【2025年度】東京都限定のインバウンド対応力強化支援事業補助金について解説

東京都限定のインバウンド対応力強化支援事業補助金について解説

国や地方自治体がインバウンド関連事業者への支援を強化しています。政府が2030年までに訪日外国人旅行者を6,000万人、消費額を15兆円とする目標を掲げており、これを達成するためには、インバウンド関連事業の強化が必要だからです。

この記事では、東京都が行っているインバウンド対応力強化支援事業補助金を中心に解説します。

目次

インバウンド関連事業者への支援が強化されている

インバウンドを増加させるためには、インバウンド関連事業者が事業力を強化することが求められます。

その後押しのために、国や地方自治体が様々な支援策を打ち出しています。

国は地方誘客を促進

国は国土交通省観光庁が中心になり、「地域観光魅力向上事業」として、「地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援」を行い地方誘客を促進しています。

政府は2030年までに訪日外国人旅行者を6,000万人、消費額を15兆円とする目標を掲げていますが、これを達成するためには、着地消費額100万円以上の高付加価値旅行層を地方に誘致する事が重要であるとしています。

そのための取り組みとして、地域観光魅力向上事業を行っています。

地域観光魅力向上事業の補助対象者は、地域の関係者と連携する地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会、民間企業等です。

観光コンテンツの販売や新たな観光コンテンツ造成及び販路構築を行おうとする事業者等に対して、 400万円から1,250万円までの資金を補助するというものです。
地域観光魅力向上事業事務局が随時公募を行っているので最新情報をチェックしましょう。

地方自治体によるインバウンド対策の補助金

都道府県や市区町村などの地方自治体もインバウンド対策の補助金を出しています。

各自治体ごとに対象となる事業者や内容が異なるため、対象となるかどうかは、各自治体のホームページなどで確認してください。

インバウンド対応力強化支援事業補助金とは

インバウンド対応力強化支援事業補助金は、東京都及び東京観光財団が独自に行なっているインバウンド補助事業です。

東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設が訪日外国人観光客が安心して快適に過ごせるように、多言語化等の対応を行おうとする場合に補助を受けられます。

対象にできる経費の種類が幅広い上、募集期間も長いので、東京都内のインバウンド関連事業者は、応募を検討すべき補助金です。

インバウンド対応力強化支援事業補助金の対象事業者

まず、東京都内の事業者であることが前提です。既に事業を行っている方だけでなく、開業予定者も、補助対象事業者となります。

補助対象となる可能性がある事業者は次のとおりです。

  • 宿泊施設
  • 飲食店
  • 免税店
  • 体験型コンテンツ提供施設等
  • 観光バス事業者
  • 観光タクシー事業者
  • 中小企業団体等
  • 観光関連事業者グループ

事業者の種類ごとに満たすべき要件が異なっているので一つ一つ確認しましょう。

宿泊施設

旅行業法の許可を受けて営業を行っている民間の宿泊施設です。一般的なホテルや旅館が対象になります。

店舗型性風俗特殊営業を行っている施設(例えば、ラブホテル)は対象外とされています。

また、住宅宿泊事業法(民泊新法)届出の「民泊」も対象外となっています。

飲食店

食品衛生法で定める飲食店営業又は喫茶店営業の許可を受けて、営業を行っている店舗で中小企業要件を満たす店舗が対象です。

風俗営業に該当する店舗は対象外です。

なお、中小企業要件とは、資本金が5,000万円以下又は、従業員数50人以下で、大企業が実質的に経営に参画していないことを意味します。

免税店

消費税免税店の許可を受けて、常設の販売場を設けて営業を行っている店舗で中小企業要件を満たす店舗が対象です。

性風俗関連特殊営業を行う店舗は対象外です。

中小企業要件とは、資本金が5,000万円以下又は、従業員数50人以下で、大企業が実質的に経営に参画していないことを意味します。

体験型コンテンツ提供施設等

外国人旅行者を対象とした体験型コンテンツの提供を自ら行う施設等で、中小企業要件を満たす事業者が対象になります。

風俗営業に該当する店舗は対象外です。

中小企業要件とは、資本金が5,000万円以下又は、従業員数100人以下で、大企業が実質的に経営に参画していないことを意味します。

なお、体験型コンテンツの例としては、華道・茶道体験、藍染め・金継ぎ体験、人力車等が挙げられています。

これらの体験を行うことがポイントで、例えば、鑑賞、観劇、リラクゼーション等は対象外とされています。

観光バス事業者

一般乗合旅客自動車運送事業(路線定期運行に限る)、一般貸切旅客自動車運送事業を営む民間の観光バス事業者で次の要件をすべて満たす事業者が対象です。

  • 観光周遊及び空港アクセス等の事業用自動車であること
  • 乗車定員 11 人以上であること
  • 道路運送車両法の道路運送車両の検査等及び自動車の登録を受けて、自動車検査証の交付を受けた車両であること
  • 排ガス PM 排出基準値 0.18g/KWh 以下であること
  •  補助対象観光バス事業者が現に使用していること

観光タクシー事業者

一般乗用旅客自動車運送事業者であり、都内における観光タクシー事業者で次のいずれかの車両を利用する事業者が対象です。

  • 標準仕様ユニバーサルデザインタクシー車両
  • 東京観光タクシー認定ドライバーが主として乗車する車両
  • 東京都地域通訳案内士が主として乗車する車両
  • 全国通訳案内士が主として乗車する車両
  • ホスピタリティータクシー乗務員が主として乗車する車両

中小企業団体等

都内に主たる事業所を有している中小企業団体等が対象です。

観光関連事業者グループ

都内の観光関連事業者グループが対象です。

4者以上の事業者で構成されていて、2分の1以上がつ大企業が実質的に経営に参画していない中小企業事業者であることが要件です。

補助の対象となる事業

補助の対象となる事業は、訪日外国人観光客が安心して快適に過ごせるように、多言語化等の対応を行おうとする事業などです。

具体的には次のような事業です。

  • 多言語対応(施設の利用案内・マナー啓発・HP の多言語化等)
  • 外国人向けグルメサイトへの登録・掲載
  • インバウンド対応に係る人材育成(研修会開催等)
  • 公衆無線LANの設置
  • キャッシュレス機器(クレジットカード・電子マネー・多通貨決済等)の
  • 導入
  • ロッカー・セルフクローク等手荷物預かり設備の導入
  • トイレの多機能化(男女共用多機能トイレの設置)
  • ムスリム・ベジタリアン等の受入対応に係る整備(祈祷室の整備等)
  • 災害時における外国人旅行者の受入対応(防災マップの作成等)
  • 防犯カメラの設置
  • 上記事業に係るコンサルティング

補助金の金額

補助金の上限は1施設あたり300万円です。防犯カメラの設置については、1施設あたり15箇所、90万円が上限です。

また、中小企業団体等、観光関連事業者グループは、1団体あたり上限1,000万円が上限となっています。

補助金の補助率

補助対象経費の2分の1以内 

多言語対応に係る事業は3分の2以内になります。

具体的な対象経費の例は次のようになっています。

事業対象経費
多言語対応(施設の利用案内・マナー啓発・HP の多言語化等)翻訳機の購入翻訳費翻訳した内容に係る制作費
外国人向けグルメサイトへの登録・掲載サイト初期登録費、初月月額費当該サイトへ直接依頼する記事制作・翻訳費、写真撮影・動画制作費
インバウンド対応に係る人材育成(研修会開催等)講師謝金、会場使用料、教材・マニュアル制作費
公衆無線LANの設置機器購入費、設置・工事費
キャッシュレス機器(クレジットカード・電子マネー・多通貨決済等)の導入機器購入費、設置費
ロッカー・セルフクローク等手荷物預かり設備の導入備品購入費、設置・工事費
トイレの多機能化(男女共用多機能トイレの設置)備品購入費、設置・工事費
ムスリム・ベジタリアン等の受入対応に係る整備(祈祷室の整備等)設置・工事費、厨房設備の購入費
災害時における外国人旅行者の受入対応(防災マップの作成等)翻訳費、制作費、印刷製本費、講師謝金
防犯カメラの設置機器購入費、設置・工事費

令和7年度の募集期間

インバウンド対応力強化支援事業補助金は年度ごとに行っていますが、令和7年度の募集期間は、令和7年4月1日から令和8年3月31日までです。

インバウンド対応力強化支援事業補助金の詳細

インバウンド対応力強化支援事業補助金の詳細は、東京観光財団のホームページで公開されています。
交付要綱、申請の手引きが用意されているので参考にしてください。

インバウンド対応力強化支援事業補助金 | 公益財団法人 東京観光財団

まとめ

国や地方自治体では、インバウンド関連事業者への支援を強化しており、様々な補助事業を行っています。

特に、東京都が行っているインバウンド対応力強化支援事業補助金は、経費とできる範囲が広い有利な制度なので、都内のインバウンド関連事業者はぜひとも活用したいところです。

税理士としては、顧問先のインバウンド関連事業者に対して、こうした補助金制度があることを案内し、財務面でのサポートを行っていくべきです。

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