税理士が会社法支援(新米税理士のための自己啓発ガイド Vol.9)
税理士法人SBL
八木 正宣
2021/7/16
法人は税理士の継続的な顧客として重要な存在です。その法人の設立、組織運営などについて定めたものが会社法です。会社法は税務手続きとも関連があるため、押さえておきたいところです。
1. 定款の一部が登記簿に記載される
会社法は、全ての会社に対して適用される法律です。一方で個々の会社の組織・運営の仕方を定めたものが「定款(ていかん)」です。具体的には、その会社の商号や事業目的、本店所在地、株式や機関設計の内容、事業年度などの事項を定款で規定します。
定款で定めたもののうち、次の項目については、法人の登記簿の記載事項となっています。本店の移転や会社が新規事業に乗り出したとき、代表取締役の住所に変更があったときなど記載事項に変更があった場合には、速やかに登記簿の変更登記をしなければなりません。
一方で、登記簿の記載事項以外の項目に変更があった場合には登記簿の変更は必要ありません。例えば「決算月」は登記簿の記載事項でないため、定款の変更について株主総会の決議を経たあと、定款の修正と税務手続きを行えばよいことになります。
2.意思決定機関を把握する
税理士業務と並行して、会社の意思決定機関の議事録の書類を作成支援することがあります。決算書類の承認、役員報酬の決定、株式の贈与、取締役と法人間の取引の開始について、税理士は深く関わることが多いと思います。これらの行為についてどの機関が決定するのか把握しなければなりません。
まず株主総会の決議事項は、会社法で次のとおりと定められています。これらは、取締役会等で決議することはできません。
次に取締役会設置会社である場合には、会社法において次の事項が取締役会の決議事項とされています。取締役会とは、取締役全員で構成され、会社の業務執行の決定、取締役の職務執行の監督などを行う機関です。
会社法を意識して経営している中小企業経営者は少ないかもしれません。顧問税理士として会社の運営が会社法を逸脱したものにならないよう、導いていきたいところです。