働き方改革推進支援助成金対象の「貨物自動車等」とは!
やまがみ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
山上 幸一
自動車も対象の働き方改革推進支援助成金
自動車の補助金といえば、電気自動車(EV)向けのEV補助金が有名ですが、ガソリン車、ディーゼル車でも対象となる、最大8割補助の「働き方改革推進支援助成金」という助成金があることをご存じですか。
働き方改革推進支援助成金とは、労働者の年次有給休暇の取得促進、残業時間の削減等に取り組む事業主に対して、労働能率の向上となる貨物自動車等、システム、機械等に対して最大8割補助(所定の上限有)をしている助成金です。
本稿では、働き方改革推進支援助成金で自動車を購入する場合の支給対象の自動車区分、支給対象の付随費用、注意点について説明します。
働き方改革推進支援助成金の対象となるかは、原則は車検証(自動車検査証)の区分
働き方改革推進支援助成金では、「貨物自動車、特種用途自動車」が助成対象となり、「乗用自動車」は助成対象とはなりません。その区分は車検証の「用途」欄の記載により判断することになります。ただし、車検証の区分が「乗用」の場合であっても、車いす移動車(福祉車両)は支給対象となります。
貨物自動車 | 特種用途自動車 | 「乗用」でも支給対象となるもの |
軽トラック/軽貨物自動車/バン/トラック/ダンプトラック | 除雪車/ショベルローダ/フォークリフト/冷蔵冷凍車/レッカー車/農耕用作業自動車 | 車いす移動車(福祉車両) |
通常事業活動に伴う経費とされて対象外となる車両等
働き方改革推進支援助成金では、下記の車両等は、通常事業活動に伴う経費とされて対象外となります。
- 電動アシスト折り畳み自転車
- 原動機付き自転車
- 超小型EV(電気自動車)
乗用車、貨物自動車、特種用途自動車のナンバープレートの決まり
区分ごとに、上1桁の番号を見ることで車の用途がわかります。中古車を購入する場合には、ナンバープレート(1ナンバー、4ナンバー、8ナンバーが対象)で、支給対象かどうかを判断できます。
- 乗用車:3ナンバーまたは5ナンバー
- 貨物自動車:1ナンバーまたは4ナンバー
- 特種用途自動車:8ナンバー
(貨物、特種用途)自動車購入時の費用のうち、助成対象になる・ならないもの
【助成対象となる費用】
- 車両本体
- 検査登録(届出)手続の代行費
- 車庫証明手続の代行費
- 納車費用
- クレーン、リフト等の労働能率の増進に資する機器の費用
- カーペットマット、サイドバイザー(ドアバイザー)等通常装備されるもの
【助成対象とならない費用】
- 検査登録(届出)手続預かり法定費用
- 車庫証明手続預かり法定費用
- 販売車両リサイクル料金
- 自動車取得税
- 自動車重量税
- 自動車賠償責任保険
- 希望ナンバー交付手数料
- ETC車載器
- オーディオ等のオプション装備(原則として対象外)
【労働能率の向上になれば助成対象】
カーナビ等のオプションについては、それが労働能率の増進に資すると認められるのであれば助成対象となります。
新規に労働者を採用するとともに新たに貨物自動車を購入する場合は支給対象外
新たな人材を追加するのに合わせて貨物自動車を追加導入することにより受注数の増加を狙う場合は、(既存労働者の作業時間の短縮は図られないため)労働能率の向上に資する取組とは認められないため、支給対象外となります。
《働き方改革推進支援助成金支給要領》
厚生労働省:「働き方改革推進支援助成金支給要領(労働時間短縮・年休促進支援コース)支給要領」8・9ページより抜粋
事業で認められる経費
1 経費区分 | 2 内容 |
謝金 | 専門家謝金 |
旅費 | 専門家旅費、職員旅費(外国旅費、日当、宿泊費を除く) |
借損料 | 機器・設備類、ソフトウェア等のレンタル、リース等の費用、ICTを利用したサービスの利用料(リース料、レンタル料、サー ビス利用料等に含まれる諸経費) |
会議費 | 会議の費用(会場借料、通信運搬費を含む) |
雑役務費 | 研修等受講料、 機器・設備類、ソフトウェア等の保守費用 |
広告宣伝費 | 求人広告の掲載、合同企業説明会への出展、求人パンフレット・ ダイレクトメール等の作成等の費用 |
印刷製本費 | 研修資料、マニュアル等の作成の費用 |
備品費 | 図書、ICカード、自動車(乗用自動車等を除く)等の購入費用、ソフトウェア等の購入、改良等の費用(設定費用、社員等に対する研修費用を含む) |
機械装置等購入費 | 機器・設備類の購入、改良等の費用(設定費用、社員等に対する 研修費用を含む)、機器・設備類の設置、撤去等の費用 |
委託費 | 調査会社、コンサルタント会社、システム開発会社、広告代理店 等への委託費用 |
《働き方改革推進支援助成金Q&A》
Ⅳ-⑨(労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 ほか)
Ⅳ-⑨13 自動車の購入について、車両本体以外の関連費用はどのようなものが助成対象となるか。
【回答】
自動車購入に際して支払を要する費用のうち、車両本体以外で助成対象となるものは、検査登録(届出)手続の代行費、車庫証明手続の代行費、納車費用等であり、対象とならないものは、検査登録(届出)手続預かり法定費用、車庫証明手続預かり法定費用、販売車両リサイクル料金、自動車取得税、自動車重量税、自動車賠償責任保険等である。
なお、希望ナンバー交付手数料のほか、オーディオ等のオプション装備についても原則として対象外であるが、クレーン、リフト等の労働能率の増進に資する機器や、カーペットマット、サイドバイザー(ドアバイザー)等通常装備されるものについては、助成対象となる。
山上 幸一
やまがみ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
教育訓練機関27年在籍の経験を活かし、教育訓練・人事制度の助成金申請を得意とする。
助成金申請とそれに関連する就業規則の作成が業務の90%を占める「助成金専門社労士」。
開業8年で、15都道府県・延べ1,200コース超(約14億円)の助成金申請実績を誇る。
保有資格は、社会保険労務士の他、職業訓練指導員、日商簿記1級、税理士簿記論、
宅地建物取引士、FPなど。平成28年度は、助成金388コース(約1.5億円)を対応した実績を持つ。