顧問先への注目提案 企業版ふるさと納税活用事例(Vol.3)
顧問先が喜ぶポイントとは
―小嶋先生×才木先生トークセッションー

税理士法人中山会計 代表社員税理士 社長
小嶋 純一

御堂筋税理士法人 代表社員/税理士(CEO)
才木 正之

才木先生:私自身「企業版ふるさと納税」は個人的に少し勉強してきました。能登の震災後、1月12日にお話をいただいた時は、まず私が動き、うちのスタッフにも声掛けをして、当事務所の顧客で寄付に賛同していただいた方の反応を見ながら推進してきました。
私がやっていることは、まず顧客に「企業版ふるさと納税を知っていますか?」という話をして、さらに能登半島の現状をご説明した上で「復興していないならうちでできることはないかな?」「どういう負担でできるかシミュレーションしてみてくれる?」という話になったら、地方公共団体と企業のマッチングサポートを行っている株式会社企業版ふるさと納税マッチングサポートさんにつなぐというところまで担っています。当所の担当も入りながら、メールや電話、ウェブミーティングなどで進める流れで、既に当所の顧客だけでも6~7社くらいあります。
利益に対する寄付額ですが、当所の顧客でいうと、5千万円以上利益が出ているところだと大体100万円以上です。いきなり1千万円という大型な寄付は難しいですが、50~100万円くらいのターゲットでアプローチすると、寄付に対する感謝状をコーポレートサイトに掲載し、エンドユーザーや協力会社にアピールすることで、顧客側にとっても自社ブランディングができます。

小嶋先生:たとえば、私たち2つの事務所だけが動いても、2千万円くらい集まっています。寄付金2千万円は結構な金額ですよね。自治体に寄付をするという行為でいうと、それだけ寄付している企業は実際にあまり見たことはありません。だから、当初はマッチングサポートさんとのやりとりも大変になるのではないかと思っていました。
でも、実際やってみるとマッチングサポートさんにほぼお任せできるので安心です。私は担当者を絡ませたいので担当者と顧客とマッチングサポートさんの三者間でやりとりをしていますが、非常にスムーズです。今後もぜひ広めていってもらいたいと思います。

才木先生:私が一番心に響いたのは、やはり職員のご実家やクライアントが直接被災されていることです。東北の震災を経験された方もいらっしゃるので、そういう方々へのアプローチというのは、良い意味で有効だと思いました。マッチングサポートさんのプレゼン資料を見ていただき、興味を示された方には数字のシミュレーションや寄付先の選定なども含めて進めていくとスムーズですね。顧客側もその時点ではあまりよくわからなくても、マッチングサポートさんが丁寧に細かくやってくれるので、安心して任せられると思います。

小嶋先生:特に今回の震災でいうと、そもそも市や町が受け入れできたかも当時はまだわからなかったという現状がありました。だから実際に足を運んで「ここは来月からは受け入れができます」と教えてもらうことで安心して進められました。逆に「今だと困る」ということも率直に教えてもらえたので、こちらの思いだけで迷惑をかけずに済んだ点も良かったと思っています。

才木先生:内閣府の山中様からもご説明があったと思いますが、今回は震災支援以外の事業戦略的な中小企業版「企業版ふるさと納税」の活用イメージについて、何か想定していることはありますか?

小嶋先生:何かこうピンとこなかったですね。支店などでその地域にこれから出て行くきっかけという点では可能性も考えられますが、その効果がどのくらいなのかはさすがに未知数過ぎて顧客に説明できないですね。才木さんは考えられたことは何かありましたか?

才木先生:これは私の失敗事例ですが、うちは事務所内で「年間最優秀スタッフ賞」という投票をやっていまして、その表彰で5万円相当の商品券などを贈呈しているのですが、「企業版ふるさと納税」をゆかりのある自治体に寄付して良いという権利を与えたらどうかと思ったのです。
元々、当事務所には青森や九州出身の職員もいるので、あなたの会社がうちの町に寄付してくれたのかみたいな、実家のおじいちゃんおばあちゃん孝行できたら素敵じゃないかと提案したのですが、この案は見事に却下されました。自分だけ盛り上がった結果の失敗だったので、そういうことも今後はうまくつないでいけたら良いなと思いますね。

小嶋先生:その失敗事例でいうと、勝手にこちらだけテンションが上がるのはよくありますよね。やはり経営者はどうしても熱量がありますから。会計事務所は、そもそも「申告納税制度を広めていく」という役割があります。
私達の役割は、民間から公的な所にお金を渡していく、これは税金で渡しているのですが、今回の寄付というのはまさにそれに近い行為なのだなと思います。それを責任もってできるのは私達会計事務所なんだと思います。これまでは、顧客に対して「いかに税金を安くするか」のアプローチばかりでしたが、世の役に立つという働きにつながってくるのではないかと感じています。

(7月8日(月)開催のセミナー「顧問先への注目提案 企業版ふるさと納税活用事例」より)

小嶋 純一

税理士法人中山会計 代表社員税理士 社長
横浜国立大学卒業。現在、税理士法人中山会計にて三代目代表社員税理士社長を務める。 相談しやすさNO.1 を体現する税理士として自社の経営の実践並びにお客様の経営のサポートを兼務。 現在、日本経営管理協会北陸支会副支会長及び石川県支部支部長、日本M&A協会北陸支部副支部長、 石川県サッカー協会監事、北陸学院大学非常勤講師を務める。

才木 正之

御堂筋税理士法人 代表社員(CEO)・税理士
「クライアントの真の社外取締役でありたい」。大阪府立大学卒業後、 税理士小笠原士郎事務所(現御堂筋税理士法人)に入社。10年間は税務業務、 財務コンサルティング業務を中心に、その後は、税務業務全般と企業組織変革、 営業チームマネジメントコンサルタントとして業務を遂行。 またセミナー講師としても三菱東京UFJリサーチ、大阪商工会議所等に登壇。 現在は、御堂筋税理士法人代表社員(CEO)として、組織のマネジメント業務も行っている。

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