【令和6年度版】受動喫煙防止対策助成金の対象者や申請方法を解説

受動喫煙防止対策助成金は、店舗内に専用ブースを設置するといった施策に対して支給されます。ただし、受動喫煙を防げれば何でもよいというわけではありません。対象となる事業者など、細かな条件が設けられています。また、要件も追加・変更されることがあるため、最新版のチェックは必須です。

そこで今回は、令和6年度の特徴を中心に、受動喫煙防止対策助成金について解説します。

目次

受動喫煙防止対策助成金とは

まずは受動喫煙防止対策助成金について、対象や金額などの要件をご紹介します。

助成金の対象は大きく分けて2種類

受動喫煙防止対策助成金は、以下の2種類に対して設置や改修を行う場合に受給できます。

  • 専用喫煙室
  • 指定たばこ専用喫煙室

ただしどちらも、入口における風速が毎秒0.2m以上など条件をクリアしなければいけません。ちなみに指定たばこ専用喫煙室は、加熱式たばこのみを対象とした場所です。

紙たばこなどほかの種類は不可ですが、飲食など喫煙以外の利用ができます(専用喫煙室では不可)。また場所が事業者の所有ではなく、賃貸などの場合であっても、管理者の許可が出れば申請可能です。

助成率は産業分類で変化

受動喫煙防止対策助成金における金額は100万円が上限です。
ただし誰もが100万円を受給できるわけではなく、申請事業者の主とする産業によって助成率が異なります。

仮に産業が飲食の場合はかかった費用の3分の2、それ以外は2分の1の助成額です。さらに、単位面積あたりの対象経費上限が1平方mあたり60万円と決まっています。

つまり飲食以外の産業において3平方m分の改修を行った場合、経費は180万円ですが、助成金はその半分なので最大でも90万円しかもらえません。

もちろん、ほかの条件次第ではさらに少なくなる可能性もあります。

令和6年度の申請について

続いては、受動喫煙防止対策助成金の申請に関してです。

対象は中小企業かつ既存特定飲食提供施設

受動喫煙防止対策助成金は中小企業主を対象としていますが、場所においてはもう1つ条件があります。喫煙スペースなどを設ける場が、「健康増進法附則第2条第2項で定める既存特定飲食提供施設」でなければいけません。

この既存特定飲食提供施設とは、店内で顧客が飲食するカフェやレストランなどで、特に次の条件に当てはまるものが対象です。

  • 店舗が令和2年4月1日時点で現存している
  • 資本金が5000万円以下
  • 客席面積が100平方m以下

中小企業が対象ということもあり、規模の大きな店は除外されています。

受動喫煙防止対策助成金の申請期間

受動喫煙防止対策助成金は年度いっぱいではなく、締め切りが設けられています。

令和6年度の場合は、令和7年1月31日までです。さらに、申請が集中するなどして予算に達してしまったら、その時点で締め切られてしまいます。

いくら条件を満たしていても、締め切りに間に合わなければ当然受給はできません。令和6年8月時点ではまだ募集中のようですが、申請を決めたら早めの手続きが望ましいです。

申請は同一の事業所につき1回まで

受動喫煙防止対策助成金の申請は事業所単位で行います。そのためチェーン店の運営など、複数の事業所を持っている場合は条件を満たした所全てで申請可能です。

ただし、同じ事業所での申請は1回しかできません。もし1つの事業所内で複数か所が対象となる場合は、同一年度内にまとめれば1件の申請扱いにできます。

また申請としては1件のため、助成額の上限も合計額から算出、100万円を超えることはありません。

受動喫煙防止対策助成金の注意点

受動喫煙防止対策助成金を申請する場合は、以下でご紹介している点に注意が必要です。

助成金の対象外となる施工

以下は、喫煙室に関することであっても助成金の対象外です。

  • デザインの変更
  • 書類作成費用
  • 喫煙区内の仕切り
  • 映像や音響機器
  • 観葉植物や絵画
  • 消耗品
  • 椅子
  • 土地の費用

受動喫煙を防ぐ機能がない要素や、喫煙室内部だけの変更が目立ちます。

例えば仕切りは、喫煙と禁煙エリアを区切る場合であれば対象です。また、あくまで受動喫煙対策自体の助成金であり、その内容を記していても書類のコストは含まれません。

ただし、審査において必要と認められれば、次の費用は助成金の対象になります。

  • 建物の増設費
  • 解体や移設の費用
  • 空調設備
  • 測定費

このうち測定費は、要件を満たすか確認する場合であれば助成金の対象です。

消防法など関連する法律に違反していないか

受動喫煙防止対策助成金の対象となる設備は、基本的に喫煙場所であり、火災のリスクがあります。ゆえに、例えば消防法なら火災報知機を設置するなど、関連する法律は順守しなければいけません。

いくら受動喫煙の防止に役立つ設備でも、火事で使えなくなっては本末転倒です。自身でのチェックはもちろん、施工業者にも相談し、問題がないか事前に確認しておきましょう。

実際の工事は交付決定後

令和6年度内の施工であっても、受動喫煙防止対策助成金の申請前に着工してしまった場合は対象外です。

先に助成金の申請を行い、「交付決定通知書」が届いて初めて工事が行えます。施工業者との契約など、手続きの全ては助成金の交付が決まってからと考えてください。

加えて交付決定通知書の後も、施工完了後に詳細を「事業実績報告」として提出、その内容で実際の助成額が決まります。さらに「交付額確定通知書」として助成額を確認した後、請求書を提出、その際記載した振り込み情報に従って、ようやく入金です。

また交付まで完了した後も、「喫煙専用室等の運用状況に係る現状報告」など提出書類があります。1回の申請で全て済むわけではないため、一連の流れを忘れないよう注意しましょう。

当該設備の変更や廃棄・譲渡

受動喫煙防止対策助成金の対象となった設備に変更が生じた場合は、申請・交付を行った都道府県労働局まで相談してください。工事段階での変更から完成後の改造、どのタイミングであっても申し出なくてはいけません。

また、設備を事業の廃止などの理由で手放す際、「財産を処分する場合の承認申請」が必要です。設備を廃棄する場合はもちろん、他者に譲渡する際にも行わなければいけません。

ちなみに申請は永年でこそないものの、受給した年度終了後5年以内なら対象です。期間は長く設けられているため、忘れないよう注意しましょう。万が一これらの申請を行わなかった場合、助成金の返還を求められることもあります。

申請時は常に最新の要件を確認

令和6年度の受動喫煙防止対策助成金は、令和5年度から見て大きな変更はないようです(令和6年8月時点)。ただ申請の期限である令和7年1月31日までに変更が生じた場合は、当然変更後の内容が優先されます。

変更を見落としたせいで審査に落ちるということのないよう、申請直前には改めて要件を確認してください。もし不明点があれば、厚生労働省や対象の事業所がある都道府県労働局へ相談しましょう。書類の書き方から要件を満たすための技術的な問題など、受動喫煙防止対策助成金に関する様々な相談を受け付けています。

生衛業受動喫煙防止対策事業助成金の受給可能性

個人事業主の場合、生衛業受動喫煙防止対策事業助成金の対象となる可能性があります。

受動喫煙防止対策助成金と似た名称ですが、申請窓口は厚生労働省の労働局ではなく、各都道府県の生活衛生営業指導センターです。そして、受給対象は1人で運営している場合だけでなく、家族営業や従業員のいない事業者(役員のみなど)も該当します。

反対に1人でも従業員がいれば労災保険加入対象事業主となり、申請先は労働局です。事業者が単独かよりも従業員の有無で判断しているので、迷う場合はいずれかの窓口で相談してみましょう。

ちなみに基本的な要件は、対象の場が既存特定飲食提供施設であるなど、受動喫煙防止対策助成金と共通しています。無論、要件の変更により、受動喫煙防止対策助成金と内容が異なる可能性もあるので、こちらも申請直前の確認は必ず行ってください。

まとめ

受動喫煙防止対策助成金は、専用喫煙室などを設けた場合に支給されます。主に飲食関係の中小企業を対象としており、令和6年度は令和7年1月31日まで申請可能です。

ただし予算の都合上、期限は早まる場合もあります。申請後も交付決定まで工事は不可、受給後の状況報告や変更時の届け出など、多くのやり取りが発生するので注意しましょう。

ちなみに、個人事業主など従業員がいない場合は対象外ですが、生衛業受動喫煙防止対策事業助成金が利用できる可能性もあります。また、令和6年度は大きな変更こそありませんが、改定の可能性は0でないため油断は禁物です。

申請直前には必ず要件を見直し、問題がないことを確かめましょう。

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