最先端DX化が目指すのは「効率経営」ではない!?
徹底的な製販分離が可能にする「一人あたり年間売上400万円戦略」とは? Vol.1

目黒雅和税理士事務所

目黒雅和 税理士・行政書士事務所 目黒 雅和

経理のクラウド化・DX化に大きな強みを持つ、目黒雅和税理士・行政書士事務所。 今回は最先端DX化を実現に導いた徹底した仕組み作りと人間的なコミュニケーションの共存、事務所の今後の展望について、代表の目黒雅和氏に話を聞いた。

雇用形態も働き方もフレキシブル
重視するのは経験ではなく意志と意欲

まずは現在の事務所の体制について伺いますが、
職員の方々はどのような雇用形態で働いているのでしょうか?

正社員、準社員、パート、業務委託と形態もさまざまで、私も含め全部で17人のスタッフがいます。働き方としてはフル在宅が4人、その他は出社と在宅のハイブリッド。管理チームが全面的にシフト管理をしています。出社が4、5人いないと事務所のオペレーションがスムーズではないというのもあって、出社している社員が一定数になるように、誰かが休んだ場合には在宅予定だった人が代わりに出てくれるという感じで、社員同士がお互いに融通をきかせて、人数のバランスを取ってもらっています。

雇用形態も働き方も一般的な事務所と比べて多様な印象がありますが、
採用基準や面接の際に重視している点はありますか?

応募者の人柄によることが大きいです。あとは職歴にストーリーを感じるかどうか。つまりここに至るまでの経緯を見た時に辻褄が合うかという点を重視しています。特に正社員の場合は、人生において働く意義や必要性を持っているか、そのうえで能動的な発想を持てる人柄かどうかを見ていて、実務経験はあまり重視していません。なぜなら、業務に関して、私どものような町の税理士事務所って実はそんなに難しいことを扱わないのです。求めるところの業務フローはすでに構築しているので、その流れに素直にのってもらえるかどうかです。そこをクリアできれば、ある程度は業務が進むようになっており、資格・経験というよりも素直さを兼ね備えている人間性が大事と考えています。

独立と子育ての大変な時期が重なり…
短期決戦で乗り切った過去

独立後、わりと短期間で今の体制を作り上げられた印象があるのですが、
何かきっかけや考えがあったのでしょうか。

前職の事務所で業務効率、生産性の向上、製販分離を推進する役割を担っていました。また、自身で開拓したお客様が20~30社ありましたので、事務所を辞めて独立する際はその20~30社をそのまま引継ぐことができました。

そこまでは良かったのですが、会計ソフトと税務ソフトを全て入れ替える決断をしたのですが、それがまあ大変でした。
もともと「エプソン」だった税務ソフトを「達人」に替えたのですが、そもそも電子申告する情報を一から入力しないといけない、会計データを全て「財務応援」から「マネーフォワードクラウド会計」に置き換えないといけない、マネーフォワードで自動仕訳ルールも作らないといけない…となってしまったので最初は本当に大変でしたね。

当時、プライベートでも子ども二人に手がかかる時期な上に、妻も税理士で開業していましたので私も子育てには参画しないと家庭が回らないということもあり、息つく暇もない状況でした。しかし、前職の製販分離を責任者として推進した経験と、効率化がもともと好きだったことを思い出し、“最初の3か月が勝負だ!”という強い気持ちでシステム変更に伴う業務過多の時期を乗り切りました。

行きたくなる事務所づくり
スタッフ自身がワクワクしながら働ける環境を

現状の事務所運営について、税務以外の「経営サポート」については、
どのようなサービス提供をされていらっしゃるのでしょうか。

最近はオンライン会議が中心ですが、お客様から事務所に来て頂いたりすることも増えています。というのも、一度事務所にお越し頂いて決算の報告をすると、次から「事務所に行った方が話が早い」「事務所の方が話をしやすい」「むしろ事務所に行きたい」となるみたいで、来所していただくことが増えてきました。弊所に来ていただけると、顧客対応もきちんとしているし、美味しいお菓子も出ます。しかも2時間くらいゆっくりしていただけますし、なんならその後飲みにも行ける(笑)…といったサロンのようなくつろげる状況を、意識的に演出しています。スタッフには、言われたことを言われた通りにやるのではなく、ワクワクする心とホスピタリティ精神を忘れずに、好きにやっていいと日々伝えています。例えば、来客時にどんなお茶菓子や接遇をすれば喜ばれるか?そんなお題を出しています。スタッフは試食をしたり、おしぼりを工夫したりとワイワイ楽しく決めているようです。

なるほど。事務所の皆さんで、お客様にリラックスしてもらえる環境を作っているのですね。
一息つける場所だと、お客様も自ら色々と話してくださるのではないでしょうか。

経営者の本当の悩みは頭の中にあるので、細かい指摘をするよりも、その悩みに耳を傾け一緒に毎月の数字を見ていった方がより安心されます。試算表を淡々と報告するのではなく、会社の状況や経営者自身の体調、最近のご家族との関係、業界のトピックスなどを交えながら一緒に経営のかじ取りすることを大事にしています。また、応接のディスプレイを大画面にしているので、視覚的にも分かりやすいようで、ただ試算表を渡されるよりも大きな画面で説明を受けた方が頭に入るんだ!と言われることも多いです。

徹底的な分業化とシステム化
一つ残った属人的な業務とは

所内の組織運営はどのようになっているのでしょうか。

事務所内には、管理サポートチームと税務会計チームの2つのチームがあります。
管理サポートチームでは、ITクラウドツールの導入運用から、書類デジタル化、顧問先とのコミュニケーション、一次対応など、主に「総務・庶務」に当たる業務を幅広く行っています。例えば、実物の紙が届いたらまずスキャンします。DocuWorks文書に生成して、それをクラウド上にアップロードします。これにより在宅のスタッフも出社しているのと同様にクラウド上で作業をすることができます。税務会計チームは、顧問先とのコミュニケーションを取ったり申告書の作成などを行っています。

仕訳から申告書作成までの業務はかなり分業化されているそうですが、
各種ツールの導入やマニュアルの整備はどのように取り組まれているのでしょうか。

各顧問先フォルダに、「確認済フォルダ」というフォルダがあるのですが、前月以前の精査が終わった資料が格納されているので、それを見れば新任スタッフであってもやるべき作業の流れがわかるようになっています。工程管理としては、Mykomonの「進捗管理表」を使い、業務を細分化かつ可視化しており、その完了・未了についてを税務会計チームとは別の、管理サポートチームが管理する流れになっています。
弊所では、MyKomon・マネーフォワードシリーズ・みえるクラウドログ・Google・Chatwork・STREAMED・達人などを中心に活用しています。それ以外にもLINE 、Notta、oVice、Dropboxなどを使用しています。

使用ツールの紹介


今こうやって話していることも、議事録としてAIで自動で文字起こしをしています。それから領収書やレシートはSTREAMEDで起票することを徹底しています。手で入力すると時間もかかるし、ミスも起こりやすい。データ化することで資料として保存できますし、電帳法にも対応が可能です。

システム運用で必要になってくる費用は、およそ一人いくらといった目安はあるのでしょうか?
MyKomon以外にも基本アカウントで費用が必要となると、一人雇うごとにある程度費用がかかってしまうことにもなりますよね。

そうですね。MyKomonとGoogleワークスペースはメールアドレスを紐づけないといけないので、一人アカウントを増やすと、年間1〜2万円くらいかかります。
これらは使い勝手がいいですが、人数が増えていくとやはり固定費も上がるので、増員の流れだと、毎月の請求書の金額が気になりますね。ただ、現状はストレージが大容量を無課金で使えているので、これが使えている間は現状のままで行くかなと思います。

貴事務所の体制を見ていると、バックヤード部隊がとても充実していますよね。
そうなると、新規のお客様の獲得という点では目黒先生がほぼメインになってくるのでしょうか。

その通りです。正直なところ6年目までは、私の感覚をご理解頂ける顧問先や得意とする経理の業務効率化の案件などを中心に増やしてきていました。だからそういう意味では、仕事の獲得は属人的と言えますね。ただ、7年目に入り、私も50の大台が見えてくる歳になりましたので、このままではいけないと思い組織力で集客ができるように下地作りを始めているところです。

プロフィール
目黒雅和 税理士・行政書士事務所 目黒 雅和

東京都内の小規模な会計事務所、大規模事務所に勤務し、さまざまな業務を経験。
2018年8月千葉県浦安市で開業。
一般的な税務会計から組織再編や経営者の相続・事業承継対策のほか、経営コンサルティング、行政への各種許認可申請手続など幅広くサポート。
MF会計を基盤とする業務効率化・クラウドツール活用の最先端事例として事務所見学会も実施。

ーー* 後編へつづく *ーー

  

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