法定相続人情報の活用<所有者不明土地の解消に向けた実務ノウハウ Vol.21>

全国公共嘱託登記司法書士協会協議会
名誉会長・司法書士 山田 猛司

2021/12/1

所有者不明土地をめぐる施策が相次いで法制化されるのに伴い、登記をはじめとする実務の需要が爆発的に増加することが予想されます。そこで、この問題に精通している山田猛司先生が実務的な知識やノウハウについて解説します。 ※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.97(2021.11)に掲載されたものです。

法定相続人情報の活用


法定相続人情報の作成及び保存
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下「特措法」という)第40条による「法定相続人情報」については、登記官が電磁的記録で作成し、保存するものとされています(省令第1条第4項)。

法定相続人情報の取得(閲覧請求)
所有権の登記名義人の相続人又は特措法第40条第1項の申出をした公共の利益となる事業を実施しようとする者は、法定相続人情報の閲覧の請求(不登法第121条第2項)をすることができ、その場合には、当該電磁的記録に記録された情報の内容を書面に出力して表示するものとされています(不登規則第202条第2項)。

法定相続人情報の相続があったことを証する情報としての活用
表題部所有者又は登記名義人の相続人が登記の申請をする場合において、当該表題部所有者又は登記名義人に係る法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に相続人の全部又は一部が判明しない旨の記録がないものに限る)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、相続があったことを証する市町村長(特別区の区長を含む)その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができることとされました(法務省令第28号第8条第1項)。

法定相続人情報の住所を証する情報としての活用
表題部所有者の相続人が所有権の保存の登記の申請をする場合又は登記名義人の相続人が相続による権利の移転の登記の申請をする場合において、法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に当該相続人の住所が記録されている場合に限る)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、登記名義人となる者の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができるものとされた(同条第2項)。

表題部所有者不明特措法との違い
類似の制度に「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」があり、令和元年11月21日法務省民二第599号「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」の第7において上記、相続があったことを証する情報及び住所を証する情報としての活用ができることとされています。ただし、こちらの制度は作成番号の提供ではなく写しの提供が必要となっています。なお、上記の制度は相続関係説明図や法定相続情報一覧図(不登規第247条)とは違いますのでご注意ください。

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