どんな税理士を目指すか(新米税理士のための自己啓発ガイド Vol.3)
税理士法人SBL
八木 正宣
2021/7/16
税理士は税の専門家ですが、すべての税金に精通することは困難といえます。これから税理士として活躍するにあたって、今の自分は何が得意なのか、今後何をしたいのかを確認しましょう。
1.今までの経歴を確認しよう
これから、どんな税理士を目指すかを考えるときに、まずご自身の資格取得のルートや、職歴などから自分自身の強みと弱みを把握しましょう。
①税務署OBの方
課税当局側の事情に詳しいことは強みですが、税務署での勤務は、個人課税・法人課税・資産課税・間接部門のいずれかの 系統に偏りがちです。担当してこなかった税目については、実務経験を積んでいかなければなりません。
②試験に合格した方
税理士試験は科目合格制を採用しています。合格した科目については実務においても強みになりますが、そうでない科目に ついては実務経験を積んでいかなければなりません。また、勉強した内容と実務には少なからずギャップもあります。
③公認会計士・弁護士の方
それぞれの士業資格があることが強みですが、税務に関する勉強が限定的なため、全般的に税務の実務を積んでいかなけれ ばなりません。
④職歴について
税理士事務所での勤務を経験された方は、その分実務対応力が高いといえます。監査法人、一般企業の経理職、金融機関な どの職歴は、他の税理士との差別化という観点では、プラスになることも少なくありません。
2.どんな税理士を目指すか考えよう
数多くある税金の中で、税理士として関わることの多い税目は、企業から依頼の多い法人税・所得税・消費税で、税理士業務の7~8割を占めるほどの基幹業務といえます。
また企業側では、顧問税理士に対し助言者としての役割を求めることから、税法はもちろん経営全般のアドバイスを求めることも少なくありません。業種に特化したほうが、業界の課題に対してより深く掘り下げて対応できることとなります。以下に、主な業種ごとに押さえるべきポイントをまとめています。
また、2015年の相続税法改正により相続税の課税対象が拡大しました。これを受けて相続税専門の税理士が増えています。相続税は民法の規定を基本に成り立っていて、法人税や所得税といった所得計算の税金とは質が異なる税金となります。
このように、一口に税理士といっても専門分野が異なってきます。実務経験を積むなどして自身が目指す方向性を考えていきましょう。