会計士に語学力は必要?語学力アップで目指せるキャリアパスを紹介
国内中心に業務をこなす会計士を目指す場合、特に語学力アップを意識する必要はありませんが、グローバルに活躍する会計士を目指したい場合、会計の知識とは別に語学力が必要です。ビジネスレベルの語学に加えて、会計用語を織り交ぜた習得が求められます。
語学力アップと会計知識の習得は簡単な道のりではありませんが、その先には希望のあるキャリアパスが待っています。この記事では、語学力を生かした会計士のキャリアパスやおすすめの習得方法を紹介していますので、グローバルな人材を目指したい方は、ぜひ記事内容をご確認ください。
目次
会計士に語学力はどの程度必要?
会計士に必要な語学力は、担当する業務によって大きく異なります。
国内業務が中心の場合、海外の会計基準や税制に関する情報収集、海外子会社との簡単なやり取りができる程度の基礎的な読み書き能力があれば十分なケースが多いです。TOEICであれば600点〜700点が目安となります。
一方、グローバルな案件や外資系企業を担当する場合は、現地のクライアントや海外の監査チームと直接交渉・議論できる高度なコミュニケーション能力が不可欠です。
報告書作成、プレゼンテーションに加えて専門的な議論に対応できる語彙力など、ビジネスレベルでの英語力が求められます。目安として、TOEIC800点以上、あるいはUSCPA(米国公認会計士)などの国際資格の取得が望ましいとされます。
国内業務に終始するなら、改めて語学力アップを目指す必要はありませんが、グローバルな人材へキャリアアップを目指すなら、より高いレベルの語学力習得を目標とすべきでしょう。
語学力を活かせる会計士のキャリアとは?

語学力を身につけた後に考えられるキャリアパスを4つピックアップしてみました。いずれも、語学力と高度な専門性が必要とされる手応え十分のキャリアパスです。
- グローバルに活躍する監査業務
- 国際税務コンサルタント
- 外資系企業のCFO
- 独立したグローバルコンサルタント
グローバルに活躍する監査業務
グローバルな監査業務では、海外に拠点を持つ日系企業や、日本に進出している外資系企業が主なクライアントとなります。会計士は、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)に基づいた監査を行い、クライアントのグローバルな事業活動を支えます。
グローバル基準の監査業務では、現地の監査チームやクライアントの担当者と英語で直接コミュニケーションをとるケースばかりです。
財務諸表の確認から意見交換、交渉に至るまで、高度なビジネス英会話力が求められます。語学力を生かした有効なキャリアアップ先の一つです。
国際税務コンサルタント
国際税務コンサルタントは、多国籍企業や海外取引を行う企業の税務戦略を支援する専門家です。複雑な国際税務ルールや各国間の租税条約を深く理解し、企業のグローバルな事業展開を税務面からサポートします。
国際税務コンサルタントの仕事では、海外子会社の設立や海外投資、M&Aなど、様々な場面で国際税務の専門知識が求められます。現地の法律や税制について、英語の情報を正確に読み解く力が必要です。
海外の税務当局や現地のコンサルタントと直接交渉・議論する機会も多く、高度なビジネス英会話力は欠かせません。語学力と国際税務知識の習得が必要ですが、目指すキャリアとしては十分な手応えがあります。
外資系企業のCFO
外資系企業のCFO(最高財務責任者)は、会計士にとってキャリアの終着点、最高峰の一つと言っても過言ではありません。CFOのポジションでは、単なる経理・財務管理に留まらず、本社のグローバル戦略を日本市場で実行する重要な役割を担います。
外資系企業なので高度な語学力は前提条件の一つです。本国の経営陣との会議や交渉、海外投資家へのプレゼンテーション、英語での財務報告書作成など、あらゆる場面でネイティブレベルの英語力が求められます。
会計士として培った専門知識に加え、高度な英語力と国際的なビジネス感覚を持つことで、グローバル企業の経営層として活躍することができます。
独立したグローバルコンサルタント
独立したグローバルコンサルタントは、会計士としての専門知識を活かし、国内外の企業に対して多岐にわたるコンサルティングサービスを提供する仕事です。
主に、海外企業の日本市場参入や、日本企業の海外進出といったクロスボーダー案件を中心に手掛けます。現地のクライアントや法律家、税理士などと直接英語でコミュニケーションを取り、複雑な課題解決をサポートします。
自分でクライアントを開拓し、すべての業務を一人で完了させる必要があるため、専門性だけでなく、高い交渉力やコミュニケーション能力も必要です。語学力だけでなく専門知識やコミュニケーション能力まで求められますが、グローバルなビジネスの最前線で活躍できる、とてもやりがいのあるキャリアパスです。
語学力アップのコツとおすすめの習得方法

会計の業務に役立つ語学を習得するにはコツがあります。
語学力アップのコツとおすすめの習得方法を以下、5点紹介します。
- 会計に関する英語を中心に習得する
- USCPAの取得やTOEIC/IELTS/TOEFLなどの資格試験の勉強
- オンライン英会話で学ぶ
- 留学や海外勤務で現場の語学を学ぶ
- 職場で英語を使う機会を増やす
会計に関する英語を中心に習得する
会計士の英語学習では、単なる日常英会話ではなく、会計や財務に特化した専門用語の習得が鍵となります。
グローバルな監査やコンサルティング業務において、財務諸表の内容や複雑な税務ルールを正確に理解し、議論する際に会計や財務に特化した専門用語は欠かせません。専門性用語に触れるには、海外企業の年次報告書(アニュアルレポート)や英文の会計専門誌の読み込みが有効です。
実践的な語彙力と読解力を高めるのに役立ちます。専門性の高い英語に触れ続けることが、会計士としてのキャリアアップを後押しするでしょう。
USCPAの取得やTOEIC/IELTS/TOEFLなどの資格試験の勉強
USCPAやTOEICなどの資格試験の勉強は、会計士の語学力アップに非常に効果的です。
特にUSCPAは、試験がすべて英語で実施されるため、学習プロセスそのものが会計や財務に関する専門用語、そしてロジカルな英文の読解力を高めるトレーニングになります。TOEICは、リスニングとリーディングの基礎力を客観的に測定する指標です。目標スコアを設定することで学習のモチベーションを維持し続けることができます。
これらの資格試験を活用することで、単なる英会話力にとどまらない、実務に直結する英語力を効率的に習得できます。
オンライン英会話で学ぶ
オンライン英会話は、忙しい業務の合間に効率的に英語力を高めるのに最適なツールです。ビジネスに特化したコースを選べば、「決算書の読み解き方」や「監査報告」など、実務で使う専門的なテーマで講師と議論できます。
マンツーマンレッスンでは、自分のレベルや目的に合わせてカスタマイズできるため、苦手な発音や、とっさに出てこないフレーズを重点的に練習できる自由度の高さも注目ポイントです。
また、世界中の講師と話すことで、様々なアクセントに慣れ、グローバルなビジネス環境でのコミュニケーション能力を養うこともできます。継続することで、実践的なスピーキング力とリスニング力を飛躍的に向上させられるでしょう。
留学や海外勤務で現場の語学を学ぶ
留学や海外勤務では、現地の文化や習慣に触れながら仕事や日常生活のすべてのコミュニケーションを英語で行うことで、実践的なコミュニケーション能力が劇的に向上します。
グローバルな監査法人や企業に勤務している人にとって、海外駐在はキャリアアップに直結する貴重な機会です。現地の会計士やクライアントと直接議論・交渉することで、専門的なビジネス英語のスキルはもちろん、異文化間のコミュニケーション能力や問題解決能力も磨かれます。
語学力のみならず、海外での仕事は会計士としての視野を広げ、グローバルな視点を持つ上でかけがえのない財産となるでしょう。
職場で英語を使う機会を増やす
普段の仕事の中で英語を使う機会を増やすことは、会計士の語学力向上にピッタリです。例えば、海外子会社の決算資料を英語で読み込んだり、現地の担当者とメールでやり取りしたりするだけでも、実践的な語彙力や表現力を身につけることができます。
その他には、英語での会議に参加したり、海外チームとの電話会議で積極的に発言したりすることも語学力アップに有効です。リアルタイムでのコミュニケーション能力を鍛えられます。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、少しずつでも英語を使う習慣をつけることがポイントです。身近に英語を使うことで、語学学習が単なる机上の勉強ではなく、日々の業務に直結する生きたスキルとなります。
まとめ
会計士には必ずしも語学力が必要とされませんが、語学力があるとキャリアパスの選択肢が大いに広がります。会計の知識と業務は国内にとどまらず世界で必要とされていますので、語学力と国際会計の知識を身につけておいて損はありません。
一人前のグローバル人材になるのは簡単な道ではありませんが、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
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