これからは税理士のところにも「人事相談」が来る時代に

株式会社ＮＣコンサルティング 代表取締役社長 人事コンサルタント
大橋 高広

経営者の悩みは「営業」「財務」「人事」に集約される

税理士の先生方におかれましては、日頃から経営者のお悩みをお聞きになられていることと思いますが、そのお悩みは大きく分けると次の３つに集約されると思います。

1. 営業
   新規開拓営業、ルート営業、テレアポ営業、WEBマーケティング、SNSマーケティングなど
2. 財務
   節税、融資、補助金など
3. 人事
   採用、育成、定着、人事制度など

税理士の皆様の本業は税務ですので、税務以外の相談に対応する必要はないかもしれませんが、中小企業庁によると、「日常の相談相手は誰ですか？」という質問に対し、税理士・公認会計士と回答する人は60％以上となっております。

つまり、経営者が税務以外のことで悩んでいても最初に相談をする相手は税理士・公認会計士の先生である可能性がきわめて高いと考えられます。

そのため、中小企業の経営を支えているのは、税理士・公認会計士の先生方と言っても過言ではなく、だからこそ税務以外の相談にもご対応いただけるなら、日本中の企業の発展につながることは間違いありません

これからは「人事」で悩む企業が急増し続けます

この４月は「退職代行サービス」のニュースを見ない日はないというぐらいに、毎日報道されていました。そして、今も定期的に報道され続けています。そのため、私の人事コンサルタントという職業柄もあってか、社長とお会いして退職代行サービスの話にならなかったことはないという日が続いております。

なぜこれほどまでに退職代行サービスに興味関心を持つ企業が増えているのでしょうか？

それは、ひとえに「超採用難の時代」が到来しているからです。

市場に労働者があり余っているなら、退職代行サービスを使って辞める人に興味関心を寄せる企業はそもそも無いでしょう。しかし、今は超採用難の時代。苦労に苦労を重ねて採用した人材が退職代行サービスを使って辞めるとなると、色々な感情が芽生えてしまうのだと思います。

とくに中小企業や零細企業においては優秀な人材のほとんどが大企業に採用されてしまうため、採用難が企業の存続に関する問題にまで発展しています。たとえ規模は小さくても都市部のSNS映えする企業はまだ採用しやすいですが、地方の優良企業などは相当程度採用に苦戦しているというのが実情です。また円安などの影響もあり、過度に外国人採用に期待を寄せるのも現実的ではありません。

このような状況の中で、本質的な採用力強化が求められますが、誰に相談してよいのか悩んでいる経営者は多いはず。そこで、普段からお世話になっている税理士の先生に相談することができれば、こんな心強いことはないはずです。

人事相談にも応えることができれば信頼獲得・販路拡大につながる

中小企業の経営課題としてよく挙げられる事業承継ですが、これまでは節税や株価等の財務に関するテーマがほとんどであったと思います。しかし、現在では少し様子が変わってきています。

優良中小企業の経営者のご子息ご令嬢は往々にして受験をし、関東もしくは関西の有名大学に進学し、大手企業や有名企業に就職します。そして、そこで家庭を築いたり、家を買ったりしています。

そんなご子息ご令嬢にいざ事業承継のタイミングになって連絡しても実家に帰ってこないということが増えているのです。
そのようなことになってしまっては、事業承継がうまくいかず、従業員の皆様も路頭に迷ってしまうかもしれません。そして、税理士の先生方も顧問先が年々減少してしまうかもしれません。

だからこそ、これから急増し続ける人事の問題に関して相談に乗ることができれば、企業を成長発展に導き、事業承継を滞りなく進め、従業員の雇用を守ることができます。そして、税理士の先生方の信頼が高まり、さらに販路が拡大していくことも考えられます。そのようなこともあってか、大手の税理士法人様では人事系のコンサルティング会社を併設しているところもございます。

ぜひこの記事をご覧の先生方もこれから話題が沸騰し続ける「人事」の分野にご興味ご関心をお持ちいただけましたら幸いです。