2050年カーボンニュートラル等について<カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 第1回>

佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏

2021/10/20

第1回:2050年カーボンニュートラル等について


令和3年度税制改正項目の一つとして、「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」が創設されました。
この制度は、日本において、「2050年カーボンニュートラル」という目標を達成するために、産業競争力強化法に新たな計画認定制度を創設し、「事業適応計画」に基づいて導入される所定の設備等の取得等をし、一定の要件に該当する場合には、特別償却又は税額控除との選択適用が出来るというものです。
そこで、この特別償却や特別控除といった税制上の支援措置を受けるにあたって知っておきたい内容を今回はご案内します。
 
1、2050年カーボンニュートラル
令和2年10月26日の第203回臨時国会にて、菅義偉内閣総理大臣は所信表明演説で、
「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」
ことを宣言しました。
これは、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという事であり、計算式でいうと、
 
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量
マイナス
森林などによる吸収量
イコール
ゼロ
 
というイメージです。
 
2、産業競争力強化法
平成26年1月20日に施行された「産業競争力強化法」は、アベノミクスの第三の矢である「日本再興戦略」に盛り込まれた施策を確実に実行し、日本経済を再生し、産業競争力を強化することを目的としています。
そして、第204回国会において、令和3年度の税制改正法案並びに産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案が提出され、税制改正項目として、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制等が盛り込まれ、その適用を受けるための前提として、事業適応計画等が措置されています。
 
3、事業適応
産業競争力強化法の改正のうち、事業適応の円滑化が追加され、この事業適応のうち、エネルギー利用環境負荷低減事業適応の課税の特例制度として、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制が規定される事になりました。
 
4、まとめ
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は、「2050年カーボンニュートラル」を達成するために、産業競争力強化法を改正し、新たな計画認定制度である「事業適応計画」のうちのエネルギー利用環境負荷低減事業適応の課税の特例制度として制定されました。
税制改正の具体的な内容を解説する前に、この制度が創設された趣旨や経緯を知る事により、実務に役立つ部分もありますので、今回は、「2050年カーボンニュートラル」、「産業競争力強化法」、「事業適応」についてご案内しました。
なお、今回のご案内は、平易にご説明するために、一部内容を要約・簡略化をして説明していますので、詳細は、産業競争力強化法等の関連法令にてご確認をお願いします。
 
<出典元>
環境省:
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて

経済産業省:
令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正のポイント
令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について

財務省:
「令和3年度税制改正(案)のポイント」(令和3年2月)

産業競争力強化法
租税特別措置法
租税特別措置法施行令
財務省令
その他関連法令

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