「継続力」を身につけるための3ステップ:STEP1

習慣化コンサルタント 習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
古川 武士

STEP1 反発期(やめたくなる)【1日~7日】

スタートから7日目までは、最も挫折率が高いため「反発期」と呼んでいます。よく3日坊主といいますが、むしろ7日目までが最も続けるのが難しい時期です。私の調査では実に42%の方がこの時期に挫折しています。反発期は習慣引力の抵抗が最も強く、まるで大雨洪水警報が発令されている暴風雨の中を歩くようなものです。
私が習慣化コンサルタントとしてサポートしているときも、多くの方から「いやー、最初の2~3日だけはやったんですけどね」「なかなか忙しくてやる時間がなくて」「やっぱり、私続かない性格みたいです」といったあきらめの声を聞いてきました。ただ、反発期で挫折することは、いつもどおりを維持しようとする習慣引力の法則からすれば当たり前ともいえます。だから自分を過度に責める必要はありません。最初の7日間の反発期は誰でも乗り越えるのが難しいものだと分かったうえで、上手に乗り切る方法を知っておけばいいのです。また裏を返せば、最初の7日間を上手に乗り切れば、 大きな壁を突破したといえます。
では反発期をどのように乗り越えていけばいいのでしょうか。それは、「とにかく続ける」ことです。続けることが大変なこの時期は、毎日何があっても行動を絶やさないことだけに集中していきましょう。

以上を踏まえ、反発期の対策を2つご紹介します。


1.ベビーステップで始める

ベビーステップとは、赤ちゃんの一歩という意味で、簡単にいうと「小さく始めましょう」ということです。
私が何をやっても続かないときは、「完璧にやる」か「全くやらない」の2つに1つでしか考えられていませんでした。以前、毎日1時間走ると決めた際、最初の2日は走れましたが、3日目は雨で中止、4日目は飲み会で夜23時まで盛り上がってしまったため何も出来ず、週末も遊びに出かけて帰宅が遅くなったため中止。ついに走ること自体が億劫になって挫折してしまいました。あなたにも思い当たる節はないでしょうか。
しかし、続けられる人はベビーステップで続けるのです。先ほどの毎日1時間走るという例であれば、ある人は「最初は15分のウォーキング」から始めていました。そして、徐々に慣れてきたらランニングに切り替え、時間を延ばしていくというステップで続けていたのです。このように小さく始めれば、習慣引力の抵抗にも負けずに続けることができるのです。

もう一つ、片づけを例にとりましょう。私は片づけも苦手だったのですが、続かない原因は同じく「完璧に片づける」か「全く片づけない」の2つに1つで考えていたためでした。しかも、片づけるなら完璧でないと気が済まない性格なので、結果的に1日、2日かかります。大掃除になるので、掃除に対するハードルと苦手意識はますます高くなり、片づけが億劫になっていきました。その結果、部屋はいつも散らかっているという悪循環でした。
そこでベビーステップとして、「15分片づけ」を始めました。タイマーをセットし、15分間片づけることをゴールにしたのです。そうすると、わずか15分でかなり家が片づきました。しかも、タイマーがカウントダウン式なので締切り効果もありゲーム感覚で楽しく片づけられたのです。翌日も15分、その翌日も15分。一週間もしたら家は見違えるようにキレイになり、その状態をずっとキープできたのです。更に朝から15分片づけることで気持ちが爽快になり、1日のいいスタートを切ることができるようになりました。

どんなことがあっても続けられる小さな一歩を踏み出すことがベビーステップです。
不思議なものでどんな小さな一歩でも行動を起こすと、更に行動を引き起こすやる気が湧いてきます。それがどんどん加速していき、いつの間にか続いているということにつながります。
ベビーステップは言い訳ができないくらい確実にクリアできるハードルを設定してください。それ以上やってはいけないというわけではありませんが、この反発期は結果よりも、とにかく続けることが重要です。極端なたとえですが、英語の勉強を何もしないよりは、本を開いて1行だけでも読むほうが習慣化するには効果的なのです。

次は、ベビーステップを決めるときの方法を2つご紹介します。
1つは時間を短くすることです。たとえば、15分片づける、10分勉強する、5分日記をつける、10分走るといった具合です。
2つ目は難易度を下げることです。たとえば、1つの部屋だけ片づける、本を1ページは読む、「走る」ではなく「ウォーキング」するなどです。
まずは、ベビーステップで7日間を続けてください。ベビーステップの行動が小さすぎて「物足りない」「もっとできる」という声も聞くのですが、それぐらいでちょうどいいのです。ハードルを上げるのは7日目以降とし、最初はスロースタートを切るのが最も成功確率を高めてくれます。物足りなさを是非受け入れて、ウォーミングアップのつもりで始めてみてください。7日目を過ぎると、続けることへの抵抗感が驚くほど少なくなっているのを感じるでしょう。


2.シンプルに記録する

反発期の対策の2つ目はシンプルに記録することです。記録する効果は、自分の行動の見える化により続けることへのやる気が上がること、行動を自己管理できることにあります。
記録するというと「面倒くさい」と思われる方が多いかもしれませんが、シンプルで簡単なものにすれば、楽しく、ラクに続けることができます。
たとえば、毎日記録するために「いつも持ち歩いている手帳に記録する」「体重計の前に紙を貼っておく」など手間がかからない簡単な方法を考えてみましょう。
また、ただチェックをつけるだけではなく、かわいいシールを貼り付けていくとやる気も上がるかもしれません。たとえば「スマイルマーク」だったり「キティちゃんのシール」でもいいでしょう。ちょっとした工夫が毎日続けることへのやる気を上げてくれます。まずはどこに記録するか、どう記録するかを考えてみてください。

次回は、STEP2 不安定期(振り回される)【8日~21日】をご紹介いたします。

古川 武士

習慣化コンサルタント 習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に人材育成会社を設立。 コーチング・心理学を専門にこれまで企業研修・講演を通じて2万人以上の育成に携わってきた。 また、個人コンサルティングとしては経営者から若手ビジネスパーソン、主婦まで幅広く200名以上を支援している。多くの育成現場で痛感したことは、人が本当に変わっていくためには、 よい習慣を確実に身につける「続ける習慣」が重要と考え、オリジナルの習慣化理論とメソッドを開発。 独自メソッドを元に、企業研修、個人向けセミナー、コンサルティングを行っている。
著書に『続ける習慣』(現在7万部突破、韓国・台湾・中国で翻訳)『やめる習慣』 『すぐやる習慣』など計16冊で70万部を超えている。メディア掲載実績として、NHK、テレビ朝日、テレビ東京、朝日新聞、日経ビジネス、日経ウーマン、OZPLUS、プレジデント、 プレジデントファミリー、「企業と人材」等がある。

登録後送られる認証用メールをクリックすると、登録完了となります。

売上アップの秘訣や事務所経営に役立つ情報が満載
税理士.chの最新記事をメールでお知らせ

BizWebinar無料ご招待
キャンペーン実施中!

2025年3月末までにご登録の方限定で、
BizWebinar(弊社オンラインセミナー)へ無料でご招待いたします。(一部セミナーを除く)この機会に是非、ご登録ください。