暗号資産の購入で消費税はかかるの?暗号資産と消費税の関係性を紹介

暗号資産が国内で取引され始めた当初は、暗号資産はモノとして扱い、消費税を課するものとされていましたが、資金決済法の改正によって暗号資産は決済方法の一つとして認められるようになりました。

現在では、暗号資産の売買にあたって、消費税は発生しません。本記事では、暗号資産の消費税の取り扱いについて、詳細を紹介しています。

目次

暗号資産は消費税非課税

暗号資産の税法上の扱いは、出始めた頃はまだ曖昧な部分がありましたが、2017年の新しい資金決済法の施行によって消費税は非課税の扱いとなりました。

暗号資産は、黎明期において決済手段ではなくモノとして扱われており、支払った日本円の額に相当する消費税が課税される、という考え方で運用されていました。商品としての暗号資産を買うという認識です。

政府や行政は、暗号資産を価値の記録として捉えており、外貨の購入とは別に価値記録の購入という消費行動に分類されていた経緯があります。消費行動に対して消費税が課税されていた、というわけです。

2015年頃から暗号資産の取引量が急速に増え始めると、扱いを巡って政府でも様々な意見が交わされるようになります。

暗号資産の位置付けを明確にすべき、という議論の末に、決済や弁済に利用できるものと定め、資金決済法が改正される運びとなりました。

マイニングで得た暗号資産も消費税非課税

消費税は消費者に対する課税という性質上、マイニングで得た暗号資産は課税対象にはなりません。

マイニングとは、暗号資産の取引記録の承認のことを言います。承認作業の報酬として暗号資産が獲得できる仕組みです。

マイニングで獲得した暗号資産は所得の扱いになるため、所得税の課税対象になりますが、消費行動による課税対象者を特定できないため、消費税非課税となります。

暗号資産の取引と消費税の関連性

暗号資産の取引における消費税との関連性を2つのポイントにて紹介します。

暗号資産の売却では消費税はかからない

現行の消費税法では、事業者が事業として商品などを販売する場合や、資産の貸付、役務の提供などに対して消費税が課税されるという決まりが定められています。

土地や有価証券、外貨の譲渡や家賃などについては、非課税取引として指定されており、支払い手段の譲渡も非課税取引の一つです。

暗号資産は支払い手段の一つとされているため、暗号資産の譲渡には消費税がかかりません。したがって、暗号資産を購入、売却する際はいずれも消費税を支払う必要はありません。

取引所の取引手数料には消費税がかかる

暗号資産そのものには消費税はかかりませんが、取引所の手数料に対して消費税がかかる点には注意が必要です。

消費税の課税対象となる理由は、手数料は仮想通貨取引所が提供しているサービスに対する対価であり、消費税の非課税取引には該当しないためです。

とはいえ、別途お達しがある場合を除いて、取引手数料は税込価格なので、別途、消費税を支払う必要はありません。

売買以外で消費税がかかるタイミング

暗号資産の売買以外では消費税が発生するタイミングがあります。具体例として2つのパターンを紹介します。

商品・サービスの対価を暗号資産で支払った場合

商品やサービスを受け取って、対価を暗号資産で支払う場合は、現金で支払うのと同様に消費税を支払う必要があります。

暗号資産で商品やサービスを購入するときは暗号資産の取得原価と譲渡価格の差額から、所得を計算する必要がありますが、計算の際の譲渡価格には消費税が含まれます。

実例は以下のとおりです。

【500万円(税込)の商品を1BTCで購入。BTCは200万円で取得した場合】

譲渡価格500万円(税込)ー 取得原価200万円=300万円
課税所得は300万円になります。

商品やサービスを提供して暗号資産を受け取った場合

商品やサービスの対価として暗号資産を受け取った場合、税込価格の暗号資産をもらう必要があります。

暗号資産での決済も現金のやり取りと同様に、消費税を納税しなければいけません。したがって購入者から消費税を請求する必要がある、というわけです。

消費税とは?知っておきたい原則

消費税とは間接税の一種です。消費活動に伴う消費金額に対して幅広く課税することによって、公平な納税を実現するために作られました。

国内では、1989年4月に3%の消費税が導入され、現在の10%に到達しています。

消費税の課税対象

消費税の課税対象となるのは、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付けおよび役務の提供と外国貨物の引取り」と定められています。つまり、商品やサービスを買う消費者と支払う対価が課税対象となる、ということです。

企業や商店へお金を払って何かを獲得する場合、必ず消費税がかかる、ということになります。

商品券やプリペイドカードの購入は消費税の対象外です。決済手段の購入ということになり、消費と呼べないためです。同じ理由で有価証券も消費税非課税です。

暗号資産も同じ分類で消費税非課税とされています。

まとめ

暗号資産の売買に関して消費税が課税されることはありませんが、取引所を使った際の売買手数料には消費税が含まれます。その他、商品やサービスの対価を暗号資産で受け取る時は、税込価格を請求する必要があります。

マイニングで獲得した暗号資産と消費税の関連性は悩みどころですが、この場合消費税でなく、所得税が課税されます。現行では、暗号資産は決済手段の一つとして認識されており、消費税は非課税の扱いです。

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