税理士業界から日本を元気に！＜税理士のヒヤリ・ハット体験談 第11回＞

税理士法人 古田土会計 社員税理士
土田大輝

2021/7/16

第１１回　税理士業界から日本を元気に！
～税理士業界もコロナを乗り越えよ！～

このコラムを開始したのは昨年の4月。新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が発せられ、その後の社会・経済が大きく変化し、今もその最中にいます。このコロナ下において、我々税理士業界の立ち位置も大きく変化していると、日々実感しています。ひと昔前の記帳代行を主な業務としたサービスは急速に陳腐化し、税理士に 求められるサービスは、
・より深い経営に役立つ情報の提供であったり、
・資金繰りを中心とした財務の分野であったり、
・円滑な事業承継をサポートするための道しるべを示すことであったり・・・と、
お客様との接点は税務・会計かもしれませんが、お客様のそのニーズやウォンツに合わせて、多くのコンテンツを用意することが必要であると感じます。

例えば、昨年実施された『持続化給付金』や『家賃支援給付金』の申請には、財務諸表の数値を出す必要があり、税理士が二人三脚でサポートすることによってお客 様は喜んでくださいました。また東京都では、時短営業等に協力した見返りとして、飲食店等は感染拡大防止協力金を受取ることができました。過去の申請には税理 士等専門家の確認を必要とするなど、東京都側にもその存在感を示しました。これらの申請には、古田土会計でも多くのお客様のお手伝いさせていただきました。

税理士にとって、一番ヒヤッとすることは、お客様から「最近良いサービスしていない」と言われてしまうことです。当たり前ですが、古田土会計に新規でのお問い 合わせがあるお客様の多くは、現在他の税理士と契約をされています。そしてほぼ異口同音に、「いまの税理士のサービスに満足いっていない！」という不満が込め られています。
ある雑誌の調査では、顧問料が高くなるが他の税理士に契約を変更するという傾向が、このところ良くみられるようです。お客様は、身近な法律家・相談相手として
の税理士に対して、より多くのアドバイスや情報の提供を期待していることがわかります。それもそのはず、今は特に、利益が出て節税がニーズのお客様ばかりでは なく、赤字であったりお金に困っているお客様も多くなっています。そうでなくても、このコロナ下において、政府系金融機関や信用保証協会などで、非常に有利な 借入条件の融資が登場してきています。さらに厚生労働省からは雇用調整助成金が、経済産業省からは事業再構築補助金などの各種補助金が、提供されます。当然、 国税庁からは税務上の特別措置について、情報が発せられています。
これらすべての作業当事者に税理士がなる必要はありませんが、これらの融資・補助金・税務等、お客様が単独では入手することが なかなかできない情報を、タイムリーにお伝えすること。これこそがコロナ下を勝ち抜ける税理士のある姿ではないかと思います。

これからも、現在発せられている緊急事態宣言下において、『一時支援金』（飲食店の時短営業や外出自粛等の影響により売上が50％以上減少した中小企業・個人事 業主に支払われる）が支給されることとなっていますが、その受給について、不正や誤った受給を防ぐ観点から、税理士などが確認機関として関与することになって います。積極的にお客様の支援金の確認をして差し上げる姿勢や、情報を提供する姿勢が、お客様の安心や満足につながるものと思います。

コロナ関連の情報は、日々関係省庁や新聞等から次々と報道され、悪く言えば情報が氾濫しています。そこで古田土 会計では、これらを整理した形で一つのウェブサイトを立ち上げ、お客様にジャンル別にご案内してきました。お客様からは一定のご支持をいただいたと思います。 情報の鮮度ある提供は、他にも方法はあると思います。

キーワードは、お客様に「寄り添う」ことだと思います。

良くなってもらいたいという気持ちを込めて、ネットや報道の情報を適時お伝えしていきましょう。

緊急事態宣言は今後解かれていくことと思いますが、経済的なサポートは、まだまだ続きます。是非我々税理士から、社会を・日本を元気にしていきたいです。そし て、このコロナ下での環境の変化に税理士も機敏に対応し、是非、共に乗り越えていきましょう！

 

参考：新型コロナウイルスの影響による、各種の特例制度（現在有効なもの一部抜粋）

Ⅰ【融資】
① 政府系金融機関による融資（利子補給による実質無利子など）
② 民間金融機関による融資（信用保証協会のセーフティ保証の別枠、危機関連保証
③ 柔軟な返済条件の変更
Ⅱ【補助金】
① 一時支援金
② 中小企業等事業再構築補助金
③ ものづくり補助金
④ 持続化補助金
⑤ GoToトラベル
⑥ 雇用調整助成金の特例措置
Ⅲ【税・社会保険】
① 納税猶予・納付期限の延長
② 申告期限の延長
③ 厚生年金等の猶予

出典：経済産業省HP　新型コロナウイルス感染症関連