不動産オーナーの現状と会計事務所が提供すべき新たな高付加価値サービス

大家の右腕 ® 税理士事務所 代表税理士
一般社団法人大家の右腕 ® 代表理事
株式会社右腕 代表取締役
吉田(細江) 博之 先生

不動産オーナーや大家さんに「確定申告代行のみ行っている」なんてことはありませんか?

今、全国の大家さんは不動産経営全般を支援してくれる会計事務所を求めています。

大家業界では、不動産経営をトータルでサポートできるパートナーが不足しているため、不動産業者からの不利な提案を受け入れ、それによって苦しい経営を余儀なくされている大家さんが溢れています。

そこで今回は100人以上の大家さんへの支援実績を持ち、相続税1億円や所得税300万円の節税などの成果を上げられた大家の右腕 ® 税理士事務所 代表税理士 吉田(細江)博之先生に、大家さんが直面している現状と税理士が不動産経営のサポートを行うべき理由についてお話を伺いました。

大家さんの悩みで多いものについて教えてください。

2020年には築40年以上の築古物件が100万戸を超え、2040年には400万戸に上ると言われています。

私が関わっている「地主系の大家さん」の悩みも、築古物件について、建て替えをどうするのかということや、築古の物件をいつ、どのようにして手放したらよいのか、という出口戦略、あとは家賃の相談が多いですね。ちなみに、ここでいう「地主系の大家さん」とは、地下鉄などのインフラが整い、ベッドタウンが開発されてきた50年位前に、先代が地主になったような、親がすでに土地・不動産を持っていた方のことです。

税理士の先生も、ハウスメーカーとタッグを組み、相続税をシミュレーション診断して、「本来の相続税が1億円のところ、この物件を建て替えると 5千万円になりますよ」と、建て替えで相続税がどれだけ安くなるかというアドバイスまではしている方は多いと思います。しかし問題はその先で、所得税と物件を建て替えた場合の、毎月、毎年のキャッシュフローについては、提示している先生がほぼいないのが実情です。ですから、まずはこの部分を最初のステップとして、ぜひ税理士先生に取り組んでもらいたいと考えています。

賃貸経営に悩んで私のところに来る方は、コストや節税の観点から改善策を知りたいという方が多いです。そこへの一番の対策は法人活用だと私は考えています。法人をいかに活用して、税金を安くするかという税務の部分とキャッシュフローを良くするという財務の部分、経営のど真ん中であるこの2つをきちんと改善できていれば、 数字はうそをつかないので、良くよくなってきたことを実感してもらえるはずです。

賃貸物件を経営するうえで大切なことは何でしょうか。

管理会社に物件を任せっきりな大家さんも少なくないですが、収益化のためにはやはり自分自身できちんと把握することがとても重要です。現状、そのことに気づいている大家さんはあまりいないようですが、同一エリアで自分の物件と同じ条件で検索して出てくる競合の家賃を調べて、自分自身で家賃を設定しないと、賃貸経営してもまったく儲からないということになると思います。家賃は、需要と供給のバランスが非常に大切になるので、私は住宅系の検索エンジンとポータルサイトで、検索率と掲載率を調べています。掲載のほうが検索よりも多い場合は、供給過多ということですし、逆に検索が多くて掲載が少ないという地域や間取りは、非常に収益性が高い。つまり家賃を上げることができる物件であることがわかります。

そのため、入り口である購入判断の時点で、このエリアだったら家賃が上げられるかを大家さん自身が判断することが大事になってきます。名古屋を例に挙げると、中村区という名古屋駅周辺のエリアが、ここ10年で大規模開発され、今や昔からの繁華街である栄の地価の倍近くになっています。東京であれば、高輪ゲートウェイが高騰しています。

そのように局地的に見ると地価の高騰に従って家賃を高く設定できる場所はあるものの、一般的には今後の人口減少に伴って家賃は下落していくでしょう。大家さん側から見ると、これから建てる物件はどうしても収益化が難しい物件になってしまうと思います。供給に対して需要が低い場所に建ててしまった場合、建築価格の高騰もあり、残念ながら手放さざるを得ない状況も出てきてしまいます。昔と違い、今の時代、土地を持っているオーナーでも、投資的な側面からも購入判断をしっかりしないと、損をしてしまう可能性があるわけです。また、不動産承継の場合は、いわゆる事業承継と違って、あまり前もって準備したり意識したりすることなく相続を迎えて継ぐという方が多いのです。

本来は賃貸経営の知識をつけたうえで継ぐべきなのに、賃貸経営というと、ただ入金があってコストを払えばそれで良いのだろうと思っている大家さんが圧倒的に多いです。知識をつけず管理会社にまかせっきりにすると、デッドクロスになってしまったり、空室率が高まってしまったりなどの問題が発生し、最悪の場合、破綻していますケースも想定されます。それらを防ぐためにも 承継は早くやるべきで、60代や70代の時点から意識して代替わりしていかないと遅いと思います。

入居者に関しては、大家さんにどのようなアドバイスをされていますか。

自分の物件のターゲット設定をしっかりすることです。先ほども例に出した名古屋中区の場合、住人の10人に1人は外国人です。外国人が多いことによるトラブルはやはりないとは言えません。内装を汚してしまったり、共有部でバーベキューをしたり、匂いのトラブルもありますね。ただし逆手にとって、外国人向けのアパートにするという提案もできるのです。通常のリフォームは不要ですし、入浴の習慣がない場合は、追い焚き機能も特にいりません。日本人向けとは異なり和室の方が好まれる傾向もあります。

入居者として、異文化ゆえにトラブルになりやすい外国人もですが、高齢の方もどうしても死亡リスクが出てしまうので、敬遠されがちではあります。その点でも、逆に高齢者に対しては、見回り確認サービスを導入してメリットとして打ち出すというアドバイスもできます。また、長く入居している高齢者の場合、建て替えに伴う立ち退きが発生することもあるのが現実です。すんなりいかないことも多いので、税理士が建て替え、立ち退きのリアルを知っていると、良いアドバイスができると思います。改めて考えると、賃貸経営は日本における社会問題の現実を表していますね。

大家さんのパートナーとして、税理士が最適な理由を教えてください。

端的に、数字のスペシャリストだからです。加えて、税理士なら簡単にできる確定申告書の入手も、銀行や不動産業者にとってすぐにできることではありません。返済予定表や固定資産税の評価明細といった、分析に必要な資料を手元にすぐ揃えられるのは税理士だけです。また、我々が提唱する「税務的」「市場的」「投資的」「多面的」という4つの視点において、一番大事といっても過言ではないのが「税務的な視点」です。つまり、この部分を本業としてきた税理士は非常に適任なのです。

さらに税理士には、経営者のパートナーとして積み重ねてきた信頼がすでにあることも挙げられます。賃貸経営のパートナーが誰かと聞かれたら、多くの大家さんは「税理士さん」と答えるでしょう。大家さんの家族の状況をきちんと把握し、より良い提案を伝えられる人が誰かと言うと税理士なのです。

しかし、申告をメインにしている税理士先生が多いこともあって、特に不動産賃貸業の方に対しては確定申告の事後処理しかしていないケースがとても多いのです。それでは、税理士にとっても大家さんにとってももったいない。

法人化のニーズは一巡したということもよく耳にしますが全くそんなことはありません。課税所得が1千万円以上の場合は、法人活用した方が良いというのが定説となっていますが、実はそのようなことはなく、5百万円からでも活用が可能です。1千万円という数字が独り歩きしていますが、5百万円からでも良いのであれば、法人活用のニーズの幅は大きく広がります。

「不動産賃貸業は確定申告しかやることないし、なんなら確定申告も手間がかかるから時期忙しい時期にやりたくない」とお考えの先生方もいらっしゃるとは思いますが、数字や指標を基にきちんと学ぶことで、今まで確定申告しかしていなかった先生方でも、大家さんが困っていることに対して、税理士として具体的なアクションと改善策を示して、サポートできることをわかってもらえると思います。

※詳細な計算方法や内訳については「大家特化の税理士養成講座(ページ下部のセミナー情報をご覧ください)」にてお伝えいたします。

相続対策について先生はどのようなコンサルティングをしていますか。

まずは話をよく聞いて、家族状況の分析を行います。そして、納税資金対策を考えていく中で、土地の有効活用として物件を建てることや、中古物件を買うことを提案するといったコンサルティングと同時に、現状の築古物件の出口や所得税が高い状況を打破するために、法人への売却やサブリース方式での活用を提案していきます。司法書士の先生から話が出てくる家族信託についても、法人活用が代わりになることは少なくありません。物件の大規模修繕や家賃交渉も大家さんが認知症になったらできないですが、物件を法人所有にして、その代表者を子どもさんなどにしておけば、家族信託する必要もないですから。

不動産オーナーである大家さんに対して、パートナーになりたいのは、税理士だけでなく、銀行や不動産業者も同じです。ただし特に銀行では、法人を活用したうえで借り換えとして、所有方式という物件を法人に売却後に移転させるスキームの採用が一般的です。本来は物件の築年数や状況、金額をきちんと把握していないといけないのですが、リスクの関係で、物件の売却価格を固定資産税評価額1本で行っている銀行もありますね。それに対して税理士であれば簿価で移す提案もできますし、銀行とは違う姿勢を見せることができます。

現契約の内容、その契約内容でのリスクなどの情報を提供してくれる人は、銀行や不動産業者ではなかなかいないと思います。

最後にメッセージをお願いします。

これからの日本は人口が減少し、地方では特に不動産価格が落ちていき、賃貸であれば空室率も必然的に上がってしまう状況は避けられないです。これまでとは違い、投資的な判断をきちんとしないと、土地を持っている地主系の大家さんでさえも損をしてしまう時代へと変化しつつあります。なおさらこれからの大家さんには経営支援の手が必要だと言えるでしょう。

そのためにも、やはり税理士がメインで支援し、必要に応じてパートナー企業である銀行や不動産業者に話をしていく流れが好ましいと思います。何から取り組むべきか悩んでしまう方も多いと思うのですが、一番大事なのは大家さんが今何に悩んでいるのかを直接話してもらうことです。そして、実際の不動産経営に関する知識と照らし合わせていけばいいのです。

「不動産経営のサポートを行うことは難しいのではないか」と意見をいただくこともありますが、そんなことはありません。税理士も大家さんと一緒に、二人三脚で成長していくのが理想だと考えています。

セミナー情報

今回ご寄稿いただきました吉田先生のハイグレードセミナー「大家特化の税理士養成講座」が2025年3月26日(水)より全3回にわたり開催されます!

こちらの講座では市場的視点・投資的視点など大家業に必要な経営視点を身につけ大家さんの「MAS」「法人化」「後継者育成」という高付加価値なサービスを提供できる専門家となるために必要なスキルを身につけることができます。

~講座の特長~
①確定申告のみの大家さんから「月2時間で10万円」の月次顧問契約を確立することができます!
②大家さん特化のアップセル・クロスセルのサービスプランを確立することができます!
③マーケティングの知識を身に着け、大家さんを獲得するビジネススキーム確立することができます!

講座の特典として、実務に即活用できる「大家さん向けセミナー資料」・「契約書」・「法人化シミュレーションツール」・「実務マニュアル」・「MAS監査資料」など幅広い資料をご提供いたします。
また、リアルタイムでの受講が難しい場合でも本講座にお申込みいただければ研修動画と資料をメール等で送付させていただきます!

100人超の支援実績を誇る税理士による「大家特化の税理士養成講座」
3つのスキルを身につけて高付加価値なサービスを提供できる専門家を育成

第1講:2025年3月26日(水)
第2講:2025年4月23日(水)
第3講:2025年5月21日(水)
※全日10:00~17:30

詳細・お申し込みはこちら

吉田(細江) 博之

大家の右腕 ® 税理士事務所 代表税理士
一般社団法人大家の右腕 ® 代表理事
株式会社右腕 代表取締役
資産税専門の税理士法人で多数の大家さんに対して、法人化の提案や相続税・所得税の節税を実践。 100人を超える地主系の大家さんをサポートし、相続税1億円の節税や所得税300万円の節税などの 成果を上げる。現在は大家の右腕®税理士として活動し、税理士向けの講座で大家さんに強い税理士を 多数輩出する活動に力を入れている。管理会社・生命保険会社・銀行などに向けても多数セミナーを 実施。

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