【2026年最新】裏書手形とは?メリット・デメリットや具体的な仕訳例を紹介
裏書手形とは、受け取った手形を支払いのために譲渡する方法です。企業の資金繰り改善のための大切な手段の一つとして活用されています。
経理担当者にとって、裏書手形の仕組みやメリット・デメリットの理解は必須と言っても過言ではないでしょう。特に、償還請求義務に関するリスク管理は、よく認識しておかなければいけません。
この記事では、裏書手形の基本的な仕組みやメリット・デメリット、仕訳の例などについて詳しく説明しています。
目次
- 裏書手形とは?基本的な仕組みと種類
- 裏書手形のメリットとデメリット
- 裏書譲渡時に使う勘定科目と仕訳例
- リスク管理のポイント|償還請求義務とは?
- 裏書手形と類似取引の使い分け
- 2026年度を目処に紙の手形廃止へ
- まとめ
裏書手形とは?基本的な仕組みと種類

裏書手形とは、自社が受け取った受取手形を、第三者への支払いに充てるため、手形の裏面に署名・押印をして譲渡した手形のことをいいます。
ここでは裏書譲渡の仕組みと裏書の種類について説明します。
- 裏書譲渡の仕組み
- 裏書の種類
裏書譲渡の仕組み
裏書譲渡とは、自社(受取人)が第三者(被裏書人)に対する買掛金などの支払いに、手形の振出人から受け取った受取手形を充てる行為です。
受取人が手形の裏面に譲渡する旨を記載し、記名押印します。裏書は、手形の債権を被裏書人に譲渡する手続きです。手形を受け取った被裏書人は、満期日が来たら手形の振り出し人から手形金を回収できます。
万一不渡りになった場合は、自社が支払い義務を負う償還請求義務(偶発債務)が発生する点に注意が必要です。
裏書の種類
裏書には主に「記名式裏書」と「白地式裏書」の2種類があります。
記名式裏書
手形を譲渡する裏書人が、譲渡先の氏名や会社名を明記する方法です。記名式裏書では、権利の移転が明らかになります。実務ではトラブル防止のために記名式裏書が推奨されています。
白地式裏書
手形を譲渡する裏書人のみが署名・押印のみを行い、譲渡先の氏名を記載しない方法です。簡単に裏書譲渡できる反面、譲渡の経緯が不明瞭になりやすく、不正利用のリスクが高まるため、注意が必要です。
裏書手形のメリットとデメリット
裏書手形のメリットとデメリットについて、詳細を説明します。
メリット
裏書手形の最大のメリットは、現金を使わずに債務の決済ができる点にあります。
受取手形という未収債権を有効活用して支払いを済ませられるため、手元現金を温存し、会社の資金繰りを一時的に安定させることができます。
キャッシュフローが芳しくない状況下では大いに役立つ決済手段の一つです。
その他には、現金、振込、約束手形による支払いに加え、裏書手形という第三者の信用に基づいた決済手段を持つことで、取引先との柔軟な取引が可能になるメリットもあります。
デメリット
裏書手形のデメリットは、偶発債務と資金繰りの不確実性の2点です。
手形の振出人が満期日に支払いを履行しなかった場合、手形を譲渡した裏書人が、現在の手形所持人から支払いを請求される義務を負います。手形不渡のリスクは、偶発債務として会計上適切に開示・管理しておかなければいけません。
また、手形は基本的に満期日まで現金化できないことから、裏書手形による支払いを拒否されるケースも想定されます。現金に比べると、資金繰りの確実性は低くなります。
その他には、手形の額面金額の一部のみを譲渡することができない点にも注意が必要です。金額の調整ができないため、支払いたい金額と手形の額面が異なる場合は、別に現金などで差額を調整する必要があります。
裏書譲渡時に使う勘定科目と仕訳例
裏書手形を使った時は、どのような勘定科目を使うのでしょうか。仕訳例と合わせて詳しく説明します。
- 受取手形・買掛金・支払手形
- 手形の満期日がきて無事に決済された時の仕訳
受取手形・買掛金・支払手形
受取手形は、将来、手形代金を受け取る権利があることを示す資産の勘定科目です。裏書譲渡をした場合、受け取るはずの手形を第三者への支払いに充てるため、受取手形を減少させる仕訳が必要です。
仕訳例は次の通りです。
| 借方 | 貸方 |
| 買掛金(または支払い手形) | 受取手形 |
以上の仕訳によって、手形代金を受け取る権利が自社から譲渡先に移転し、資産が減少したことを明確に示します。現金を支払うことなく負債が消滅したことを明確に示すことがポイントです。
裏書譲渡の仕訳によって、帳簿上の債務が解消されたことになります。
手形の満期日がきて無事に決済された時の仕訳
裏書人と被裏書人、それぞれの仕訳を説明します。
裏書人
裏書譲渡した手形が満期日に無事決済された場合、譲渡時にすでに仕訳が完了しているため、裏書人は特に仕訳を行う必要はありません。
被裏書人
裏書手形を商品代金などとして受け取った時点で、受取側は受取手形として資産計上しています。手形の満期日によって、手形代金が振出人の当座預金口座などから自社の当座預金口座に入金された場合、以下の仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 |
| 当座預金 | 受取手形 |
以上の仕訳は、流動性の低い受取手形が現金化されたことを帳簿上で示すものです。
リスク管理のポイント|償還請求義務とは?
償還請求義務とは、裏書譲渡した手形が、満期日に手形の振出人によって決済されず不渡りになった場合に、手形を譲渡した裏書人が、手形を現在所有している被裏書人から手形金の支払いを請求されることをいいます。
裏書手形の譲渡によって一旦支払いを済ませても、振出人の信用リスクは裏書人に残り続ける点が大切なポイントです。償還請求義務は、実際に不渡りが発生するまでは支払いが確定しないため、偶発債務として認識されます。
裏書譲渡した手形がある場合、財務諸表の注記で偶発債務が存在することと、金額を開示しなければいけません。裏書手形を処理する経理担当者は、償還請求義務という簿外のリスクを常に把握し、管理することが極めて重要です。
裏書手形と類似取引の使い分け

裏書手形は、買掛金などの負債を手形の譲渡によって解消する方法です。裏書手形とは似ている取引に、手形割引と取立委任があります。
いずれも、キャッシュフローの改善のために使われる方法です。類似取引として、それぞれの詳細を説明します。
裏書譲渡と手形割引
裏書譲渡と手形割引は、いずれも受取手形を活用しますが、目的と会計処理が異なります。
手形割引
手形割引は満期日前に銀行などで手形を換金して資金を融通する方法です。裏書譲渡と同じく手形を譲渡しますが、手形割引の目的は取り急ぎの手形の現金化にあります。割引料を差し引いた現預金が増加し、負債(借入金)として処理されるか、もしくは割引料を費用処理します。
裏書譲渡と取立委任
取立委任は裏書譲渡と同じく、手形を他者へ渡しますが、手形上の権利が移転するかという点で根本的に異なります。
取立委任
取立委任は、手形の満期日に代金を銀行に取り立ててもらうことをいいます。手形の権利は裏書人に残ったままです。銀行は代理人として動いてくれます。
勘定科目は「受取手形」のまま、帳簿上は裏書譲渡とは区別して管理します。取立委任も手形割引と同様に、キャッシュフローの改善を目的とした現金調達の方法の一つです。
2026年度を目処に紙の手形廃止へ
現在、政府・金融界・産業界が一体となって、約束手形・為替手形などの紙の手形と小切手の利用の廃止と、電子化への移行を急速に進めています。
掲げられた目標は、2026年度末までに、紙の手形・小切手の交換枚数をゼロにすることです。
現在、多くの金融機関では、手形帳・小切手帳の発行終了、一定期日以降の手形・小切手の取立受付終了など、具体的な対応を前倒しで実施しています。
経理担当者に求められる対応
手形電子化への移行にともなって、経理担当者がすべき対応内容を一覧表にまとめました。
| 対応項目 | 内容 |
| 現状の把握 | 自社と主要取引先の手形・小切手の利用状況とボリュームの把握 |
| 取引先との協議 | 紙の廃止時期と「でんさい」などの代替決済手段への移行についての協議 |
| システム対応 | 電子化へ向けたインターネットバンキングや経理システムの導入・改修 |
電子化は義務ではありませんが、多くの金融機関が電子化への移行を始めていることから、やがては紙の手形での運用は難しくなるでしょう。電子化への対応は早めの準備がおすすめです。
まとめ
裏書手形は、企業との間の支払い方法として有効ですが、活用するには正しい知識が必要です。手数料がかからない迅速な決済手段というメリットがある一方で、不渡のリスクがあることも認識しておかなければいけません。
会計処理においては、一度選んだ仕訳方法を一貫して適用することと、貸借対照表への適切な記載も必要です。
なお、2026年度を目処に現在活用されている紙の手形は順次廃止される予定です。今後は、電子化された手形へと移行します。裏書手形と基本的な仕組みは変わりませんが、早めに電子化への対応を進めておいた方が良いでしょう。
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