鶴田幸久が語る 売上100億円への確信
10年で10倍を目論む急成長の秘密を探る Vol.2

グロースリンク税理士法人 代表 鶴田 幸久

企業が大きく成長するためには、つねに時代の先を読み続けていくことはもちろんのこと、組織づくりも欠かせない要素である。 学生時代から不景気に負けない経営者を目指して税理士になったという鶴田幸久先生。 同氏が代表を務めるグロースリンク税理士法人は、現在好調な業績推移を続け、売上100億円を見据えて、さらなる成長を遂げようとしている。今回は、鶴田先生に事務所の成長について詳しく聞いた。

新卒採用数を伸ばすために

貴事務所では、新卒採用にも力をいれていらっしゃいますが、新卒の割合はどれくらいですか?

今年の新卒入所が8人、来年の新卒内定者も8人です。正職員は新卒を含めて105人なので、割合としては10分の1程度です。あとは、パートさんが今のところ45人くらいです。
来年の採用計画としては、純増で45人を採用し、正社員で150名、パートで50名の合計200名体制にしたいと考えています。あくまでも目標ですが、内訳としては、新卒で10人、中途で35人採用したいと思っています。全体の3割くらいが新卒で入ってきた社員の割合になっています。

新卒採用者が今年と来年にかけて20人近く入所するとなりますと、研修や育成プログラムなどはどのように工夫されていらっしゃいますか?

新卒採用者の研修については、内定を出した時点で「内定者研修」を行っています。
内容としては、入所前にアルバイトとして来てもらって事務所の雰囲気を知ってもらうようにしているほか、月に一度こちらが推奨する本を読んでもらったり、あとはビズアップ総研さんの研修動画(e-JINZAI for account)も内定期間中に何本かを見ておいてもらったりしています。

ありがとうございます。新卒採用者の残存率といいますか、1年間、皆そのまま残っていくというような感じなのでしょうか?

正直な話をしますと、過去の新卒採用者が4~5人ぐらいの時は、確かに1~3年で1人辞めるか辞めないかというくらいでした。でも、一昨年採用した新卒採用者はまだ誰も辞めていないです。 おそらく同時採用の人数が増えてくると同期のつながりもあって、辞めにくくなってくるというのもありますし、当事務所も年々残業が減ってきているので、昔と比べると負担感が変わってきているのだと思います。今新卒で入る職員は、単純な仕事量の観点では、昔と比較するとだいぶ楽なのではないでしょうか。

近年、優秀な人材を採用するのが非常に難しい時代になってきている中、
貴事務所では毎年4~5人だった採用が8人に増え、今年も10人くらいを見込んでいらっしゃるとのことでした。
新卒者採用を強化するにあたり、効果的だった取り組みがありましたら教えていただけますか?

当事務所の場合、人材採用をするにあたって、内定を出すまでのサイクルが年々速くなっていると思います。時期も含めて、早めに内定を出しています。
また、以前から取り入れていたこととして、内定を出す前から当事務所では入所試験の宿題として決算書分析などを課しています。もちろんいきなりでは大変なので、この試験を行う時は先輩職員がメンターとして、応募者一人に対して一人ずつ付けているので、わからないことがあったらその先輩職員に相談できる仕組みを作っています。
メンターが付くのはだいたい1週間程度です。当事務所の試験で課した課題を発表後、次の試験の日まで約1週間あるので、この期間はメンターにどれだけ相談してもいいことにしています。その結果、入所前につながりができることによって、不安等も払しょくされて、入りやすい雰囲気になっているかもしれませんね。


今後の課題と2030年に向けて

先生が経営を進めていく中で、今一番の課題だと思っていることは何でしょうか?

課題は、やはりマネージャー育成だと思っています。
会計事務所なので、基本的にはプレイヤー志向の人が多いんですね。そのため、自分自身は仕事ができても、いざ人を育成する立場になるとなかなかうまくいかないということが起きるのです。

自分がパッとできることも部下ができないことへのもどかしさやジレンマを感じるというのを現場でもよく聞きます。
本来プレイヤーであれば、自分もお客様と直接向き合い仕事をすることで喜んでいただけるし、その方がずっと楽なわけですが、これが下についた職員を介して同等の成果を出していくとなると、いきなり難しくなってくるのです。いかにマネジメント力をつけていくかがマネージャーを育成する上でも難易度が高いと感じています。

個々のマネージャーによっても考え方や方針は違うこともあり、あるマネージャーが部下に引っ張られているなと思った時は、私からも「こうやって打ち返しておいて」という感じで、マネージャーにアドバイスをすることもあります。

マネージャーの適性、という観点で、どのような人が向いている等はありますか?

私が直接全社にお話しする機会は、毎週1回、週初会議というのがあるのですが、そこでしゃべる10分ぐらいしかありません。それ以外の部分は各拠点のマネージャーがマネジメントしていかないといけないので、会社全体の方針やミッションをしっかり浸透させてくれる人が良いですね。ですので、別に資格の有無に関わらず、そこに関しては重要視しています。

先ほど「2030年に全国10拠点」という話の中で、まずは東海地方に展開したいと仰っていましたが、その目標達成に向けて先生の展望や具体的なロードマップのようなものがあれば、お聞かせいただけますでしょうか?

2030年まであと6年ありますので、年に1拠点くらいのペースでまずは東海地方に展開していき、その先に全国展開につながる話が出てくればと思っています。ただ、目標として掲げているので、必ず10拠点はいく、そのつもりでやっていますね。


何かそれ以外で目標にしていることがあれば教えていただけますか?

そうですね。当事務所の年商としては、2033年で100億円を目標に掲げています。だいたい5年で3.3倍、10年で10倍のスピードで進んでいるイメージです。
この数字を税務だけで達成するのは難しいので、やはりメイン事業のほかに、新規事業も伸ばすとか、そういった展開が当事務所にも必要ではないかと思っています。現時点で何かあるというわけではないのですが、これまでしっかりと伸ばしてきた経験をベースにして新しいことにチャレンジしていきたいと思います。

最後に先生から見て、「事務所に貢献してくれそうな人の特長」がありましたら
教えていただけますか?

一番は、やはり素直な人ですね。事務所の理念に共感してくれる人といった方がいいかもしれません。これまで長い間いろいろな職員を見てきましたが、素直な人はやはり長続きしていますし、うちの理念にもきちんと合わせて業務に取り組んでくれるという印象があります。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

プロフィール
グロースリンク税理士法人 代表 鶴田 幸久

1975年、愛知県岡崎市生まれ。岡崎高校、名古屋市立大学卒。税理士。中小企業診断士、M&Aアドバイザー、医療経営コンサルタント。
2006年に独立開業し、2012年に税理士法人鶴田会計を設立。2020年4月に社名をグロースリンク税理士法人に変更し、同5月に名古屋の新たなランドマークとして注目を集めるグローバルゲートへ移転。

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