会計士の平均年収はどのくらい?年収アップのために欲しいスキルやキャリアアップ先も紹介

会計士の一般的な年収はどのくらいなのか、また、キャリアアップを通した将来設計はどのような見通しになるのか、会計士を目指すにあたって気になっている人も多いのではないでしょうか。

会計士は多くの企業や監査法人から求められており、キャリアアップのルートも様々です。将来の目指すべきゴール地点から逆算してキャリアアップ先を選ぶ必要があります。

本記事では、会計士の年収と主なキャリアアップ先について詳細をまとめています。キャリアアップの方法や転職先が気になる人は、ぜひ記事内容をご確認ください。

目次

会計士の平均年収は746万円

2023年発表の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、公認会計士の平均年収は約746万円でした。

年齢や性別、事業規模それぞれの視点から会計士の年収を分析してみましょう。

  • 年齢別の平均年収
  • 男女別の平均年収
  • 勤務先ごとの平均年収

年齢別の平均年収

年齢平均年収
全年齢の平均746万円
20~24歳449万円
25~29歳589万円
30~34歳682万円
35~39歳828万円
40~44歳877万円
45~49歳837万円
50~54歳930万円
55~59歳622万円
60~64歳870万円
65~69歳722万円

20代前半の年収449万円から後半にかけての589万円へのアップはスキルアップと積み重ねた経験の賜物でしょう。

30代の前半から後半にかけては、より大きく年収が上がります。30代の公認会計士の平均年収は、前半で682万円、後半で828万円です。この年代は、シニアスタッフからマネージャー、シニアマネージャーへとキャリアアップする時期とされています。より責任ある立場へつくことによって、年収1,000万円も夢ではありません。

40代以降は子育てによる女性のキャリアチェンジを反映しているせいか、年収の上昇は抑えめになっています。順調にキャリアを積み重ねていけば50代までに多くの人が年収1,000万円に届く可能性があります。

男女別の平均年収

年齢男性平均年収女性平均年収
全年齢の平均738万円555万円
20~24歳366万円378万円
25~29歳557万円414万円
30~34歳699万円457万円
35~39歳804万円621万円
40~44歳840万円647万円
45~49歳830万円687万円
50~54歳990万円815万円
55~59歳591万円570万円
60~64歳1031万円663万円
65~69歳729万円440万円

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の統計データ(2023年)によると、会計士の男女平均年収には大きな差が見られました。20代前半を除いては全ての年代で、女性の平均年収の方が少ない結果になっています。

原因は出産や子育てによるキャリアの中断だけではないようです。会計士という職種では、職場における男女平等やキャリアアップのチャンスなどにおいて、課題があるのかもしれません。会計士として活躍したい女性は、性別関係なく活躍できる職場をしっかり選んだ方が良いでしょう。

勤務先ごとの平均年収

事業規模年収の目安
10人〜99人706万円
100人〜999人718万円
1,000人以上922万円
事業所のタイプ年収の目安
監査法人589万円
コンサルティングファーム835万円
一般事業会社785万円

会計士の年収は、働く事業所の事業規模によって上限が決まると言っても過言ではありません。案件の単価やクライアント企業の規模がそのまま会計士の年収に反映されます。

事業規模1,000人以下ではそれほど大きな差はありませんが、1,000人以上の大きな事業所になると年収も一気に上がります。3つの事業所のタイプの中でもっとも年収が高いのはコンサルティングファームです。コンサルティングファームの中で公認会計士として活躍できれば年収1,000万円も夢ではありません。

その他、一般事業会社内の会計士として活躍する選択肢もありますが、コンサルティングファームに比べると一歩及びません。監査法人の会計士としての年収は控えめですが、Big4と呼ばれる規模の大きな監査法人で働くことができれば年収1,000万円クラスです。

会計士の年収アップのために準備するべきこと

会計士としての市場価値を高めるために前もって準備しておいた方が良いことを3つ紹介します。

  • 英語力
  • 税務の知識
  • ITスキル

英語力

国内のクライアントのみで事業展開している企業では英語力を求められることはありません。とはいえ、日本企業でも海外進出や海外企業を買収するとなると、英語力が求められることもあります。

グローバル化が進む企業運営の中で、会計士に英語力が求められるシーンは増えてくるでしょう。

他の会計士との差別化のためにも、英語力があって損をすることはありません。海外展開をしている企業であれば、グローバル国際部門へ配属されるチャンスもありますし、海外転勤にて更なるキャリアアップを狙うことも可能です。

税務の知識

中小企業やベンチャー企業のクライアントは、税理士と会計士を別々に契約するケースは稀です。小規模事業所のクライアントは税務と会計をセットと捉えているため、税務の知識は必須です。

税務知識が乏しいと会計士としての市場価値を著しく落としてしまうでしょう。税理士から公認会計士を目指す人にとっては問題のないことですが、会計士を目指す前に税務の実務経験はしっかり経験しておかなければいけません。

ITスキル

現状では経理の処理から監査・コンサルまでをすべてこなしてしまうマルチスキルな会計士も珍しくはありません。

一方で、今後は会計士としての本来の業務と簡単な作業の切り分けのために、ITツールを使いこなすスキルが求められるようになるでしょう。

IT監査が一般的になりつつある昨今、ITスキルを持つ会計士の需要は高まる一方です。他の会計士との差別化のためにも、ITスキルを磨いておいて損はないでしょう。

年収アップのために目指すべきキャリア

会計士としてキャリアアップを目指す時に考えたい転職先を5つ紹介します。

  • 監査法人
  • FAS
  • コンサルティングファーム
  • ベンチャーCFO
  • 事業会社

監査法人

会計士の一般的な転職先は監査法人です。転職先はBig4のような大手事業所から中小監査法人まで様々です。

大手事業所では中小では接することのできないクライアントとの繋がりを持つことができます。大手監査法人は会計士憧れの転職先です。

一方で中小事業所では、大手事業所では考えられないほどの裁量権を与えられる事があります。貴重な経験はスキルアップに大きく貢献してくれるでしょう。

双方、いずれもメリットとデメリットがありますので、自分の目指すキャリアに合わせて最適な選択をしましょう。

FAS

M&Aを取り扱うFASで会計士はなくてはならない存在です。会計や内部統制のために必要とされるため、今までのキャリアを存分に活かして活躍できます。

FASは会計以外にも多種多様の業務に携わる事ができるため、他の会計士との差別化を図るにはうってつけです。最終的に頼れる会計士として独立開業を目指すのなら、FASでの経験が大いに事業を支えてくれるでしょう。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームも会計士がスキルアップできる転職先として有効です。

コンサルティングファームは財閥系と戦略系に分けられます。それぞれの特徴はあるものの、いずれも良い経験が積めるでしょう。会計士がコンサルティングファームで得られる経験は経営や戦略、IT、リスク管理など多岐に渡ります。クライアントに対して高い付加価値を提供できるスキルが身につくため、キャリアの選択肢を増やすにはもってこいの転職先です。

ベンチャーCFO

CFOとはチーフファイナンシャルオフィサーの略称で、企業の財務全般を取り仕切る最高責任者のことを言います。当面の目標を新規上場に設定しているベンチャー企業が多いため、IPOに携わった事がある会計士は特に求められます。

上場を目指す場合、内部統制を見直す必要があるため会計士の力は必要です。ある程度経験がある会計士ならCFOとしてオファーを受けることもあります。年収アップのみならず、得難い経験ができるポジションです。

事業会社

事業会社も会計士としてスキルアップできる転職先です。事業会社では、経営企画や戦略の策定、予算管理や資金調達、M&Aや新規事業の推進に関して、財務の観点からサポートができます。

また内部統制やリスク管理の強化など、ビジネス全体を俯瞰して考える力も養われます。会計の仕事から幅を広げるに当たって、事業会社での経験は大いに役立つでしょう。

まとめ

会計士として活躍する場所は多種多様です。同じ事業所でオーソドックスな会計士として活躍し続ける他に、コンサルファームやFAS、事業会社などでさらにキャリアを拡大する選択肢もあります。

会計士の年収は全国民の平均年収よりも高い傾向にありますが、より高い年収を目指す場合は、継続的にスキルを磨き続ける心構えが必要です。

グローバル化が進む昨今、英語力があると活躍の場はさらに広がるでしょう。将来の理想像を目標としてできる限りの努力を続けましょう。

税理士.ch 編集部

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