オーバーツーリズムの悩みを解消。観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金
「観光地・観光産業における人材不足対策事業とはなんだろう」「オーバーツーリズムに悩む経営者に活用できる制度はないだろうか」と悩んでいないでしょうか。
観光地・観光産業における人材不足対策事業とは、設備投資やサービスの導入に関する経費の一部が支援される補助金です。補助金を利用することで人材不足などが解消し、オーバーツーリズムの課題を解決できる可能性があります。
この記事では、観光地・観光産業における人材不足対策事業について解説します。補助金の申請方法や注意点などについても、わかる内容になっています。
目次
- 観光地・観光産業における人材不足対策事業とは
- 観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の概要
- 観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の申請方法
- 観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の注意点
- 観光地・観光産業における人材不足対策事業に関するまとめ
観光地・観光産業における人材不足対策事業とは
観光地や観光産業で働く人が足りていない問題を解決するための設備投資や、サービスの導入に関する経費の一部が支援される補助金です。補助金を利用し設備投資が実施されることで人手不足を解消し、サービス水準の向上が期待できます。
観光地や観光産業は、人手不足の悩みを抱えています。人手不足の原因は様々ですが、観光業は仕事がきつい、給料が安い、休みが少ないといったイメージがあり、敬遠されがちです。長時間労働や休日出勤が多い職場も多く、体力的に厳しい仕事もあります。
また、観光業は繁忙期と閑散期の差が激しく、安定した収入を得にくいという問題もあります。繁忙期は忙しすぎてプライベートの時間が取れないのに対し、閑散期は仕事が少なくて収入が減ってしまうという不安定さなどが、人材不足の原因でしょう。
これらの原因が複合的に絡み合い、観光地や観光産業における人材不足が深刻化しています。人材不足を解消するためには、観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金が活用するといいでしょう。
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の概要
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金は、誰でも受給できるわけではありません。対象となる事業者や条件などがあります。ここでは、補助金を受けるため、以下の項目について解説します。
- 対象事業者
- 応募可能期間
- 応募条件
- 補助率・補助限度額
- 補助対象の経費
参考:国土交通省 観光庁「観光地・観光産業における人材不足対策事業」
対象事業者
宿泊事業者が対象です。宿泊事業者とは、届出をして住宅宿泊事業を営む者を指します。具体的には、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿などが考えられます。届出をしていない者や建設業などは対象事業者には含まれてないため注意しましょう。
宿泊事業者は、この補助金を活用することで、人材不足の解消に繋がる設備投資やサービス導入を進めることができます。
公募期間
一次公募は終了しており、二次公募は2024年7月1日から8月9日の17:00までとなっています。二次公募期間内に参加申込と計画申請の両方を完了している必要があるため、参加申し込みを考えている方は早めに準備しましょう。
応募条件
応募条件は以下のⅠ~Ⅲの全てを満たす必要があります。
Ⅰ次の①又は②のいずれかに該当すること
①宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインの登録を受けている、または宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインの登録申請をしている:登録証の写しまたは登録申請受付メールの写しの添付を求められます。
②金融商品取引法第24条に基づき有価証券報告書を内閣総理大臣に提出する会社や、その会社の子会社、関連会社であること。かつ、観光施設における心のバリアフリー認定制度の認定を取得済み又は1年以内に取得予定である方
Ⅱ 地域(DMO、地方公共団体等)と連携し、訪日外国人宿泊者数を向上させるための取組を行っている
Ⅲ 地域(DMO、地方公共団体等)と連携し、地域一体での求人活動等、人手不足解消のための具体的な取組を行っている
上記Ⅰ~Ⅲが応募条件です。
対象になるか不安な方は、応募前に公募要領などで確認しましょう。
補助率・補助限度額
補助率は1/2で、補助限度額は1施設あたり500万円です。例えば、1,000万円の設備投資を行う場合、500万円の補助金を受けることができます。1事業者あたり3施設が上限のため、4施設以上ある事業者は注意しましょう。
補助対象の経費
人材不足の解消や生産性向上に資する設備費、システム導入費、研修費などの経費が対象です。具体的には、以下が挙げられます。
- 自動チェックイン機や無人化のための機械
- 清掃ロボット等の購入
- 効率化を図るための設備
- 献立管理システム
- シフト管理システム
また、以下に該当する経費は補助対象外です。
- 事業に直接関係のない経費
- 交付決定前に発生した経費
- 水道光熱費や通信費などの事業者における経常的な経費
補助対象となる経費を把握することで、事業者はより効果的な投資計画を立てることができます。申請する経費が、補助対象となるか事前に確認しましょう。
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の申請方法
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金は、以下のステップでスムーズに進めることができます。
ステップ1:Webサイトの参加申込フォームにて応募
ステップ2:計画申請の手続き
ステップ3:交付申請の手続き
ステップ4:交付決定通知の受取
ここでは、申請方法についてステップごとに解説します。
ステップ1:Webサイトの参加申込フォームにて応募
補助金の申請は、Webサイトの参加申込フォームから応募します。参加申込の前に対象事業者や、条件などを確認しましょう。
ステップ2:計画申請の手続き
参加申込が完了したら、次は計画申請の手続きです。事務局から送られてくるご案内に沿って、必要な書類を準備して手続きしましょう。申請手続きの後に、事務局が審査を実施します。
ステップ3:交付申請の手続き
申請計画が採用された後、交付申請の手続きをしましょう。
ステップ4:交付決定通知の受取
交付が決定された事業者には、事務局から交付決定通知が送られてきます。申請した計画に沿って事業を実施し、事業完了の手続きをしましょう。
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の仕訳
補助金を受け取ったとき、その補助金は収入として扱われます。観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金は、一般的には「雑収入」の勘定科目を使用して仕訳をします。
例えば300万円の補助金が普通預金に入金された場合、具体的には以下の仕訳が考えられます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 3,000,000 | 雑収入 | 3,000,000 |
圧縮記帳などする場合は、仕訳が異なる可能性があるため個別の判断が大切です。
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金の注意点
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金を受け取ったとき、税務上は以圧縮記帳と消費税の取り扱いに注意しましょう。
圧縮記帳を検討
圧縮記帳とは、会社が補助金や保険金などを受け取った際に、固定資産の取得価額を減額できる方法です。圧縮記帳をすると課税の繰り延べができるため、補助金にかかる税金の負担を軽減できます。
圧縮記帳の要件は、以下の通りです。
- 圧縮限度額の範囲内であること
- 確定申告書に圧縮に関する明細書を添付する
- 取得した固定資産の帳簿価額を直接減額する方法、圧縮できる金額を積立金として計上する方法、剰余金の処分によって圧縮できる金額を積立金として計上する方法のいずれかの方法で経理処理を行うこと
観光地・観光産業における人材不足対策事業の補助金や、申請した経費の内容が圧縮記帳の対象になるかの検討を忘れないようにしましょう。
消費税は対象外
補助金は原則として、消費税の対象外です。しかし、設備の設置工事費や保守費用など、補助対象の費用については消費税が課税されます。処理を誤ると、納税者に損失を与える恐れがあるため注意しましょう。
観光地・観光産業における人材不足対策事業に関するまとめ
観光地・観光産業における人材不足対策事業は、宿泊事業者を対象とした設備投資やサービス導入に関する経費の一部が支援される補助金です。補助率は1/2で、補助限度額は1施設あたり500万円です。人材不足の解消や生産性向上に資する設備費、システム導入費、研修費などが対象となります。
補助金を受け取った際は、税務上、圧縮記帳と消費税の取り扱いに注意が必要です。圧縮記帳を行うことで、補助金にかかる税金の負担を軽減できる可能性があります。一方、補助金自体は消費税の対象外ですが、設備の設置工事費や保守費用などは課税対象となるため、注意が必要です。
観光地・観光産業における人材不足対策事業の二次公募の申請は、2024年7月1日から8月9日の17:00までです。申請する際は、公募期間などを確認して申し込みしましょう。
税理士.ch 編集部
税理士チャンネルでは、業界のプロフェッショナルによる連載から
最新の税制まで、税理士・会計士のためのお役立ち情報を多数掲載しています。
運営会社:株式会社ビズアップ総研
公式HP:https://www.bmc-net.jp/