不動産税務と節税対策(新米税理士のための自己啓発ガイド Vol.7)

税理士法人SBL
八木 正宣

2021/7/16

不動産を譲渡したときや購入したとき、賃貸したときには税金が発生します。その税金は、不動産取得税や登録免許税、贈与税、相続税、譲渡所得税など多岐にわたり、さまざまな特例が設けられています。不動産に関わる税務に横断的に強くなることは税理士として大きな強みとなり得ます。

 

1.幅広い知識が要求される不動産税務

不動産に関わる税金は、取得・所有・売却の各段階でそれぞれ多くの税目が関係してきます。主なものを列挙してみると、次のとおりです。

①取得時

所得税・住民税(住宅ローン控除)
登録免許税(登記時)
不動産取得税
印紙税
固定資産税
消費税
贈与税(贈与を受けた場合)
相続税(相続を受けた場合)
②所有時

固定資産税
所得税・住民税(個人で収益不動産を所有)
法人税(法人で収益不動産を所有)
③売却時

所得税・住民税(譲渡所得)
印紙税
消費税

2.不動産にかかる特例や節税対策など

不動産の取引には、大きなお金が動きます。当然、そこにかかってくる税金も、高額になりがちで、特例の活用や売却・取得の時期によって、大きな節税効果が表れる分野です。

気を付けたいポイントは次のとおりです。

①取得時

収益不動産を建築、購入するときの検討材料である、デベロッパーの作成した計画書は概算で作成されています。取得後の節税効果や資金繰り計画等について、具体的な顧客情報に基づいて検証できるようにしなければなりません。
居住用不動産の取得であれば、「住宅取得資金贈与の特例」「住宅ローン控除」「譲渡損失の損益通算・繰越控除」の適否を検討し、取得時期等についてアドバイスしておきたいところです。
住宅取得資金贈与の特例と住宅ローン控除は、取得時期等によって内容が異なるので注意しなければなりません。
②所有時

収益不動産を個人で所有するか、それとも法人で所有するかによって、税金のかかり方やお金の流れが変わります。
オーナーの不動産を絡めた相続税対策を検討するときには、不動産管理法人の設立が有効です。賃貸不動産からの収益を法人で計上し、後継者へ役員給与を支払うことによって、本人の相続財産を減少させ、後継者において相続税の納税資金等を準備することができます。
③売却時

個人で不動産を売却したときは、長期譲渡の場合には譲渡所得に対して約20%の所得税・住民税がかかります。また、翌年の国民健康保険料の計算にも影響が出てきますので、事前の税金や保険料の試算をすべきでしょう。
法人で所有する物件の売却益は、そのまま法人の利益に加算され、法人税の課税対象となります。
売却時の特例には、「買換え特例」「マイホームの3,000万円控除」「空き家の3,000円控除」「交換の特例」など多数ありますので、適用漏れがないようアドバイスしたいところです。

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