民法(相続法)を押さえる(新米税理士のための自己啓発ガイド Vol.6)

税理士法人SBL
八木 正宣

2021/7/16

相続税は、民法(相続法)の適用関係や財産評価などが基本となります。所得計算が中心の法人税や所得税とは別の体系となる税目ですが、今後団塊世代の相続が増え、企業経営者の相続対策について潜在的なニーズはありますので、しっかり取り組みたいところです。

 

民法(相続法)を押さえる

誰が相続人となり、どのような手順で相続の手続きを進めるのか等、よりどころとなるのが民法の相続法です。

相続法で押さえておかなければならないのは、およそ次のとおりです。

相続税は、民法の規定をベースにしつつ次の項目を修正して計算することになっています。

①法定相続人の数

相続放棄があった場合には、その放棄がなかったものとして「法定相続人の数」の規定が適用され、「相続税の基礎控除」「相続税の総額」「死亡保険金・死亡退職金の非課税額」の計算を行います。
②みなし相続財産・非課税財産

死亡保険金や死亡退職金は、契約や会社規程により支払われる財産で相続財産ではありませんが、相続税法上は相続財産とみなして相続税を課税することとしています。
一方で、死亡保険金や死亡退職金のうち一定の非課税枠、お墓や一定の寄附などは相続税の非課税財産としています。

3つの視点で相続対策

将来に必ず起こる相続について、事前に対策を行っておきたいところです。相続対策のポイントは次のとおりです。

①節税対策

将来発生する相続税を減らすことが対策の骨子です。
建物を建築して相続財産の評価額を下げたり、暦年贈与や教育資金、住宅取得資金の特例贈与を活用して、予め相続人等に財産を移したりすることで、相続税が減少します。
②遺産分割対策

相続発生後は、相続人全員が遺産について、取り分を話し合わなければなりません。遺産が金銭のみであれば分割しやすいと言えますが、自社株式や不動産であれば、それは困難です。
生前に遺言書を書いておく、懸念の財産については生前贈与を行って予め財産を移転させておく、一定の死亡保険金という形で準備するといった対策が考えられます。なお、死亡保険金はみなし相続財産であるため、遺産分割協議の対象外となります。
③資金対策

遺産を相続したときの相続税の支払いは、原則として金銭一時納付です。
相続した財産が、非上場の自社株式や不動産であった場合には、その相続税を納めるための金銭を別に用意しなければなりません。
また、不動産や自社株式を一手に相続する代わりに他の相続人に金銭を渡す「代償相続」があります。この場合にもまとまった金銭が必要になります。
対策としては、生命保険契約により金銭を確実に確保する、生前贈与を受けて金銭を貯めておく等があります。

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