2年ぶり復活の人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは 

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は、平成29年度に創設された人事評価改善等助成金がベースとなっています。令和4年度、令和5年度は、令和2年からのコロナ禍で、雇用調整助成金が爆発的に支給され、助成金財源が枯渇したため、2年間募集を中止し、令和6年度から募集を再開しています。
「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」とは、生産性向上のための人事評価制度と賃金制度の整備を通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するもので、人材不足の解消を目的とした助成金です。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の助成の概要

事業主が、生産性向上のための人事評価制度と労働者の賃金アップを含む賃金制度(以下「人事評価制度等」と表記します。)を整備して実施することを通じて、生産性向上を図り、労働者の賃金の3%以上のアップ、離職率の低下に関する目標を達成した場合に80万円を支給する助成金です。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)支給までの流れ

  1. 人事評価制度等整備計画の作成・提出
    【計画の提出期限】予定する人事評価制度等の適用開始日がある月の初日の6か月~1か月前の日までに提出してください。
  2. 認定を受けた①の整備計画に基づく人事評価制度等の整備(就業規則に明文化することが必要)
  3. 人事評価制度等の実施
  4. 支給申請
    【支給申請の提出期間】人事評価制度等の実施日又は評価時離職率算定期間の末日のいずれか遅い日の翌日から起算して2か月以内

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の対象となる事業主の主な要件とは

  1. 雇用保険の適用事業主であること
  2. 人事評価制度等の適用開始日から支給申請日の前日までに、雇用保険被保険者を継続して雇用していること
  3. 該当の人事評価制度等に基づき、毎月の賃金の総額を3%以上増加させたこと
  4. 評価時離職率が30%以下であり、計画時離職率と比較して目標以上に低下させたこと

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の対象となる人事評価制度・賃金制度要件について

  1. 労働者の生産性の向上に資する人事評価制度および賃金制度であること
  2. 労働組合又は労働者の過半数を代表する者と合意していること
  3. 人事評価の対象・基準等が明確であること
  4. 労働者に開示していること
  5. 能力・技能・資格、行動・コンピテンシー・努力・姿勢・情意、成果・業績など、労働者個人の意思によって向上させることが可能な項目を対象とするものであること
  6. 評価の基準が、年齢又は勤続年数のみで一義的に決定されるものではないこと
  7. 評価が年1回以上行われること
  8. 人事評価による評定と、賃金の変動の幅との関係が明確であること
  9. 賃金表を定めていること
  10. 新制度等の適用対象となる対象労働者が、新制度等における人事評価において平均的な評定を受ける場合に関して、人事評価制度等の「実施日の属する月の前月」と「実施日の属する月」を比較して賃金が3%以上増加する見込みであること
  11. 全ての人事評価制度等対象労働者の総額賃金も3%以上増加する見込みであること
  12. 新しく整備した人事評価制度等により対象となる労働者を実際に評価した日から人事評価制度等の実施日が2か月以内であること
  13. 賃金の額の引き下げを行う等、助成金の趣旨・目的に反する人事評価制度等でないこと

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の対象となる就業規則の例

就業規則に追加
(人事評価)
第41条 会社は、従業員の公正かつ合理的な人事管理を行うために毎年1月1日に人事評価を実施する。
2 会社は、臨時に従業員の人事評価を行う必要がある場合には、臨時に行うことがある。
3 人事評価による昇給等の詳細は賃金規定第16条に定める。

賃金規定に追加
(賃金の改定)
第16条 会社は、全ての雇用保険被保険者に対して、別紙、基本給表により賃金を改定する。
2 評価項目は、知識・技術、判断力、企画力・問題解決力、統率力、人材育成力、折衝力、情報活用力、顧客対応力、ストレス耐性、柔軟性、協調性、規律性、勤務態度とする。
3 評価区分は、一般社員、中間管理職、上級管理職とする。
4 賃金表は、別紙、基本給表及び基本給改定表とする。
5 評価者は代表取締役とする。
6 評価対象期間は、毎年1月1日から12月31日とする。
7 評価の時期は毎年1月1日とし、1月分の給与から改定する。
8 評価の手続きは、①被評価者に評価表を渡し自己評価の後、②代表取締役(評価者)が評価し、③被評価者に開示するものとする。
9 第7項のほか、特別に必要があるときは、臨時に賃金の改定を行うことがある。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の対象となる能力評価表の例

評価項目を、知識・技術、判断力、企画力・問題解決力、統率力、人材育成力、折衝力、情報活用力、顧客対応力、ストレス耐性、柔軟性、協調性、規律性、勤務態度とする能力評価表の例を記載します。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の対象となる基本給表、基本給改定表の例

B(標準)の平均的な評定を受けた場合の賃金額について、3%以上増加する見込みの基本給表、基本給改定表の例を記載します。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の参考資料

厚生労働省 人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)を活用してみませんか?

山上 幸一

やまがみ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
教育訓練機関27年在籍の経験を活かし、教育訓練・人事制度の助成金申請を得意とする。 助成金申請とそれに関連する就業規則の作成が業務の90%を占める「助成金専門社労士」。 開業8年で、15都道府県・延べ1,200コース超(約14億円)の助成金申請実績を誇る。 保有資格は、社会保険労務士の他、職業訓練指導員、日商簿記1級、税理士簿記論、 宅地建物取引士、FPなど。平成28年度は、助成金388コース(約1.5億円)を対応した実績を持つ。

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