スイス、モンゴルでも企業成功の原理原則は同じ(小宮一慶先生 経営コラムVol.80)

コラムでは、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が、経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.130(2024.8)に掲載されたものです。


株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO 小宮 一慶 先生

先日、スイスに1週間、翌週は水曜日から土曜日までモンゴルに出張してきました。
スイスやモンゴルで感じたのは、成功する企業の原理原則は同じだということです。

まずスイスのお話からです。チューリッヒで訪問したのはエミール・フレイ社というカーディーラーです。レクサス、スズキ、スバルなどの車を扱っています。今年でちょうど創業100年の会社で、家族経営を貫いていますが、従業員は2万3千人というカーディーラーとしてはスイス有数の企業です。

感心したのは、1935年に書かれた創業者の手紙が、多くの部屋などに掲げられており、「品質の良い商品を適正な価格で販売する」、「顧客が支払ったにふさわしい価値を必ず提供する」などのことが書かれています。

さらには、従業員を大切にすることが重要と同社では考えています。スイスでは転職は珍しくありませんが、同社では何十年も長く働き続ける社員が多く、そういった意味でも家族経営との説明を受けました。お客さま第一と、従業員を大切にし幸福にすることに重きをおいて経営しているわけです。

スイスを訪れた翌週に、モンゴルのウランバートルを訪問しました。タワンボグドグループという企業で講演をさせてもらいました。私とタワンボグドグループとのお付き合いは2017年からです。グループの創業者であるバータルサイハンさんが、「お金を追うな、仕事を追え」という私の人生の師匠のお坊さんの言葉を私が解説しているのを知り、講演して欲しいと連絡をいただいたのがきっかけです。バータルサイハンさんは、日本に留学経験があり、日本語が堪能です。2017年、18年、19年と毎年この企業グループの幹部に講演をさせてもらい、コロナが明けた今年に再開となりました。

タワンボグドグループは、世界有数のカシミヤ製造販売、モンゴルで1番のトヨタディーラー、1番の銀行、ホテルなどの観光事業、ケンタッキー・フライド・チキンなどの飲食店などを経営するモンゴル有数の企業グループです。最近では富士フィルムと提携して検診事業も始めました。人口350万人ほどのモンゴルで、創業から30年足らずで1万数千人を雇用するグループにまで発展しました。

創業者のバータルサイハンさんは「お客さまが求めるサービスを提供する」、「従業員を大切にし、優秀な人を採用する」と流ちょうな日本語で謙虚に語っておられました。

スイスでも、モンゴルでも、そしてもちろん日本でも、お客さまを大切にし、それと同時に働く仲間を大切にするというのは、経営成功の原理原則だと再認識させられました。

小宮 一慶

こみや・かずよし/京都大学法学部卒業。 米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、 日本福祉サービス(現: セントケア)を経て独立。名古屋大学客員教授。 企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」をもとに幅広く経営コンサルティング活動を 展開する一方で、年100回以上講演を行っている。 『稲盛和夫の遺した教訓』(致知出版社)など著書は150冊以上で、経済紙等にも連載を抱える。

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