じることが多かった。社労士業界は、会計事務所よりもさらに一段条件が悪い事務所が多いように思います。労務コンプライアンスを他社に提案する立場なので、自分たちの職場環境をより良いものにしていくことが必要だと考えています。ですから、弊社は一般企業と同等かそれ以上の福利厚生を目指しています。スタッフには年1回希望調査票で「やりたいこと」「目指したいポジション」を確認して、できる限り希望に合ったチームに配置しています。コツコツやりたい人は労務手続きなどの業務へ、人と関わりたい人は人事評価や労務コンサルへ。みんなが生き生き働ける環境でないと、良いサービスは生まれないですからね。

吉岡:利益配分を仕組みとして制度化している事務所はなかなかないですよね。そのうえでお聞きしたいのですが、グループがいよいよ500名規模に近づいてきています。組織として変化を感じることはありますか。

菅:自分のお客様で考えると、500名の企業に人事部や総務部がないというのはありえないことです。でも会計事務所ではそれが普通に通ってしまっています。弊社には総務部門はありますが、500名規模の組織として一般企業と同等の管理体制を整えていく必要は感じています。10名以下はボスが引っ張れば動けますが、15〜20名を超えると組織マネジメントが変質してくる。500名ともなればそれなりの水準が当然求められます。ただ、統制型・管理型の組織にはしたくないという気持ちも正直あります。以前、高い水準で整備された別の事務所を見学に行って、ビジネスとしては正解だろうけれど「なんか息苦しいな」と感じました。役職者たちに「これ真似する?」と聞いたら、「いいところだけにしましょう」ということになって(笑)。規律とゆるさのバランス、今もそこを手探りしながら進めています。

経営は次のステージへ九州発の1,000名事務所を目指す

吉岡:規律とゆるさ、そのバランスをずっと考えながら経営してきた、ということですね。最後に、今後の方向性を聞かせてください。10%成長の継続でいくのか、何か大きな転換を考えていますか。

菅:10%成長は続けていきたいですが、ここ数か月で業界に対する認識が少し変わりました。成功している事務所の先生方と話していると、「500名規模で何とかなる」という感覚が変わってきており、どうも1,000名が次の分岐点になりそうだということです。いま1,000名クラスの事務所が5年後に2,000名クラスになっているとすると、その層に入れるかどうかで将来が大きく変わる。M&Aなのかアライアンスなのかはまだわかりませんが、自力だけでなく、何らかの形で規模を作っていく必要があるかもしれないと感じ始めています。

肥海:労務側から見ると、やれることはまだまだたくさんあります。大手BPOのニーズ、企業型DCの導入支援、労務デューデリジェンス、人事評価制度と、広がっている領域が多い。人事評価制度はいままさにノウハウを積み上げている段階で、業種別のパターンが蓄積されてくれば利益率もさらに上がっていくと見ています。人事評価・賃金管理のクラウドソフトも開発しており、まだ本稼働前ですが、HR系ソフトにありがちな「多機能で高価格」ではなく、評価と賃金に絞った安価なソフトとして育てていきたいですね。グループの中で、かぜよみがあらゆる企業規模・ニーズに対応できる要になることが目標です。

吉岡:本日はお忙しいところ貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。アップさんの今後のさらなるご発展を心より楽しみにしております。

プロフィール
すが・たくま
すが・たくま
福岡市の他8拠点で計380名規模のスタッフが在籍する、西日本最大級のアップパートナーズの代表。税務、財務のみならず、医療機関の経営支援、企業の組織再編、人事労務問題の解決、事業承継・相続対策、IT化支援など、実に幅広い分野で活躍。常に「解決できない問題はない」という姿勢で企業のコンサルティングに携わり、多くの経営者から支持を得ている。早くからクレド教育を実践し、コンサルティング能力の高いスタッフの育成に努めるなど、その経営手腕は業界からも注目されており、セミナー講師としても高い人気を誇っている。
プロフィール
ひかい・さとし
ひかい・さとし
特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント。大手建材メーカー勤務を経て、現職。クライアント数3,000社以上を有するアップパートナーズグループの人事労務部門として、2010年に社会保険労務士法人かぜよみを立ち上げ、15期で売上6億円以上、スタッフ70名の組織へと成長させる。給与制度構築・社内規程作成や人事労務問題解決のコンサルティングを得意とするほか、人事・労務セミナーの講師としても広く西日本全域で活躍中。一般事業会社だけでなく、医療機関の人事・労務問題にも精通したスペシャリスト。

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