税理士開業のすすめ(新米税理士のための自己啓発ガイド Vol.12)

税理士法人SBL
八木 正宣

2021/10/20

本シリーズでは、税理士になったばかりの皆さんが一人前の税理士になるために必要なノウハウを紹介していきます。最終となる今回は「税理士事務所の開業」について取り上げます。

税理士開業のすすめ


勤務先の税理士事務所等でスキルを積んだ後には、退職して開業税理士を選ぶか勤務税理士のままでいるかの選択があります。せっかく取得した税理士資格。今後の税理士人生をどのような形で進めていくのかは大切なことです。
 
1. 開業税理士の責任・リスク
税理士は社会からの信用度が高く、税理士業務は独占業務として守られており、かつ初期投資が少額で済ますことができる、独立開業に向いている資格です。

勤務税理士と比べると、自分のペースで仕事をすることができ、自己実現と経済的成果を得る可能性があり、大きなモチベーションとなることは間違いありません。

一方で開業税理士となると、いち経営者としての力量が求められ、業務上の全てに責任を負わなければなりません。以下開業税理士が開業前に心得ておくべき項目を列挙してみました。

●税理士法について、より深く理解し守らなければなりません。
●従業員を雇用した場合には、労働基準法や就業規則、福利厚生制度を考慮しなければなりません。
●誤った税務処理を行った場合には、損害賠償を請求されるリスクがあります。
●経営者に代わりはいないため、心身ともに健康でいないといけません。
●自分のペースで仕事ができるはずですが、休日も仕事をしていることが多くなっていることもあります。
●事務所の経営が傾かないよう、営業面、雇用面、資金繰り面など全方面に気を配らなければなりません。


2.  独立開業するにあたって検討すべき事
それでは、税理士事務所の開業のために検討しておきたいポイントを3つ紹介いたします。

①顧客獲得
税理士事務所の看板を立てただけでは、仕事が舞い込む時代ではありません。自分自身が営業をして顧客を獲得していかなくてはなりません。他人に好意をもたれるような振舞いやコミュニケーション能力も求められます。
税理士事務所の顧客獲得ルートは、知人・他士業・提携金融機関・保険代理店・不動産会社等・顧客からの紹介のほか、ホームページ・SNS等での情報発信やセミナー講師、執筆活動、業界団体や社会福祉・親睦団体での活動などがあげられます。

②オフィス
自宅開業、レンタルオフィス、テナントのおもに3つの形態があります。開業時のコストを最小限に抑えるには自宅開業、コストを抑えつつ仕事と家庭の区別を図りたい場合には、レンタルオフィスでの開業が選択肢となります。
ただ顧客からの信用を考えると、テナントオフィスを構えたいところです。事業展開によって、形態や所在地を変更することを想定して計画すると良いでしょう。

③融資
開業のキッカケは、独立を勧められたり、後押しがあったり、顧客が増えそうなタイミングだったりだと思います。その時の貯金が不十分であれば、融資に頼ることとなります。貯金はもちろん、融資を受けることができるよう、前々から心がけておきたいところです。

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