子育てグリーン住宅支援事業2025とは?補助金額、要件、スケジュール等詳細解説

子育てグリーン住宅支援事業2025とは?補助金額、要件、スケジュール等詳細解説

子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ住宅作りを促進する国が実施している補助金制度のひとつです。

子育てグリーン住宅支援事業は2025年も実施され、子育て世帯だけが対象でなく、全世帯が対象となりました。本記事では、2025年実施の子育てグリーン住宅支援事業の概要について、2024年実施済みの制度との違いも比較しつつ、補助額含む実施内容や利用上の注意点など詳しく解説します。

これから新しく家を建てる予定の方、またリフォームを検討中の方は、ぜひ子育てグリーン住宅支援事業2025を利用され快適かつ環境に優しい家作りをめざして下さい。

目次

子育てグリーン住宅支援事業2025とは何か?

2025年に実施される子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ住宅を取得する際に利用できる補助金制度で、省エネ性能の高い注文住宅の建築・建売住宅の購入、既存住宅に省エネリフォーム等を行う世帯に対して国が一定の金額を補助します。

電気代やガソリン代、食料品等の物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若夫婦世帯を中心にZEH水準を上回る省エネ住宅の新築費用、全世帯を対象に既存住宅の省エネリフォーム費用を補助金支給で国が支援するのがその目的です。

さらに子育てグリーン住宅支援事業2025は、2050年を目処にカーボンニュートラルをめざす重要な取組でもあります。カーボンニュートラルは温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取組であり、一国だけで取組できる課題ではありません。

今や地球規模の課題となっている気候変動問題の解決に向けて、日本を含む世界120以上の国が一丸となってカーボンニュートラル実現の取組を進めています。

子育てグリーン住宅支援事業2025の概要

まずは子育てグリーン住宅支援事業2025の概要を解説します。

以下が子育てグリーン住宅支援事業2025を理解する上での重要なポイントになります。

区分住宅タイプ補助対象世帯補助額
新築住宅(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)GX志向型住宅(※1)全世帯最大160万円
長期優良住宅(※2)子育て世帯・若者夫婦世帯のみ最大100万円
ZEH水準住宅(※3)最大60万円
省エネリフォーム開口部の断熱改修・駆体部分の断熱改修・エコ住宅設備の設置(※上記のうち、2種類以上の工事が受給の必須条件)全世帯最大60万円

(※1) GX志向型住宅とは、地球温暖化対策としてのGX (グリーントランスフォーメーション)の考え方を住宅に取り入れた高性能の省エネ住宅のことです。エネルギー消費を大幅に抑える設備や太陽光発電システムなど導入しており、CO2排出量を大幅に削減する機能を持っています。

 (※2)長期優良住宅とは、国が定めた基準を満たし居住者が長く住み続けられるよう設計された住宅のことをいいます。省エネ性能だけでなく維持管理の容易さや耐久性の高さが売りです

 (※3) ZEH水準住宅とは、ZEH(NetZeroEnergyHouse)の略で、家の中の一次エネルギーをゼロ以下にすることが要件とされた省エネ住宅のことです。しかしZEH住宅とは異なり、太陽光発電システムなど再生エネルギー設備の導入は条件となっていません。

補助金の申請等の手続きの流れ

子育てグリーン住宅支援事業2025の補助金の申請等の流れを解説します。

なお、本章では例として注文住宅の新築のケースを取り上げます。(分譲住宅・賃貸住宅等の購入、省エネリフォームの申請の流れについては、事務局の公式サイトで個別にご確認下さい)

以下が注文住宅の新築の場合の補助金申請の流れになります。

子育てグリーン住宅支援事業は、建築事業者・販売事業者・工事施工業者等が補助金の申請をします。建築主(含む住宅購入者)が直接、申請手続きはしないのでご注意下さい。

また最終的に子育てグリーン住宅支援事業事務局から支給された補助金についても、申請手続きをした事業者を通じて発注者(購入者)に還元されます。

すなわち、住宅の工事発注者や購入者が行う手続きはありませんが、あくまで補助金取引の主体は本人ですので、手続きの流れについては、最後まで関心を持って注視する必要はあります。

子育てエコホーム支援事業2024との違い

子育てグリーン住宅支援事業2025と前年度に実施された子育てエコホーム支援事業2024では、新築及びリフォームにおいて以下の点で大きな違いが見られます。

【新築】

  • 対象住宅にGX志向型住宅が追加(全世帯)
  • 長期優良住宅は補助額が-20万円、ZEH水準住宅は-40万円の減額
  • 古家の除却による20万円の補助が追加

新築向けの補助金については、対象住宅にGX志向型住宅が加えられました。

GX志向型住宅はZEH水準住宅より省エネ性能が高い住宅であり、国としてカーボンニュートラルを目的として、さらに住宅の高度な省エネ化をめざす姿勢が強くこの改正に現れています。

また子育て・若者夫婦世帯の補助金は前年より補助金額は減りましたが、GX志向型住宅の追加や、新築の際に古家の除却が伴う場合には追加で補助金を支給することで制度間のバランスを取っています。

【リフォーム】

  • 最大補助金額の上限が2024年の20~40万円から2025年には40~60万円に増加
  • 全世帯で補助上限額が60万円に統一
  • 必須のリフォーム工事が1つから最低2つに変更

前年と比較すると、必須リフォーム工事の数は増加したものの、補助上限額に関しては上げられています。また前年は子育て・若者夫婦世帯のみ補助上限額が引き上げられていましたが、2025年では全世帯が対象となっています。

このように、子育てグリーン住宅支援事業2025では、国が住宅の省エネ化促進に従来以上に注力していることがうかがえます。

参照先:事業概要|子育てエコホーム支援事業2024|国土交通省

【新築の場合】の補助額と要件

本章では、子育てグリーン住宅支援事業2025において、新築住宅を建設または購入したときに、どのような場合に補助対象となるのか、その概要を解説します。

新築の場合、補助対象住宅ごとの補助額は以下の通りです。(注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入・賃貸住宅の新築とも、補助対象住宅・補助額及び加算額の金額は同じ)

また長期優良住宅・ZEH水準住宅は、要件を満たす古家の除却を行う場合、一定額の加算を受けられます。

補助対象住宅1戸あたりの補助額古家の除却を伴う場合の補助額加算額
CX志向型住宅160万円なし
長期優良住宅80万円20万円(※)
ZEH水準住宅40万円

(※古家の除却を行う場合、複数の古家を除却しても1戸と見なされる)

ここで新築住宅の補助対象者がCX志向型住宅を建築しようとすると、その支給対象は全世帯となります。

一方、新築住宅の補助対象者が長期優良住宅またはZEH水準住宅を建てる際には、子育て世帯または若者夫婦世帯という世帯条件が付いてきますのでご注意下さい。

子育て世帯とは、2024年4月1日時点で18歳未満の子を有する世帯のことをいいます。

また若者夫婦世帯とは、申請時点で夫婦であり、かつ夫婦のいずれかが2024年4月1日時点で39歳以下の若者である夫婦のことをさします。

さらに子育てグリーン住宅支援事業2025に係る予算が政府で閣議決定されたのが、2024年11月22日だったことから、補助対象となる工事の着手が2024年11月22日より前だった場合、補助金支給の対象とならないので注意が必要です。

参照先:子育てグリーン住宅支援事業(注文住宅の新築)|国土交通省・環境省
参照先:子育て世帯、若者夫婦世帯|対象要件の詳細|国土交通省・環境省

【リフォームの場合】の補助額と要件

子育てグリーン住宅支援事業2025において、支給対象となる住宅を、省エネ性能を備えた住宅にリフォームする際の1戸あたりの補助上限は以下の通りです。

【補助上限額】

タイプ要件補助上限額
Sタイプ必須工事①~③全てのカテゴリーを実施上限60万円/戸
Aタイプ必須工事①~③のうち、いずれは2つ以上のカテゴリーを実施上限40万円/戸

対象となるリフォーム工事の種類(必須工事①~③、任意工事④~⑧)や詳細については以下の公式サイトをご確認下さい。

参照先:子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム)|国土交通省・環境省

またカテゴリー④~⑧の任意工事については、必須工事①~③のうち、いずれか2つ以上のカテゴリーのリフォーム工事を実施した上で、交付申請時に併せて申請する場合のみ補助対象となります。

一方、1申請あたり、対象となるリフォーム工事カテゴリー①~⑨の合計補助額が5万円未満の工事の場合は補助の対象になりません。

子育てグリーン住宅支援事業2025補助金のスケジュール

子育てグリーン住宅支援事業2025に係る補助金の実施スケジュールは以下の通りです。

項目申請タイプ実施スケジュール
工事請負契約・着工の期間2024年11月22日~交付申請まで
(遅くとも2025年12月31日まで)
補助金交付申請(含む予約)受付開始新築2025年5月中旬~2025年6月末(※)
リフォーム2025年4月末~2025年5月末(※)

(※)申請受付開始日は申請タイプごとに異なりますのでご注意下さい。詳しくは交付申請(予約を含む)の受付開始について|国土交通省・環境省を参照のこと。

子育てグリーン住宅支援事業2025がスタートしたのは、予算が閣議決定された2024年11月22日です。そのため、申請できるのは対象工事期間が「2024年11月22日~2025年12月31日」までとなっています。

補助金の申請に関しては、起点日(2024年11月22日)以降に「住宅新築の基礎工事より後の行程、もしくはリフォーム工事」に着手していることが条件です。

すなわち、新築工事は対象工事期間までに基礎工事より後の工事に着工する必要がありますし、リフォームに関しても2024年11月22日以降、2025年12月31日までには着工しなければなりません。

また補助金交付の申請受付開始は、上記の通り、新築・リフォーム工事別に、また申請タイプ別に段階的に実施予定ですのでご注意下さい。

さらに子育てグリーン住宅支援事業は、それぞれ分野別に当初に実施予算の上限が定められています。

区分予算上限額
GX志向型住宅(新築)500億円
長期優良住宅・ZEH水準住宅(新築)1,600億円
省エネリフォーム400億円

そのため申請金額が予算に達した時点で申請受付が終了します。(※公式サイトでは適宜予算に対する補助金申請額の割合が公表されています。)

子育てグリーン住宅支援事業2025の利用を希望している方は、新築・リフォームともどもスケジュールに余裕を持って早めに計画及び申請する必要があります。

参照先:予算に対する補助金申請額の割合|国土交通省・環境省

子育てグリーン住宅支援事業2025の利用上の注意点

最後に子育てグリーン住宅支援事業2025の利用する際の注意点を解説します。

以下の2点が補助金の利用上の主な注意点です。

子育てグリーン住宅支援事業2025の申請者は?補助金の受給者は?

子育てグリーン住宅支援事業2025の申請者は、新築またはリフォーム工事の建築・施工業者や販売事業者です。業者が発注者や購入者に代り代理で申請手続きを行います。

また施工業者等なら誰でも申請できるかというとそうではなく、事前に事務局に「グリーン住宅支援事業者」として登録されている業者のみです。

したがって事業者登録のない業者と契約しても補助金の対象外となるのでご注意下さい。さらにGX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅を新築・断熱リフォーム等の工事ができる業者には限りがあります。

加えて業者は、補助金の申請だけでなく、補助金の受取も代理で受領し精算してくれるので、子育てグリーン住宅支援事業2025の内容を深く理解し適切に対応できる事業者を選ぶ必要があります。

他の補助金との併用はできるか?

子育てグリーン住宅支援事業2025を活用しようと考えている方の中には、他の補助金との併用はできるかという疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

結論から先に書けば、ケースによって併用が可能な場合とできない場合があります。

以下の公式サイトのコメントでは、「国土交通省、経済産業省及び環境省は、3省の連携により、省エネ住宅の新築を支援する補助制度、既存住宅の省エネリフォームを支援する補助制度のそれぞれについて、各事業を組み合わせて利用すること(併用)を可能とする。」と、ケースによっては併用ができると書かれています。

一方で国が2025年に実施する他の事業で子育てグリーン住宅支援事業と併用ができないケースもあります。併用を希望される方は、詳しくは、発注・購入予定の施工業者・販売事業者等にご相談下さい。

参照先:住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)|国土交通省・経済産業省・環境省

まとめ

子育てグリーン住宅支援事業2025の概要について、その実施内容やスケジュール、利用上の注意点など詳しく解説しました。

世界的にカーボンニュートラル実現への動きが活発な中、日本の住宅市場でも今後重要になってくるのが省エネ性能の高い住宅です。国や自治体が様々な補助金制度を設定して支援する中、子育てグリーン住宅支援事業2025の実施もまたその一環といえるでしょう。

一方でエネルギー価格の高騰や諸物価の値上がりの影響を受け、住宅価格の高騰は今後も続く見通しです。

子育てグリーン住宅支援事業2025は、そのような厳しい環境下、補助対象者が子育て・若者夫婦世帯だけでなく、全世帯まで拡張されたメリットの大きい補助金制度です。ぜひ多くの方のご活用をおすすめします。

税理士.ch 編集部

税理士チャンネルでは、業界のプロフェッショナルによる連載から 最新の税制まで、税理士・会計士のためのお役立ち情報を多数掲載しています。

運営会社:株式会社ビズアップ総研
公式HP:https://www.bmc-net.jp/

「登録する」をクリックすると、認証用メールが送信されます。メール内のリンクにアクセスし、登録が正式に完了します。

売上アップの秘訣や事務所経営に役立つ情報が満載
税理士.chの最新記事をメールでお知らせ