「公平な格差」がもたらす自発的な協働ー スタッフの目線で構築された「あすか式生産管理」の全貌とは

あすか税理士法人 代表社員税理士 加藤 知子 先生 × 株式会社ビズアップ総研 代表取締役・税理士 吉岡 高広
拠点・支店長への大幅な権限移譲
「ミニ開業」感覚が意識を変える
吉岡 高広(以下吉岡):現在の事務所の全体像から聞かせてください。拠点の構成と組織体制はどのようになっていますか。
加藤 知子先生(以下加藤):現在、拠点は道内に5つあります。「新さっぽろ」は記帳代行専用のバックオフィス拠点として位置づけており、実質的な実務機能は札幌中央区の2拠点と、千歳・苫小牧が担っています。
吉岡:千歳や苫小牧など距離のある拠点は、どのように管理しているのですか。
加藤:採用、給与決定、お客様の値決め—それらを含めた幅広い裁量を、支店長に委ねています。ワンフロアで1課・2課といった形で分ける事務所も多いですが、それよりも「この拠点の責任は自分が負う」という意識を持たせた方が、支店長としての覚悟がまったく違います。「ミニ開業」に近い感覚ですね。最終的なバランス調整は私が行いますが、日常的な采配はほぼ支店長に任せています。
吉岡:資格者が16名いらっしゃいますが、今後の拠点展開の構想はありますか。

加藤:希望するスタッフが出てくれば大歓迎です。ただし、単に「あのエリアに出したい」といった理由だけでは出店しません。経済産業省の統計データなどから「この地域にどういった業種の企業が集積しているか」「銀行の支店はあるか」等をプロットし、マーケットとして勝てる場所を選んでいます。マーケットのない場所に出るのは負け筋ですし、将来的にもオンラインのみではなく、顧客と近い距離でスピーディーに濃密な関係性を構築したいからです。
吉岡:あすか税理士法人といえば、以前より資産税に強みのある事務所としても知られていますが、近年、新たに事業化されたテーマはございますか。
加藤:顧問先が増えるに連れて、お客様からのデジタル系に関する問い合わせ対応が、会計スタッフの業務を著しく妨げるようになってきました。そこで、試験的に「実務を一切担当せず、システムだけに専念する」担当者を1名置いたところ、「彼がいることで、システム関連の問い合わせがすべて解決でき、本業に集中できる」と、現場の評価が非常に高かったのです。その機能をグループ会社として正式に立ち上げたのが「あすかサポート」です。会計スタッフにとって負担の大きい業務、たとえばクラウド会計の選定や、初期の立ち上げ、他社システムからのデータ移行・業務効率化などをあすかサポートが一括して引き受けます。会社を分けることで、お客様から「導入支援パック」として正式な報酬をいただける建付けにもなりました。
吉岡:生成AIの登場で方向性に変化はありましたか。
加藤:実は数年前、RPAが得意な人材を採用し、それを事業の柱にしようと考えていました。しかしAIが急速に台頭したことで、RPAの必要性が大幅に低下。正直、想定外の環境変化でした。今後は、デジタル人材が不足する中小企業を対象に、AIツールの活用支援や業務効率化のコンサルティングで収益を立てる方向へシフトしていきます。税理士法人の本業を守るための守備的機能から、独立したビジネスラインへと育てていく段階です。
創業者の突然の変貌と第二創業
「あすか式生産管理制度」の全貌
吉岡:加藤先生は、創業者である川股修二先生から経営を移譲され、現在は代表社員をお務めでいらっしゃいます。それまでの経緯を教えてください。
加藤:2008年に税理士法人化してすぐ、創業者の川股が突然、「税理士の社会的地位を高めたい!北海道大学で博士号を取る!」と宣言し、「売上を落とさなければ何をやってもよい」と言い、私に経営を託してくださいました。当時、スタッフは10名前後で売上はおよそ1億円。創業者の川股は私の尊敬する理念を持った人物です。私はすでに役員でしたので、尊敬する川股が、高みを目指すならば!と微力ながら自分も貢献したいと思い、いきなり権限移譲をされましたが、「責任を果たさねば」と奮起しました。

吉岡:任された側として、まず何から手をつけたのでしょうか。
加藤:自分は、優れた人間でもなく、何より「女性のリーダー」に反発するスタッフがいるという自覚がありましたから、「スタッフは、この事務所でどう働き、評価されたいか」という問いから出発しました。考えて出した答えが、活躍した分はきちんと評価されたい—誰しも思うことですよね。それを具現化できる仕組みを作ることでした。縦割りの業務フローを、縦横にコラボレーションできる構造に変えていったのが、現在の「あすか式生産管理制度」の出発点です。これが、弊所の実質的な第二創業的な変化になりました。
吉岡:「あすか式生産管理制度」について詳しく教えてください。
加藤:まず、スタッフ全員に、給与から逆算した「時間単価」が設定されています。これは、いわば自分の売値です。たとえば、時間単価8,000円のスタッフが月次報酬4万円のお客様をひとりで担当する場合、使える工数は5時間が上限になります。これをオーバーするとその顧問先は「生産性上の赤字」になります。極めてシンプルな損益計算です。そのため、新規のお客様が来られた時には、自分の時間単価とお客様のニーズを勘案して、スタッフ自身が月次のお客様への値決めを折衝していきます。こうすることで、コスト意識が経営者の指示ではなく、スタッフ個人の日常的な行動に組み込まれる仕組みです。
吉岡:時間単価は、自分の担当業務以外にも適用されるのですか。
加藤:そこがこの制度のポイントです。一対一の担当業務だけでなく、「人の手伝いをした時」にも、自分の実績として単価が積み上がります。時間単価5,000円の若手が先輩の仕事を3時間手伝えば、1万5,000円がそのまま自分の実績になる。「手伝い損」が生まれず、スキルもアップする制度構築になっています。弊所では日本ビズアップさんの「発展業務管理」というシステムを使わせていただき、スタッフはお客様ごとの損益も自分の実績も、リアルタイムでいつでも確認できます。自分の仕事を終えてぼんやりしているより、困っている先輩を見つけて手伝いにいった方が評価が積み上がる—その構造が、自然発生的なコミュニケーションと協動を生み出しています。この仕組みのおかげで、かつて会計事務所にありがちだった「縦割り」の弊害や、「上司の使い走り」といった無駄な上下関係が綺麗になくなりました。入社した若いスタッフは、「社内営業」という形で、先輩に「私、これができるようになりました。手伝わせてください!」と自発的にアプローチする。仕事が上から降ってくるだけではなく、下からも積極的にアプローチし、循環していくのです。
一方、仕事を依頼する側は、依頼の仕方が雑だったり、資料が不足していると工数が伸びて自分が損をすることになります。結果として、依頼の精度を高めることが自分の評価に直結するため、指示の質が自然と上がっていくのです。また、依頼の仕方が悪いスタッフは、「生産性コスト」が余分に蓄積し、「生産性赤字」が全員から見える仕組みになっているので、結果として自省し、自己改善を促すようになっています。
吉岡:まさに、所内に市場原理が働いているのですね。個人の時間単価が明確だと、単価の高いベテランほど、1社にかけられる時間が少なくなって自分の首を絞めるようにも見えます。
加藤:ベテランが苦しむ仕組みに見えますよね(笑)。でも、実は全く逆なのです。この仕組みは、ベテランが仕事をひとりで抱え込むのを防ぎ、組織全体のレバレッジを効かせるための強力なインセンティブになっています。というのも、自分の単価が上がると、簡単な雑用やルーティンワークを自分で抱え込むのがもったいなくなります。当然、自分の能力に見合った付加価値の高い仕事に集中したいですから、自然と「この雑用は若手に任せよう」「新さっぽろのバックオフィスにお願いしよう」という動きになります。任せられた側も自分の評価になるので、「協働」の良さを理解して「自発的な製販分離」が進みます。
さらに面白いのは、ここから生まれる仕事の自動トリアージ機能です。たとえば、事務所の窓口や若手ルートから「報酬200万円の組織再編」といった高難度案件が入ってきたとします。経験の浅い若手がこれをひとりで抱え込もうとすると、処理に迷って膨大な工数がかかり、自分の単価が低くても評価上「大赤字」を叩き出してしまいます。そのため、若手はリスクを避けて、自発的に「得意な先輩」にその高難度案件をパスせざるを得ません。こうして、高難度・高単価な案件は半ば自動的にベテランの元へ集まるようになっています。
吉岡:なるほど。ベテランの元に集まった高難度案件はどのように処理されるのですか。
加藤:ここからがベテランの腕の見せ所です。ベテランは、その高難度案件を自分で全部こなすのではなく「分配」するのです。ベテランは、自分にしかできない「最初の数時間のコアな判断やスキーム構築」だけに自分の高い単価をチャージします。そして、後工程の実務や資料整理は、若手やバックオフィスに「内部分配」として徹底的にパスする。弊所は、相続などの報酬の「分配」も、すべてスタッフ自身の裁量に任せており、私は一切口を出しません。100万円の案件があったとして、「実務をやってくれた若手に50万円、資料整理に20万円、全体の差配とコア業務を担当した自分に30万円」というように、本人たちで話し合って決めてもらっています。ベテランからすれば、自分が手を動かす時間を最小限に抑えながら、チームを動かす「プロデューサー」として効率よく自分のチャージを稼ぐことができる。だから、ベテランほどプレイヤーからマネージャー、あるいは支店長へ自然とシフトし、大きな売上を稼げるフェーズに移行できるのです。
吉岡:ということは、仕事の分配権を握るトップは、常にベテランになるわけですか。
加藤:いいえ、「若手がトップになって、高単価なベテランを動かす」というケースもあります。条件はひとつ、「その案件を自分で外から取ってくること」です。自分で新規開拓してきた案件であれば、年次に関係なく、その若手が100%の差配権を握ります。もし若手が外から100万円の難解な案件を取ってきたら、その若手が「サイフの紐」を握ったプロデューサーになります。そして、たとえば自分の手に負えない、もっとも危険で難しい「スキーム構築」のパートだけを、「先輩、3時間だけ助けてください!」と、高単価なベテランに部分発注するわけです。ベテランからすれば、手間のかかる実務は若手が全部やってくれて、一番美味しいコアな判断だけで20万円分のチャージを稼げるので、喜んで若手の要請に応じます。一方の若手は、ベテランの優れた技術やノウハウを安全に学び取りながら、残りの報酬の大部分を自分の稼ぎとして総取りできる。これこそが、私が言う「突出して成長する人」の正体です。自分で仕事を取る営業力があり、かつ、高単価なベテランを仕事のパートナーにできる若手は、入社年次に関係なく、年功序列を飛び越えて圧倒的な数字を叩き出していきます。
7桁賞与が続出する「公平な格差」
ルールが透明だから他責にできない
吉岡:その仕組みで得た「成果」は、最終的にどのような形で支払われるのでしょうか。
加藤:最後はすべて「賞与」にダイレクトに跳ね返ります。実は、私たちが毎月支払っているお給料というのは、ある意味で「概算払い」に過ぎないという位置づけなのです。賞与算定時ごとに最終的な評価額を計算し、毎月払っている給与と実績に乖離があった場合は、その差額を賞与として還元します。通常の月給を遥かに超える生産性を叩き出したメンバーには、その貢献分が還元されますから、若手でも7桁、つまり数百万円の賞与を手にするスタッフが何名も出てきます。スタッフ自身、システム上で自分の今期実績がいつでも分かるので、「今年はこれくらいの賞与が出そうだな」としっかり納得しながら働いています。
吉岡:その代わり、高パフォーマンスを叩き出したスタッフは、翌年には時間単価が上がるのですよね。相応のプレッシャーも伴いますね。
加藤:もちろん、翌年は時間単価が上がりますから、緊張感は当然あります。また、単価が上がれば、同じパフォーマンスでは加算賞与が出なくなります。それまでのやり方では工数が足りなくなるので、より一層、若手や新さっぽろのバックオフィスに仕事を上手に依頼し、自分はさらに高付加価値な仕事へシフトしていくという逆算の動きが必要になります。
吉岡:だからこそ、普通ならもっともシワ寄せが行きやすいバックオフィスなどのポジションに、最大の敬意が払われるわけですね。
加藤:まさにその通りです。稼ぎたいスタッフや、成長したいスタッフからすれば、新さっぽろで記帳代行を支えてくれているスタッフや若手の存在は、「自分の生産性を上げてくれる、絶対に欠かせない大切なパートナー」になり、とても大切に丁寧に接しています。
吉岡:目標設定についても、独自のスタンスがあると伺いました。
加藤:「今年は新規を10件獲得せよ」といったノルマを上から課したことは一度もありません。各スタッフが「この1年で自分が有言実行できること」を自分で設定し、その積み上げが事務所全体の計画になります。経営者が計画を先に作り、各人に割り振るのとは逆の順序です。組織の中には突出して成長するスタッフと、緩やかに成長するスタッフがいますが、それを一律に扱おうとすると無理が生じてしまいますので。
吉岡:今の若い世代には、とくに魅力的な制度のように見えます。
加藤:若い世代は、体育会系的な長時間労働を嫌いますが、それ以上に「成長の機会がない」と感じることもモチベーションを下げます。公平な評価制度の下、同期でも3年後には明確な給与差がついていい。ルールが透明で、自分の行動次第で自己成長を感じる場合に限って納得し、受け入れられるのです。そこがポイントです。「公平な格差」があれば、ホワイトな職場環境と成果主義は両立できると確信しています。もっとも、制度に馴染めないスタッフは比較的早期に離職してしまいますが、それはミスマッチの早期解消であり、双方にとって合理的な結果だと考えています。
吉岡:採用はどのような方針で行っているのでしょうか。
加藤:昨年まで新卒採用を積極的に行っていましたが、新人比率が高くなりすぎたため、今年は一時停止しています。採用の入口では「自由と挑戦」というスローガンを掲げており、応募者のほとんどがこのフレーズに反応して応募して来てくださいます。私たちの考える「自由」は、上下関係にとらわれず、自発性が尊重され、自立的に動けるということを意味しており、「挑戦」は、協働によってその機会にも恵まれ、その成果次第で評価が大きく変わるという意味です。
吉岡:採用選考の段階で、チャージや生産管理制度の説明もしているのですか。
加藤:あえてしていません。業界未経験の学生に「先輩の仕事を手伝ったらチャージが積み上がり、賞与に反映される」と説明しても、具体的な実感が持てないからです。ただ、入社後には、1年目から「自分が何か覚えたら先輩にアプローチせよ」というスタンスを徹底的に植え付けます。能動的な行動原理が身についた段階で、初めて時間単価という概念を理解させていくのです。その順序が重要だと考えています。
吉岡:「与えられるのを待つ」のではなく、「自分で取りに行く」という文化ですね。
加藤:評価が伸びないのも、仕事が回ってこないのも、すべて自分の行動の結果です。上司のせい、制度のせいという発想が成立しない構造になっているのです。コミュニケーション能力がなければ先輩から指名されない。アプローチをしなければ仕事は来ない。それを理不尽と感じるスタッフは早めに離脱していきますが、制度の本質を理解した人間には非常に公平に映り自立性が高まります。この文化の浸透こそが、事務所の成長を支える最大の基盤だと考えています。






EQという経営哲学
「やりたいことを、どうやってもらうか」を問い続ける
吉岡:加藤先生には、フェアであることをとても重視している姿勢が伺えます。そのような経営哲学は、どのようなご経験から生まれてきたのでしょうか。
加藤:私が22〜23歳のとき、税理士試験の勉強中にダニエル・ゴールマンの『EQ(心の知能指数)』という本に出会いました。当時4,000円ほどした、私にはとても高価な本だったのを覚えています。女性で、IQという武器もない。そんな自分が、これからどう生き抜いていくかを真剣に考えていた時期に出会った本です。この本から、私は「人の心理は絶対にあなどれない」という確信を得ました。以来、ずっとEQという考え方を自分の軸に置いていますし、弊所の事業計画書にもEQやSQという考え方を明記しています。
吉岡:実際の経営の中で、EQはどのように機能しているのですか。
加藤:たとえば、「このタイミングでこの人の心に火をつければ、事務所が成長する」という瞬間が必ずあります。経営者としては、そのタイミングを逃さないことがとても重要です。そのようなフェーズが訪れたら、見計らって本人をつかまえ、他事務所の見学会に連れて行くなど外からの刺激を意図的に与える。他責にできない制度設計と、人の心理に働きかけるタイミングの介入、このふたつが組み合わさることで組織が自律的に動いていくのです。
吉岡:経営者としての自分の仕事をどう定義していますか。
加藤:自分が頑張ることではありません。「人がやりたいことを、どうやってもらうか」を考え、それが活きやすい環境を整備し続けることです。「あすか式生産管理制度」も、すべてその目的のために設計されています。人間の個々の欲求と、公平なルールと、協動のインセンティブが重なり合う場をつくる—それがトップの仕事だと考えています。現在の100名、10億円超という規模は、成長を目指して積み上げてきた結果というよりも、一人ひとりのスタッフが「こうなりたい」という希望を持って行動した結果の総量です。それがたまたまこの数字になっただけだと私は認識しています。

全スタッフの投票で次代を創る
加藤氏が踏み切る「代表総選挙」の真意
吉岡:最後になりますが、組織のトップとして、次世代のことも常に意識されていると思います。次代を担う人材、後継者の育成はどのように進めていらっしゃいますか。
加藤:実は昨年、3代目として10年間指名し続けてきた役員が辞任しました。若い頃から後継者として育て、代表就任まで果たしたのですが、本人の本音は「現場でお客様と向き合いたい」「経営者になりたくなかった」というものでした。
吉岡:加藤先生自身も、望まない形で代表になられた経緯がありましたね。後継者候補がいなくなったいま、どのようなビジョンを描いていらっしゃるのでしょうか。

加藤:私は今55歳ですが、60歳で引退することを決めています。ですから、あと5年で後継者を見つけ、育てなければなりません。しかし20年近く在籍した後継者候補が、個人開業で抜けたばかり。現在のメンバーはどうしても手を挙げにくい状況です。
そこで、今年1月の全体会議で「次世代を担う経営者を選挙で決めるかもしれない」と宣言しました。「この人がトップなら一緒にやっていける、事務所が良くなる」と感じるメンバーを、全スタッフの投票で選ぶ構想です。繁忙期の3〜5月こそ人の本性が出るので、その時期に先輩たちの姿をよく見ておくようスタッフに伝えてあり、夏頃にアンケートを実施する予定です。仮に30代の若手が選ばれたとしても、その人物を次期代表候補にします。
数年間は私が後見人として伴走しますが、AIによる業界の大変革を感じる昨今ですから、令和の時代に若いリーダーを立てることには、むしろ積極的な意味があると考えています。
吉岡:前例のない手法ですが、なぜそこまで踏み切れるのですか。
加藤:元々同族経営ではありませんし、50代を過ぎると、多くの人は自分の人生の着地点が見えてきます。変化に対応するエネルギーという観点では、30代、40代には及ばないことが多いですよね。誰かに任せるのなら、エネルギーのある人間に任せた方が組織にとってプラスになります。そして何より、「あの人に経営してほしい」と皆が思う人間をトップに据える—その方が、私たちの文化にフィットした方法なのではないかと思っています。考えてみれば、あすか式生産管理制度もまさにそういう思想で設計されているのですから。仕事は上から降ってくるのではなく、「この人と働きたい」「この人に頼みたい」という信頼と実績の積み重ねで回っていく。であるならば、次のトップを決める方法も、その延長線上にあるべきだと思っています。
吉岡:本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。あすか税理士法人さんの今後のさらなるご発展を心より楽しみにしております。
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