制度の概要<カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 第2回>

佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏

2021/10/20

第2回:カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の内容


カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は、「2050年カーボンニュートラル」という目標達成のために創設された制度であり、その内容は次のとおりです。
 
1、制度の概要
・青色申告書を提出する法人で産業競争力強化法に規定する認定事業適応事業者が、
・産業競争力強化法の改正法施行日から令和6年3月31日までの間に、
・認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された生産工程効率化等設備又は需要開拓商品生産設備を取得等し、
・国内にあるその法人の事業の用に供した場合で、
・一定の要件に該当する場合には、
・特別償却又は税額控除のいずれかの措置が認められます。
そして、この特別償却と税額控除という税制上の具体的な措置は、次のとおりとなっています。

2、特別償却と税額控除について
(1)生産工程効率化等設備の取得等をした場合
①設備の内容
生産プロセスを大幅に省エネ化・脱炭素化するための最新の設備であり、その導入により事業所の炭素生産性を1%以上向上させる事を満たす必要があります。
なお、対象となる設備は、
・機械装置
・器具備品
・建物附属設備
・構築物
です。

②特別償却額と税額控除額
炭素生産性の向上割合等によって措置の内容が異なります。
具体的には、事業所等の単位で炭素排出量1単位あたりの炭素生産性の目標を満たす計画において、次のように区分されます。
(イ)3年以内に7%以上向上の場合には、
特別償却額:取得価額×50%
税額控除額:取得価額×5%
(ロ)3年以内に10%以上向上の場合
特別償却額:取得価額×50%
税額控除額:取得価額×10%

(2)需要開拓商品生産設備の取得等をした場合
①設備の内容
脱炭素化を加速する製品を生産するための次の設備です。
 (イ)需要開拓商品の生産を行うために不可欠な機械装置であること
 (ロ)専ら需要開拓商品の生産に使用されること
(※)需要開拓商品とは、燃料電池・化合物パワー半導体等のうち、特に優れた性能を有するものです。
なお、対象となる設備は、機械装置です。

②特別償却額と税額控除額
特別償却額:取得価額×50%
税額控除額:取得価額×10%

(3)投資額の上限
今回の税制上の措置の適用を受ける場合には、上記記載の取得価額は500億円が限度です。

(4)税額控除額の上限
他の税制上の措置として創設されたデジタルトランスフォーメーション投資促進税制の税額控除額との合計で調整前法人税額の20%が限度となります。

3、まとめ
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は、産業競争力強化法に規定する「事業適応計画」に基づいて導入される所定の設備の取得等をし、一定の要件に該当する場合には、特別償却又は税額控除の選択適用が出来るというものです。
そして、この特別償却と税額控除の金額については、取得等する設備の内容等によって異なり、そして、投資額(取得価額)や税額控除額の上限等が決まっています。

<出典元>
環境省:
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて

経済産業省:
令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正のポイント
令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について

財務省:
「令和3年度税制改正(案)のポイント」(令和3年2月)

産業競争力強化法
租税特別措置法
租税特別措置法施行令
財務省令
その他関連法令

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