【令和7年税制改正】住宅リフォーム税制の内容と対象になる工事

自宅をリフォームする際、工事の内容によっては税制上の優遇措置を受けられます。住宅のリフォームに関連する減税制度にはいくつかの種類があるため、それぞれの仕組みや適用条件、特徴をしっかりと理解することが非常に重要です。制度の内容を誤解したまま工事を進めると減税制度が適用されない可能性があるため注意しましょう。

本記事では、税制改正の内容、現在利用可能なリフォーム減税制度について詳しく解説します。どのようなリフォームが対象となるのかや、減税を受けるために必要な条件や注意点についても合わせて確認しておきましょう。

目次

住宅ローン控除とリフォーム税制の改正内容

住宅ローン控除(減税)は、住宅ローンを利用して住まいを購入する際に、所得税や住民税の負担を軽減できる減税制度です。住宅ローンの返済は、多くの家庭にとって家計のなかで大きな割合を占める支出のひとつだといえるでしょう。控除制度を活用することにより、家計の負担を大幅に軽減することが期待できます。

ここでは、住宅ローン控除の主な制度変更点や、子育て対応改修工事に関連する減税制度について解説します。

住宅ローン控除の借入限度額の見直し

住宅ローン控除の仕組みや適用条件は一律ではなく、何度か制度の見直しや変更が行われました。最近では、税制改正により控除額や適用条件に変更が加えられるケースが目立つため、最新の情報をチェックすることが重要です。

住宅ローン控除における借入限度額は、住宅の省エネ性能に応じて見直されることになりました。この見直しにより、住宅の省エネ性能が高ければ高いほど、高い限度額が設定されるシステムが適用されます。省エネ性能と、性能ごとに決められた借入限度額は以下のとおりです。

  • 認定住宅
    借入限度額は最大で5,000万円です。一般的な住宅と比較して500万円増額された優遇措置が適用されます。
  • ZEH水準省エネ住宅
    借入限度額が4,500万円です。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たす住宅が対象です。
  • 省エネ基準適合住宅
    省エネ性能が一定基準を満たす住宅の場合、借入限度額は4,000万円です。

上記のように、認定住宅や省エネ性能の高い住宅ほど、優遇される金額が大きいシステムです。
特に認定住宅については限度額が大幅に増額されました。省エネ性能を重視した住宅にすることで、よりメリットを得やすいでしょう。

子育て対応改修工事に係る住宅リフォーム税制の延長

子育て対応改修工事を行った場合、その工事費用の一部を所得税から控除できる特例措置が延長されることになりました。特例は、子育て世帯に対して大きな経済的支援となり、子育てに適した住宅にリフォームしやすくなるでしょう。今回改正されたことで、特定の個人が暮らす住宅において一定の子育て対応改修工事を施した場合も、特例対象になります。この場合、標準的な工事費用相当額(上限250万円)の10%に相当する金額を、所得税額から控除することが可能です。

近年では、子育て世帯や若年夫婦世帯の住宅購入やリフォームを支援するための各種制度が多く作られており、国が子育て世帯をバックアップする動きが見られます。

ただし、実際に適用される対象の住宅は限定されている点に注意が必要です。たとえば、住宅ローン控除における借入限度額の引き上げ措置は、新築住宅が主な対象であり、中古住宅(既存住宅)は対象外です。

住宅リフォーム税制における固定資産税軽減

住宅リフォームの減税制度では、住宅リフォーム工事で固定資産税を減税できる場合もあります。固定資産税の減税対象になる工事と、軽減額を紹介します。

なお、減税期間は1年間で、リフォーム工事が終わってから3ヶ月以内に申告が必要です。また、住宅面積の制限と減税制度を併用可能な場合と不可能な場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

耐震リフォーム

耐震基準に適した住宅リフォーム工事を行うと、固定資産税額の2分の1が減税されます。

翌年度の固定資産税が減額されますが、対象のリフォーム工事費用が税込で50万円超であること、1982年1月1日以前から建っていた住宅であることなどの条件を満たす必要があります。

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームで条件を満たした場合は、固定資産税額の3分の1が減税されます。補助金額を差し引いて工事費用が50万円を超えていない場合も対象外です。

省エネリフォーム

省エネリフォームで条件を満たした場合は、固定資産税額の3分の1が減税されます。

補助金や助成金を差し引いた際に、工事費用が税込で60万円を超える工事ではない場合は、対象外になります。加えて、太陽光発電システムや空調機器、給湯器の設置工事をする際には、各種細かな要件が決められているため、各工事にどのくらいのコストがかかるのかをあらかじめ確認しておきましょう。

長期優良住宅化リフォーム

長期優良住宅化リフォームで条件を満たした場合は、固定資産税額の3分の2が減税されます。

耐震改修工事もしくは省エネ改修工事を行い、長期優良住宅の認定を受けた場合、固定資産税が一定期間減額される制度が利用できます。減税措置は、耐震性能や省エネ性能を備えた住宅を増やし、快適かつ安全な住まいを増やすことを目的とした政策のひとつです。

住宅リフォーム税制の対象になる工事

減税制度は、指定されたリフォーム工事に対して税金の控除を受けられます。つまり、リフォームの減税制度を利用するためには、適用される工事の内容をあらかじめ確認しておくことが重要です。ここでは、リフォーム減税の適用対象となる工事の種類を紹介します。

耐震リフォーム

耐震リフォームとは、住宅の耐震性を向上させるための工事のことです。特に、古い耐震基準で造られている建物に対して、現行の耐震基準に合うように改修や補強工事をすることが目的です。地震に対する耐久性が大幅に向上し、安全な住宅を増やすことにつながります。

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームは、高齢者や障がい者が安全で快適に生活できるようにするための工事です。具体的には、通路の幅を広げる、階段を登りやすくするための勾配緩和工事、浴室やトイレの段差をなくす工事などが含まれます。なお、バリアフリーリフォームは対象の工事を行うだけではなく、65歳以上の方、要介護または要支援の認定を受けた方が住んでいることなど、住む人についても条件が決められているため注意しましょう。

子育て対応リフォーム

子育て対応リフォームは、子育て世帯の様々な負担を軽減し、快適で安心の住まいを造るための工事です。具体的には、家事の負担を軽減するための設備の導入、防犯性を高めるための開口部の改修、生活騒音への配慮として効果的な開口部の改修などが挙げられます。ほかにも、食洗機や浴室乾燥機、内窓を造るといった工事も対象です。

長期優良住宅化リフォーム

長期優良住宅化リフォームは、住宅の耐久性を向上させるために行う工事です。具体的な工事内容は、外壁を通気構造にする工事、浴室や脱衣室の防水性を上げる工事、害虫対策、断熱リフォームなどです。また、工事を行い、長期優良住宅認定を得た場合も減税の対象になります。

長期優良住宅の認定を受けるためには、建物の現状を把握するための建物状況調査を受けなければなりません。建物状況調査では、建物の耐震性能や省エネ性能が基準を満たしているかどうかを確認する大切な工程であり、認定を受けるための前提条件です。なお、建物現状調査には費用がかかります。費用は補助金の対象になっているケースが多いため、経済的な負担を減らす方法を検討し、計画的に進めましょう。

同居対応リフォーム

同居対応リフォームは、親と子、または孫を含む三世代が同じ住宅で暮らすために行う工事です。具体的には、キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかを増設する工事を指します。ただし、三世代の同居が減税の適用条件となるため、別宅となる場所を増設した際は適用外になる点に注意が必要です。

省エネリフォーム

省エネリフォームは、住宅のエネルギー効率を向上させるための工事で、対象となる工事にはいくつかの種類があります。具体的な工事内容としては、窓や壁の断熱工事、効率性が高いエアコンの設置工事などが挙げられます。

また、給湯器や冷暖房機を高性能で省エネルギー性能の高いものに交換する工事や、建物自体に手を加えて冷暖房効果を向上させ、エネルギー消費を抑える工事です。

さらに、自宅でエネルギーを生成し、効率的で環境に配慮した生活を送ることを目的とした、ソーラーパネル設置工事も対象になります。

なお、これらの省エネリフォームを行う際には、窓の断熱工事を必ず行うことが条件になっている点に注意しましょう。

リフォーム時には減税制度を正しく活用しよう

住宅リフォームを行うことによって、所得税や固定資産税の減税制度が適用されることがあります。しかし、それぞれの工事が減税制度にどのように関連するか、該当する工事の内容などを確認したうえで工事を検討しなければなりません。

住宅リフォームを計画している方は、専門家に相談しながら資金計画と減税制度のアドバイスを受け、より良い住まいを手に入れましょう。

税理士.ch 編集部

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