相続財産管理人制度の変更<所有者不明土地の解消に向けた実務ノウハウ Vol.22>
全国公共嘱託登記司法書士協会協議会
名誉会長・司法書士 山田 猛司
2022/3/2
所有者不明土地をめぐる施策が相次いで法制化されるのに伴い、登記をはじめとする実務の需要が爆発的に増加することが予想されます。そこで、この問題に精通している山田猛司先生が実務的な知識やノウハウについて解説します。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.99(2022.1)に掲載されたものです。
相続財産管理人制度の変更
令和3年の民法等の一部を改正する法律により、相続財産管理人という名称が相続財産清算人と変更され、清算期間が短縮され、また、特別縁故者の財産分与請求に関する条文が変わったことにより、新法施行後は登記申請手続においても大きな影響が出てきた。
下記の通り、家庭裁判所の相続財産管理人の公告以降、相続財産管理人は2か月経過後に債権者および受遺者に対して請求公告をし、更に2か月経過後に家庭裁判所は、6か月以上の期間を定めて、相続人に対し公告をすることとなっており、合計10か月が必要ということになる。
新法はその期間を6か月に短縮し(民法952条第2項)、その期間内に相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告することとされているので、全期間を通じて6か月に短縮されている。
つまり新法では、特別縁故者は第952条第2項の期間の満了から3か月間は財産分与の申立てをすることができることとされているので、最初の公告から6か月経過後3か月以内が財産分与請求期間となり、所有権移転登記の登記原因も「年月日民法958条の2の審判」と変更になる。