令和6年度からの変更点は?エイジフレンドリー補助金について解説

エイジフレンドリー補助金は労働者、特に高齢者に配慮した取り組みに対して支給されます。労働者が安全に働けるための健康づくりを目的に、環境を整えたり専門家による指導を仰いだりと、改善を行った事業者が対象です。

ただコース別の細かい条件や、受付期間が限られるなど、申請時の注意点も少なくありません。そこで今回は、令和6年度の変更点を中心に、エイジフレンドリー補助金についてご紹介します。

目次

エイジフレンドリー補助金とは

エイジフレンドリー補助金は、以下の3コースから成っています。

  • 高年齢労働者の労働災害防止対策コース
  • 転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース
  • コラボヘルスコース

このうち「高年齢労働者の労働災害防止対策コース」のみ、60歳以上の労働者がいることを条件としています(ほかは労働者の年齢制限なし)。

ちなみにそれぞれの条件を満たせば、複数のコースにまとめての申請も可能です。基本的に、同一年度内は1人の事業者に対して1回の申請のみ可能ですが、1度にまとめて提出するならば、複数分もOKとしています。

ただし1度申請した内容では、翌年度以降に再申請することはできません。また初回の申請であっても必ず受給できるわけではなく、審査によって交付は決まります。

エイジフレンドリー補助金の注意点

ここからは、エイジフレンドリー補助金を申請するにあたっての注意事項をご紹介します。

申請期間は通年ではない

エイジフレンドリー補助金は、いつでも受け付けているわけではありません。

例えば令和6年度の場合は、令和6年5月7日から10月31日までと決まっています。加えて、エイジフレンドリー補助金の予算がなくなれば、期間内でも受付を締め切ります。

そのため申請対象ならば、早めに手続きを行いましょう。ただし申請が通った際の、支払請求書類に関しては令和7年1月31日を締め切りとしています。

交付決定より前の取り組みは不可

エイジフレンドリー補助金は、交付までの流れとして申請後に取り組みを実施、その後支給額について改めて申請を行います。

そのため、上述した期間内に申し込んでも、取り組み自体が済んでいる場合は審査に通りません。取り組みを依頼する業者や専門家と話をしておくことは大事ですが、発注など具体的なやり取りは進めないようにしましょう。

ただ、取り組みを先に実施しなくて済む分、審査に通らなかった場合のリスクは少ないです。少なくとも、エイジフレンドリー補助金を当てにできなくなり借金といった事態は回避できます。

ちなみに、申請は都度行われるのではなく、月末に取りまとめて翌月に審査です。例えば令和6年5月中に申請した場合、6月に審査が行われ、7月上旬ぐらいを目安に結果が届きます。ゆえに依頼先へは、実際の発注は2か月ほど待ってもらえるかを確認しておきましょう。また、もし交付決定後に取り組みが不可能となった場合は、申請担当者へ電話連絡ののち、辞退用の書類を作成する必要があります。

支払い請求書類提出は取り組み完了後

申請とは逆に、支払い請求書類提出はエイジフレンドリー補助金の対象となる取り組みが完了した後でなければいけません。厳密には、取り組みに関する支払い完了後です。つまり、支払い請求書類の期限となる令和7年1月31日に間に合うように、取り組みも完了させます。

ゆえに、令和7年1月31日を超えるような長期の取り組みには注意が必要です。

例えば専門家に令和7年2月以降も継続して指導してもらうからといって、エイジフレンドリー補助金の期間を延長することはできません。そもそもエイジフレンドリー補助金では、同じ取り組みを翌年度に繰り返すことは不可能です。取り組み自体は継続するとしても、エイジフレンドリー補助金の対象となるのはあくまで期限内の分だけと考えましょう。

代理申請は不可

補助金などは社会保険労務士などの専門家に代理人を依頼するケースもありますが、エイジフレンドリー補助金に限っては不可能です。申請する事業者本人が行わなければいけません。

エイジフレンドリー補助金は早期終了の可能性もあり、期間内になら良いとは限りませんから、ほかの作業より優先することも検討しましょう。

電子申請もできない

エイジフレンドリー補助金の申請、及び支払い請求書類提出は、いずれも郵送(もしくは宅配便)で行います。申請用紙などは、厚生労働省や一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会などのホームページからダウンロード可能です。

手書きが必須ではないので、データ入力までパソコンで行ってもよいでしょう。しかしその後は、用紙をプリントして必要書類と共に送付しなければいけません。

また郵送ならOKと言っても、封筒に消印が確認できない料金別納や料金後納、受付日そのものが表示されない方法ではNGです。おそらく締切に間に合っているのかを確認するためですから、トラブルに遭わないためにも、これらの方法は避けましょう。

令和6年度からの変更点

ここでは、エイジフレンドリー補助金が令和6年度になり変更された箇所をご紹介します。特に、前年度以前に申請を計画していてできなかったなど、情報の更新をしておきましょう。

転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コースの新設

エイジフレンドリー補助金は令和5年度までは2コースのみでしたが、令和6年度から新たなコースが追加されました。改めてコースの内容について見ていきましょう。

「転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース」は、労働者が転倒や腰痛を得にくくなるよう、体の改善を図るものです。運動指導とあるように専門家を招いて教わる、あるいは提案されたプログラムを労働者に行ってもらいます。指導者には、次のような職業・有資格者が望ましいです。

  • 医師
  • 健康運動指導士・健康運動実践指導者
  • THP ヘルスケア・トレーナー・THP 運動指導担当者
  • 理学療法士・作業療法士
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり・きゅう師
  • 転倒予防指導士
  • アスレティックトレーナー
  • 労働安全・衛生コンサルタント など

ただし、エイジフレンドリー補助金の申請において新たに指導を依頼することが条件です。既に自社と雇用契約にある専門家に依頼した場合は申請できません。加えて、あくまで指導のみが対象のため、器具の購入費などは含まれません。

また労働者自身で鍛錬することが目的であり、指導者の施術や治療も対象外です。ちなみに、補助額は費用全体の3/4ですが、上限の100万円が優先されます(消費税は除く)。もし費用が133万円を超えた場合は、3/4未満の額になると考えてください。

そして、今までなかったとはいえ、令和5年度以前に該当する取り組みを行っていても、申請の対象にはなれません。あくまで指定の期間内に行う場合のみ対象です。

対象とならない経費の追加

エイジフレンドリー補助金の条件に合致していても、次に発生した経費では申請ができません。

  • 危険な場所に設置した目印(標識や警告灯など)
  • トラックの荷台などにつけた昇降設備
  • 勤務場所のエアコン
  • 新型コロナウィルス対策を目的とした空気清浄機
  • 黒球付き熱中症計
  • 防滑機能の付いた靴

上記は高齢労働者の安全目的などであっても、エイジフレンドリー補助金の対象外です。また、令和6年度以前から対象外の経費もあります。

提出前に、併せて以下も確認してみてください。

  • 顧客など労働者以外のための設備(労働者も使う場合はその限りでない)
  • シャッターガードなどの安全装置
  • 工具や生産機器
  • 事務用機器
  • 通路整備
  • 老朽化した箇所の修理
  • 配線のカバー(剥き出しになっているものを隠す工事など)
  • 2m以上の作業車(未満の高さであれば対象)
  • 研修時の旅費 など

あくまで労働者が、勤務時に必要なものを対象としており、労働者以外のためや、勤務以外のシーンで使う場合は除外されやすいです。ただしコースや細かな条件によっては、例外が生じることもあります。

まとめ

エイジフレンドリー補助金は、労働者が安全に働ける環境づくりや、身体の向上を目的とした取り組みに対して支払われます。令和5年度までは2コースでしたが、令和6年度からは新たに「転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース」が追加されました。

またエイジフレンドリー補助金は通年の制度ではなく期間が設けられており、予算がなくなれば早期終了もありえます。迅速な申請が求められる一方、全体の流れや対象外の取り組みなど、細かい点にも注意が必要です。

令和6年度に限らず変更は都度行われるため、スピードを重視しつつも、要件の確認を怠らないようにしましょう。

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