法定相続情報証明制度における署名及び押印の廃止<所有者不明土地の解消に向けた実務ノウハウ Vol.24>

全国公共嘱託登記司法書士協会協議会
名誉会長・司法書士 山田 猛司

2022/4/6

所有者不明土地をめぐる施策が相次いで法制化されるのに伴い、登記をはじめとする実務の需要が爆発的に増加することが予想されます。そこで、この問題に精通している山田猛司先生が実務的な知識やノウハウについて解説します。 
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.101(2022.3)に掲載されたものです。

法定相続情報証明制度における署名及び押印の廃止


法定相続情報証明制度については平成29年5月29日から施行されている制度ですが、同制度については不動産登記規則247条及び248条の他に平成29年4月17日付け法務省民二第292号法務省民事局長通達(以下「基本通達」という)により、その詳細が決められています。

施行当初は不動産登記以外の関係ではその利用が少なかったのですが、金融機関では徐々に浸透し始め、その後平成30年3月29日付法務省民二第166号において基本通達が変更され、平成30年4月1日から規則第247条第4項の規定により当該写しに相続人の住所が記載されているときは、登記官は当該写しをもって、当該相続人の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報としても取り扱って差し支えないこととされ、また税務申告関係にも図形式のものに限り使用することが認められました。

さらに、令和2年10月22日法務省民二第783号の基本通達の変更により、相続手続以外には利用することができないという制限が、「被相続人の死亡に起因する相続手続及び年金等手続以外に利用することはできない。」と変更され、使用範囲が拡大されました。

今般、行政手続についての書面・押印・対面を前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続できるリモート社会の実現に向けて取り組み、全ての行政手続を対象に見直しを行い、原則として書面・押印・対面を不要とする経済財政運営と改革の基本方針2020(令和2年7月17日閣議決定)及び規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)を受け、不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和3年法務省令第14号)が施行されることに伴い、基本通達も以下の通り一部改正され、令和3年4月1日から施行されています(令和3年3月29日法務省民二第655号民事局長通達)。

1. 法定相続情報一覧図への署名又は押印の廃止
【規則第247条第3項第1号、施行通達第2の3(3)関係】
2. 法定相続情報一覧図の保管及び同一覧図の写しの交付の申出書への押印の廃止
【規則第247条第3項柱書き、施行通達第2の5、別記第1号様式及び第2号様式関係】
3. 申出書の添付書面のうち、「原本と相違がない」旨を記載した謄本等に付される署名又は押印の廃止
【施行通達第2の5(4)、(5)ウ、8(2)ア関係】
4. 法定相続情報一覧図の写しの交付及び添付書面の返却の際の登記所窓口における署名又は押印の廃止
【施行通達第2の7(5)ア関係】

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