【職場環境の整備に活用】令和6年度の労働条件等関係助成⾦の詳細を紹介!

職場環境の改善を計画している事業所には、労働条件等関係助成⾦の提案が最適です。あらゆる職場環境の改善事案に対応しているため、大いに力になってくれるでしょう。

本記事では、8つの制度について、基本的な概要を紹介しています。気になる制度があれば、申請の流れなど詳細を個別にご確認ください。

目次

労働条件等関係助成金の概要と詳細

労働条件等関係助成金は職場の環境改善、生産性向上に向けた中小企業の取り組みをサポートするための助成金または補助金です。

厚生労働省が定めている中小企業の定義は次のとおりです。

資本金の額・出資の総額または常時雇用する労働者の数
飲食を含む小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

資本金の金額または従業員の数で会社の規模が分けられています。表を読み解くと、例えば卸売業で資本金が1億円を超えていても、従業員の数が100人以下であれば、中小企業となります。

逆に従業員の数が100人を超えていても資本金が1億円以下の場合、中小企業です。

労働条件等関係助成金は、いくつかの助成金の総称です。それぞれの状況に応じて、8つの助成金または補助金が用意されています。

  1. 業務改善助成金
  2. 働き方改革推進支援助成金
  3. 受動喫煙防止対策助成金
  4. 団体経由産業保健活動推進助成金
  5. 高度安全機械等導入助成金
  6. エイジフレンドリー補助金
  7. 個人ばく露測定定着促進補助金
  8. 中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成

ここでは、それぞれの助成金または助成金について、基本的な概要のみを説明します。
詳細は各制度の詳細にてご確認ください。

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上と最低賃金引き上げを支援するための助成金です。

事業所内の最低賃金を一定額引き上げて、生産性向上のための設備投資などを行った場合にその費用の一部が助成されます。事業所内最低賃金とは、雇用から3ヶ月が経過した労働者が受け取る事業場内で一番低い時間給のことを言います。

設備投資費用の支給金額を計算する時に適用される助成率は、費用の3/4~9/10と定められています。助成額の上限は事業規模や賃上げの人数によって決められており、支給金額は最大で600万円です。

事業所内の最低賃金助成率
900円未満9/10
900円以上950円未満4/5(9/10)
950円以上3/4(4/5)

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は労働時間の改善を支援するための助成金です。労働時間改善のアプローチによって、4つのコースが設けられています。

業務別課題対応コース

2024年4月1日より、時間外労働の上限規制が適用された建設業や運動業、病院、砂糖製造業について、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入など、労働環境整備に取り組む企業を支援する助成金です。

支給額は達成される成果ごとに設定されており、上限は250万円です。

労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させつつ、時間外労働の削減と年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む企業を支援するための助成金です。

申請要件は、設定されている対象となる取り組みの実施と成果目標の達成です。9つの設定された取り組みから一つ以上選択して、実施と達成をしなければいけません。

支給額は200万円が上限です。

勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバル制度は、勤務の終了時点から勤務までに一定の間隔を設ける制度です。過重労働を防止しつつ、労働者の健康を守るために設けられています。

勤務間インターバル導入コースは、勤務間インターバル制度の導入に取り組む企業を支援するコースです。

申請要件は、設定されている対象となる取り組みの実施と成果目標の達成です。9つの設定された取り組みから一つ以上選択して、実施と達成をしなければいけません。

支給額の上限は120万円です。

団体推進コース

団体推進コースにて助成金の対象となるのは、中小事業主の団体です。傘下にある事業主の従業員の労働条件改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを行う事業主団体等を支援します。

団体推進コースでは、支給対象となる取り組みと成果目標の両方の達成を目指すことが主な要件です。支給上限額は500万円に設定されています。

受動喫煙防止対策助成金

2020年4月より健康増進法が改正され、原則屋内禁煙が義務化されるようになりました。

受動喫煙防止対策助成金は特定の条件を満たす、飲食店や喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設を対象に助成金を給付しています。

助成の対象となる環境と措置は次のとおりです。

喫煙専用室の設置・改修・入口における風速が0.2 m/秒以上・煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されていること・煙を屋外または外部の場所に排気すること喫煙以外の利用は不可
指定たばこ専用喫煙室の設置・改修・入口における風速が0.2 m/秒以上・煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井などによって区画されていること・煙を屋外または外部の場所に排気すること喫煙外の利用は可能

交付は事業所単位をされており、一つの事業所につき1回のみ、上限は100万円です。

団体経由産業保健活動推進助成金

団体経由産業保健活動推進助成金は、事業主団体を通じて中小企業などの産業保健活動の支援を行うための助成金です。

労働組合のような事業主団体などが傘下の中小企業に対して、産業保健サービスの委託費用の総額90%を助成します。上限金額は500万円です。

団体を構成する事業主が50以上の場合は、上限は1,000万円に引き上げられます。

助成率90%
助成上限額500万円(1,000万円)
助成対象産業保健サービス+事務費

高度安全機械等導入助成金

高度安全機械等導入助成金は、車両系建設機械に取り付けるための安全装置を購入する際の助成金給付制度です。車両系建設機械とは、積載型トラックレーンや油圧ショベル、ホイールローダーのことを言います。

助成率安全装置1機当たり、金額の1/2
上限金額①安全装置が自動減速・停止機能を伴うもの補助額の上限は100万円②安全装置が監視・警告機能を伴うもの(複数カメラ)の補助額の上限は50万円

エイジフレンドリー補助金

エイジフレンドリー補助金は、高齢労働者をサポートするための設備導入、工事施工、健康保持増進を推進することで受けられる補助金です。

エイジフレンドリー補助金には「高年齢労働者の労働災害防止対策コース」と「コラボヘルスコース」「転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース」の3つのコースがあります。

高年齢労働者の労働災害防止対策コースは、設備投資や工事施工等によって労働災害が起こりにくいような取り組みを行うことで、高齢者の負担軽減や安全の確保を目的としています。

コラボヘルスコースは、高齢者に限らず、労働者の健康保持増進を目的とするものです。

高年齢労働者の労働災害防止対策コースの対象となる設備は次の通りです。

転倒・墜落災害防止対策作業床や通路の滑り防止対策、トラックの荷台等の昇降設備の導入等
重量物取扱いや介護作業における労働災害防止対策(腰痛予防対策)重量物運送機器・リフト、パワーアシストスーツ介護事業では入浴介助の際の身体的負担を軽減する機器など
暑熱な環境による労働災害防止対策(熱中症防止対策)熱中症が起こりやすい倉庫にエアコンがついていない場合、エアコンも補助対象。休憩設備を整備する際のエアコンの設置や、スポットクーラー、体温を下げるための機能のある服の導入
その他の高年齢労働者の労働災害防止対策(交通災害防止対策)業務用車両への踏み間違い防止装置の導入

コラボヘルスコースでは、労働者の健康保持増進のための取り組みに使った経費が対象です。

主な具体歴は次の通りです。

  • 健康診断結果等を踏まえた禁煙指導、メンタルヘルス対策、ハラスメント対策等の健康教育等(オンライン開催やeラーニングなども含む)
  • 事業所カルテ・健康スコアリングレポートを行うためのシステム導入

転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コースは令和6年度から導入されました。

労働者の加齢による「転倒」や「腰痛」の事故を防止するため、運動プログラムに基づいた身体機能のチェックまたは専門家の運動指導にかかる経費が補助対象です。

物品の購入はできません。腰痛や転倒防止以外のプログラムは、コラボヘルスコースに該当します。

高年齢労働者の
労働災害防止対策コース
コラボヘルスコース転倒防止や腰痛予防のための
スポーツ・運動指導コース
補助率1/23/43/4
上限額100万円30万円100万円

複数のコースを合わせた上限額は100万円です。複数のコースを併せて申し込む場合、同時でなければいけません。

個人ばく露測定定着促進補助金

化学物質を体内へ吸い込むことをばく露と言います。

個人ばく露測定定着促進補助金は、労働者の健康を守るために化学物質へのばく露を管理する取り組みを支援するための補助金です。主に中小企業を対象に、リスクアセスメントや技術上の指針に基づく個人ばく露測定の実施にかかる費用の一部を補助します。

補助対象リスクアセスメントの一環として行う測定、または技術上の指針に基づく測定。法令により実施が義務付けられている測定は補助対象外。
補助率1/2
上限金額5万円

中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成

本助成制度は中小企業が従業員の退職金制度として中小企業退職金共済制度(中退共)に新規加入する際の掛け金を助成します。制度の目的は、中小企業の退職金の充実と従業員の福利厚生の向上を図ることです。

助成内容は次のとおりです。

新規加入掛金助成・中小企業が新たに中退共に加入する場合、初年度の掛金の一部が助成される。・助成額は企業の規模や従業員数によって異なるものの、一般的には初年度の掛金の2分の1が助成される場合が多い
上乗せ助成・特定の要件を満たす中小企業は、さらに上乗せして掛金が助成される場合がある

助成額の上限は原則として一人当たり5,000円です。

まとめ:労働条件等関係助成⾦を活用してより良い環境を整備しましょう

大々的に報道されることは少ないですが、政府は中小企業へ数多くの助成金や補助金の’サポートを行っています。

職場環境の充実を図りたいものの、予算がないという場合でも、うまく助成金や補助金を使えば、職場環境を充実させることも可能です。職場環境改善に悩む事業所があれば、労働条件等関係助成⾦より該当するものを提案してみてはいかがでしょうか。

【まとめ記事】令和6年度の助成金・補助金について紹介します

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