【令和7年度税制改正】高度な資源循環投資促進税制の創設について解説

令和7年度の税制改正において、「高度な資源循環投資促進税制」が新たに創設されました。これは、企業が資源の再利用や廃棄物の削減に向けた高度な取り組みを行う際に、投資を後押しするための税制優遇措置です。

近年、循環型社会の実現に向けた政策が強化されており、企業にも環境負荷の低減や持続可能な資源利用が求められています。

本記事では、この新税制の概要や対象となる企業・設備、適用条件について詳しく解説します。また、背景にある「再資源化事業等高度化法」についても触れ、この税制の具体的な活用事例を紹介します。税務に関わる方々はもちろん、企業の経営者や環境対策を検討している担当者の方も、ぜひ参考にしてください。

目次

「高度な資源循環投資促進税制」とは

「高度な資源循環投資促進税制」は、令和7年度の税制改正において新たに導入され、企業が再資源化に向けた設備投資を行う際に法人税の特例措置を受けられる仕組みとなっています。

この税制の背景には、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(以下、「再資源化事業等高度化法」)」があります。次章で詳しく解説しますが、同法は再資源化事業の高度化と資源循環産業の発展を促進すべく設けられました。

本税制は、この法制度と連動し、資源循環に貢献する設備投資を後押しし、企業の取り組みを後押しすることを目的としています。

また、日本の環境政策は、パリ協定をはじめとする国際的な脱炭素・資源循環の流れと連携しており、本税制も一役買っているといえます。企業にこの制度が活用され、環境負荷の低減と、資源の有効活用が加速すると期待されています。

前提となる法律「再資源化事業等高度化法」

「再資源化事業等高度化法(正式名称:資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律)」は、再生資源の活用を拡大し、資源循環をより効率的かつ高度に進めるために制定された法律です。令和6年5月29日に公布され、資源循環の強化を目的とした新たな認定制度が設けられました。

従来、日本の資源循環政策は、廃棄物の回収・リサイクルを中心に展開されてきましたが、再生資源の品質向上やリサイクルプロセスの最適化が課題となっていました。特に、リサイクルされた資源の市場価値が低く、再利用が進みにくい状況が続いていたため、本法では高度なリサイクル技術の導入や事業者間の連携を促進する仕組みが導入されました。

本法の大きな特徴は、国が再資源化事業の高度化に関する認定を一括して行う制度の創設です。これは、下記の3類型に当てはまる再資源化事業が対象として例示されています。

  • 事業形態の高度化:製造側が必要とする質・量の再生材を確保するため、広域的な分別収集・再資源化の事業を促進する事業形態を高度化する。
  • 分離回収技術の高度化:太陽光発電パネルや紙おむつなどの原料分離技術を高度化する。
  • 再資源化工程の高度化:温室効果ガス削減効果を高めるためのAIなどを活用した高効率な設備を高度化する。

上記3類型に当てはまった事業を始めるにあたって、国の認定を受ければ都道府県知事等による廃棄物処理業の認可は受けなくてもよいとしているのです。

これにより、従来の廃棄物処理業者のみならず、廃棄物処理業の認可を受けていない小売業や製造業でも高度なリサイクル技術を導入しやすくなるわけです。今回の「高度な資源循環投資促進税制」も、この認定制度と連動しており、認定事業を行う企業の投資負担を軽減する役割を果たします。

また、本法の施行は、パリ協定をはじめとする国際的な脱炭素・循環経済の潮流にも対応するものであり、日本の資源政策をグローバルな経済社会の変化に適合させるための一助となっています。今後、企業が資源循環の高度化に取り組む際は、本法の認定制度を活用するかどうかを検討に入れる必要があるでしょう。

高度な資源循環投資促進の要旨

「高度な資源循環投資促進税制」の対象となる企業や要件、適用される税制措置については、具体的な基準が設けられています。

ここでは、①対象者と要件、②対象となる資産、③投資促進税制の措置の3つについて解説します。

①対象者と要件

対象者は、青色申告書を提出する法人で、「再資源化事業等高度化法」に基づく高度再資源化事業計画または高度分離・回収事業計画の認定を受けた事業者です。

要件としては、同法の施行日から令和10年3月31日までの間に、対象となる資産を取得し、自社の高度再資源化事業または高度分離・回収事業に活用することが求められます。まとめると以下の3つを満たしている法人ということになります。

  1.  青色申告書を提出している法人
  2.  国から高度再資源化事業計画又は高度分離・回収事業計画の認定を受けている法人
  3.  対象資産の取得等をして、令和10年3月31日までに事業の用に供した法人

②対象となる資産

本税制の対象資産は、認定高度再資源化事業計画または認定高度分離・回収事業計画に基づき導入される廃棄物処理施設の設備です。具体的には、再資源化事業等の高度化に著しく資する機械装置や器具備品が該当し、環境大臣が財務大臣と協議の上で指定するものに限られます。

また、対象資産は一定の規模以上であることが求められ、以下の取得価額の基準を満たす必要があります。さらに、本税制の適用を受けることができる対象資産の取得価額の合計は最大20億円までとされています。

高度な資源循環投資促進税制の対象となる資産

③投資促進税制の措置

投資促進税制としての措置は、対象資産に対する特別償却を認めるという形になっています。前段で述べた条件をすべて満たした対象資産に投資した場合、初年度に取得価額の35%を特別に償却してもよいこととしています。

現在対象として示されているのは機械装置と器具備品だけで、建物、建物付属設備、構築物に関しては示されていません。廃棄物処理施設に投資するのであればこれら科目の発生も十分に考えられますが、対象が広がるのか、今後の行方に注目したいところです。

期限などの留意点

「高度な資源循環投資促進税制」の適用期限は、令和10年3月31日までと定められており、それまでに対象設備を取得し、事業の用に供することが要件となります。この期限を過ぎると本税制の適用は受けられないので注意が必要です。

一方、制度の適用開始時期については、「再資源化事業等高度化法」の施行日に依存します。2025年1月16日「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律の一部の施行期日を定める政令」が公布され、それによると令和7年2月1日から施行されることとなりました。

これにより期間としては令和7年2月1日から令和10年3月31日までの3年1か月となりますのでこの間に投資計画を進めて、完了する必要があるということになります。

高度な資源循環投資の例

本税制の適用を受ける高度な資源循環投資には、従来のリサイクル技術を超えた先進的な取り組みが求められます。ここでは、具体的な例として3つを紹介します。

ペットボトルの水平リサイクル

ここでいうペットボトルの水平リサイクルとはペットボトルからペットボトルへと同じものに作り直して資源循環することを言います。

現在販売量に対して29%ほどしかないペットボトルの水平リサイクルをさらに増やすには『広域的な分別収集』の仕組みが必要とされています。ペットボトルのリサイクルに取り組む飲料メーカーが自治体とペットボトルの水平リサイクルに関する協定を結ぶなどの動きも出ています。

このように水平リサイクルのための仕組みづくりが税制改正によって促進されると期待されています。

太陽光パネルの再資源化

再生可能エネルギーの普及に伴って急速に増えた太陽光パネルも再資源化が課題になっています。太陽光パネルは主にガラスと金属で構成されており、中には有害物質が含まれるものもありますが、いまだに社会的なリサイクルシステムが確立していません。

これから急速に廃棄が増えることが予想されるため、これらを安全に分別して再資源化できる方法の開発が早急に必要とされています。最近太陽光パネルを熱分解する装置を開発した企業も現れました。こうした高度なリサイクル機器の普及のためにも税制改正の効果に期待したいところです。

再資源化行程の高度化

ゴミをAIによって自動で分別する装置も出てきました。本来燃やされたり、埋め立てられたりしてしまうゴミも、AIの画像認識技術で、素材ごとに分類し再資源化できるごみを取り分けられます。

24時間稼働できる機械で行えば人手もかからず再資源化できる量は増えるに違いありません。こうした機械の導入促進も、今回の税制改正によって期待されています。

まとめ

「高度な資源循環投資促進税制」は、地球環境に配慮する義務が叫ばれる中、日本の事業者にも環境のためになる仕事を行ってもらおうとできた税制です。

中小企業でも環境に配慮した経営をしなければならなくなっている昨今、資金的な理由で二の足を踏んでいた企業にとっては朗報といえるのではないでしょうか。

ぜひこの税制を上手に活用して地球環境に貢献するとともに、業界からの注目も集めていただきたいところです。

税理士.ch 編集部

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