顧客の売上を創出する!ビジネスインフラを目指す「琉球会計」の次なる戦略とは?
沖縄からアジアを見据え、税理士の枠を超える若きトップの流儀に迫る  Vol.1

顧客の売上を創出する!ビジネスインフラを目指す「琉球会計」の次なる戦略とは? 沖縄からアジアを見据え、税理士の枠を超える若きトップの流儀に迫る

税理士法人琉球会計 公認会計士・税理士 松茂良 昇

沖縄県で開業4期目にして25名規模へと急成長を遂げ、クラウド会計の導入実績で全国アワードのルーキー賞にも輝いた琉球会計。圧倒的なスピードで組織を拡大する裏には、異業種からの未経験者採用やAIの徹底活用、そして「会計事務所をビジネスインフラにする」という壮大なビジョンがあった。「活気ある島を創る」をミッションに掲げ、既存の税理士業界の常識を次々と打ち破る若きリーダー、松茂良昇代表に、事務所経営の実践的な戦略や今後の業界展望についての熱い思いを伺った。

武士の末裔から「士業」へ
沖縄での独立を見据えたキャリア戦略

公認会計士の資格を取得されてから現在に至るまで、
ご自身のキャリアの原点や開業のきっかけについてお聞かせください。

もともと公認会計士の資格を取る前から、「いつか絶対に独立したい」、それも「地元である沖縄で独立したい」という強い思いを抱いていました。実は、それには私自身の「松茂良(まつもら)」という苗字が関係しています。沖縄には「武士・松茂良」と呼ばれる大変有名な空手家がおりまして、私の家系もそこにルーツがあるんです。子供の頃から親戚にその武勇伝を聞かされて育ち、純粋に「かっこいいな」と憧れていました。

ただ、今の平和な世の中で刀を持って歩くわけにもいきませんし、空手で闘うわけにもいきませんよね。だったら、現代における「士(サムライ)業」になりたいと漠然と考えるようになったんです。そして「せっかく挑戦するなら一番難しい試験に挑もう」と思い立ち、公認会計士の道を選んだのがそもそものきっかけです。


将来的な独立を見据えて、まずは監査法人に入られたのですね。
最初から独立後の展開を計算されていたのでしょうか。

はい。公認会計士の資格を取れば税理士登録もできるため、税理士試験をストレートで何科目も受けるよりも、結果的に短期間で資格を取得できるのではないかと考えました。大学生の頃で比較的勉強に割ける時間もあったので、一気に集中してやった方がいいと考え、公認会計士を選んだんです。

そして、最終的な目標である「沖縄での独立」を叶えるためには、当然ですが独立した後に「仕事(顧客)」がなければ成り立ちません。地方に拠点を構える監査法人のメインクライアントは、必然的に地方銀行になります。ですから、まずは地方銀行の監査を経験しておけば、将来的に地方へ戻った際にも仕事に繋がりやすいと考えました。当時、就職先の候補としてEYとトーマツがあったのですが、トーマツの沖縄那覇事務所は管轄が九州だったのに対し、EYの沖縄事務所は東京管轄でした。東京にいながら沖縄を見据えることができる環境に、これだ!と感じ、EYで働くことを決めました。

独立後の業務に直結するスキルを、あえて東京で学んだというお話も伺いました。

元々、税理士になって「中小企業の支援をしたい」というブレない軸がありました。そこで、金融機関が行っている「自己査定」という業務の監査経験が、将来的に絶対活きると考えたんです。金融機関は、お金を貸している融資先に対して厳密なランク付けを行っています。そのランク付けが本当に合っているかどうかを第三者として監査するのが「自己査定監査」なのですが、融資側のシビアな目線を学ぶことで、独立した後に経営者の皆様へ還元できる実践的なアドバイスに直結すると思ったのです。そのため、金融事業部を自ら希望して選びました。スタッフの間は東京で最前線の金融業務に揉まれ、その後、満を持して沖縄事務所に移り、シニアスタッフとして3年から4年ほど実務経験を積んでから独立へと踏み切った、という流れになります。


開業率全国トップの沖縄
スタートアップ市場の勝機

沖縄で独立するという目標を周囲には話されていたのですか。

初めの頃は、モチベーションの表れもあって周囲に公言していました。ところがある日、上司から「いずれ辞めると宣言している人には、実は誰も重要なことを教えないから、今後は言わない方がいいよ」と静かに諭されたんです。確かにその通りだな、とハッとしましたね。ただ、いざ沖縄事務所に出向で行った際には、周囲からは「あいつは片道切符で戻ってこないよね」と思われていましたし、親しいチームメンバーなどには当時から辞めて独立する旨を正直に伝えていました。

沖縄という市場をターゲットに選んだのには、地元への愛着以外にも戦略的な理由があったのでしょうか。

独立するにあたり、沖縄なら「戦略的に必ず勝てる」という強い確信がありました。というのも、沖縄は開業率が全国で一番高い地域なんです。一般的に、税務顧問というものは一度契約してしまうと、お客様にとって乗り換えのハードルが非常に高いサービスです。さらに、私は会計士上がりでベテラン税理士のような豊富な税務知識があるわけでもないため、既存のパイを真っ向から奪いに行くのは得策ではないと感じていました。

しかし、ターゲットを「スタートアップ」に絞り込めば勝機は十分にあります。開業するお客様のペースが早く、「まだ税理士がついていない新規設立会社」が毎年一定数現れる沖縄という土壌は、我々のような新規参入者にとってアプローチしやすく、まさに勝てる市場だと緻密に分析していました。

なぜ沖縄はそこまで起業や開業が多いのでしょうか。

飲食店などのサービス業が多いという地域特性もありますが、超個人的な推測として、沖縄の平均所得がだいたい300万円から400万円と、全国的にも低い水準にあることが大きく影響していると考えています。所得水準がそのくらいであれば、「会社に所属し続けるよりも、自分で独立してそれくらい稼ぐことならできるのではないか」と思われる方が多いのではないでしょうか。大企業に勤めて多額の給料をもらい安定しているケースと比較すると、独立して失うリスクが他県と比べて相対的に低いのではないかと思っています。絶対数としてはもちろん東京などの大都市圏と比較すると多くはないのですが、毎年一定数の新陳代謝が確実に起こる環境の中で、我々もスピード感を持って参入しやすい市場だったという背景があります。


開業3年で25名体制へ
急成長を支える「ワンストップ支援」

開業から約3年で現在25名規模と、すごい勢いで成長されていますね。
ホームページを拝見すると、特定の業種に特化するのではなく、まんべんなくサービスを展開されている印象を受けました。

我々の最大の武器であり強みは、「マネーフォワード」をはじめとするクラウド会計を業務のメインに据え、徹底的に使い倒している点です。その実績が評価され、2024年にはマネーフォワードの全国アワードで栄えあるルーキー賞をいただくことができました。現時点では、間違いなく沖縄で一番マネーフォワードを駆使している事務所だと自負しています。このITリテラシーの高さとテクノロジーの活用力は、他の歴史ある事務所様と比較しても、明確で圧倒的な強みになっていると思っています。

クラウド会計以外の強みや、組織体制の特徴はどのようなところにあるのでしょうか。

クラウド会計以外の強みは、専門人材の層の厚さとAI活用の実装力です。当事務所には公認会計士4名、税理士1名が在籍しており、監査法人出身者を中心に、M&A・組織再編・外部CFO業務まで対応できる体制を整えています。加えて、ここ数年はAIを業務に本格的に組み込み、記帳・証憑処理・月次資料作成といったバックオフィス業務の自動化を自社で実践してきました。その知見をそのままお客様に還元し、経理体制そのものの設計・省力化までご支援できる点が他事務所との違いです。記帳代行や税務申告の枠にとどまらず、数字の整備から経営判断の支援、業務プロセスの再構築まで一気通貫でお任せいただける、この多角的な支援体制こそが当事務所の強みです。

異業種出身者が躍動
未経験を積極採用する独自の基準

3年で25名という採用スピードは、人材難の士業業界において驚異的です。
採用戦略の秘訣をお聞かせください。

我々の事務所には士業業界の経験者がほとんどおらず、ほぼ全員が未経験者でやらせていただいています。私自身が「税理士業務ゼロ」の状態で独立しているという背景もあり、過去の経験よりも、地頭の良さや最低限のITリテラシーさえあれば、すぐに業務に適応して活躍できる環境が整っていると確信しているからです。これは、属人性を排除できるクラウド会計をメインツールにしている最大の利点でもありますね。もちろん誰でも良いというわけではなく、しっかりと選考は行っていますが、業界経験ではなく「その人自身のポテンシャル」や「変化への適応力」を最重要視して採用しています。また、SNSのXやInstagram等を使って、我々のカルチャーや働き方を積極的に発信していることも、価値観の合う人材の採用に直結していると思います。

人がなかなか採れないと苦労されている事務所さんが多い中、貴所ではあまりそういった実感はないですか。

実は、採用で苦労しているという感覚はあまりないのです。極端な言い方かもしれませんが、採用にかける資金さえ確保できれば、求める人材はいくらでも採れると思っています。採用コストに関しても、求人サイトをフル活用しても年間で300万円弱くらいしかかけていません。2023年の11月くらいからは毎月コンスタントに1名は採用しています。もちろん、途中で価値観が合わずに辞めていく人もいるので単純な足し算にはなりませんが、常に新しい血が入り、組織が活性化する採用サイクルは確立できています。

具体的に、どのようなご経歴の方がいらっしゃるのでしょうか。

本当に多種多様です。今、私の目の前で仕事をしているスタッフは元眼鏡屋の店長ですし、ほかにもパーソナルトレーナー、医療関係の営業マン、看護師、そして体育教師といった異色の経歴を持つメンバーが多数在籍しています。前職の業界はバラバラですが、共通しているのは対人業務でコミュニケーションをしっかりと取ってきた経験を持つ方が多いという事実ですね。

人数拡大から生産性向上へ
変化する組織づくり

毎月1名ペースで採用を進められているとのことですが、
今後の目標としてどれくらいの規模を目指されているのでしょうか。

以前は「あと2年で50名規模の組織にしたい」と、単純な人数を明確なKPIに設定していたのですが、ここ数ヶ月でその組織戦略を大きく修正しました。4期目に入り、単に人を増やすことをKPIにするのではなく、「一人当たりの生産性」を極限まで高めることを意識してやっていこうという、一段上のフェーズに入ったと実感しています。
一人当たりの生産性が高まれば、提供できる価値が上がり、必然的にお客様に選ばれるようになりますし、お付き合いするお客様の質もさらに変わってきます。開業スタートアップの時期は、とにかく足場を固めるためになりふり構わず仕事を請けていたところがありますが、それをずっと続けてしまうと、私自身は対応できても、現場のスタッフには過度な負担がかかり難しくなってしまいます。

また、新規採用ばかりに目を向けるのではなく、「既存のスタッフを一番大事に育成すること」が、結果的に顧客へのサービス品質の向上にダイレクトに繋がると考えました。お客様にとっても、担当者が短期間で何度も入れ替わるのは決して望ましいことではありませんし、スタッフ自身にナレッジも蓄積されません。ですから、現在は表立って人数をKPIとはせずに、生産性を高めた結果的な目標として「あと2年で50名規模にはしたい」と考えています。


既存スタッフの育成や、組織の生産性向上にはどのように取り組まれていますか。

現在は、AIなどの最新のソフトウェアを積極的に使いながら日々の生産性を高めています。また、スタッフのメインの教育教材として「e-JINZAI」を導入しているのですが、当初は入社時にアカウントを付与して「あとは空き時間で勝手に見ておいて」という放任スタイルになっており、正直なところ十分に活用しきれていないという課題がありました。これではいけないと思い、まずは事務所の組織図をしっかりと作り、求める能力を可視化したスキルマップを定めました。スタッフ一人ひとりが今の自分に適正な段階で、適正な研修を計画的に受講できるような教育プログラムを立てて運用しています。

面接で重視しているポイントや、逆にお断りする基準はありますか。

「なぜ数ある中で琉球会計なのですか」という本質的な質問は必ずさせていただきます。その際に、一般的な税理士業界に入りたい理由や、ありがちな業務内容についてお話しされる方がいらっしゃるのですが、我々はSNSなどで日々積極的に情報発信をしているので、「少なくとも我々の発信を見て、カルチャーを理解してきていますか」という目線合わせの確認をしています。事前のリサーチすらしないで面接に来る方も、意外と少なくないというのが現状でもあります。
単に生活のために働く「ライスワーカー」的な思考の方は、残念ながらうちのスピード感には合わないと明確にお伝えしています。我々は3期目、4期目と進むにつれて仕事内容もどんどんアップデートしていきますし、AIがさらに台頭してくると業務のあり方自体が根底から変わっていきます。そういう激動の環境の中で、単に「安定した事務仕事がいいから」「税理士事務所だから」という理由だけで来ると、変化に対応できずすぐに辞めてしまうと思います。
当社は、従来の税理士事務所という枠組みで自らを定義していません。会計・税務は提供価値の一部であり、本質はお客様が抱える経営課題を解決するBtoBの支援会社です。会計士業務、高度な融資コンサルティング、AIを活用したバックオフィスの再構築、M&A・組織再編、外部CFOとしての伴走まで、課題の所在に応じて必要な機能を組み合わせて提供しています。
「昔ながらの税理士事務所」という前提でご覧いただくと、当社の価値は正しく伝わりません。だからこそ、事前面談では当社の実態と目指す方向性を包み隠さずお話しし、相互に納得したうえでお付き合いを始めることを大切にしています。

プロフィール
税理士法人琉球会計 松茂良 昇
沖縄県出身。公認会計士・税理士。
EY新日本有限責任監査法人を経て、2023年に税理士法人琉球会計グループを設立し代表に就任。
設立4期で約25名のスタッフとともに県内約550事業者の会計・税務を支援する体制を構築し、M&A・組織再編・外部CFO業務を軸に企業の成長支援を手掛ける。関連会社として琉球会計ビジネスサポートを運営。
直近ではAIを活用したバックオフィスの効率化・体制構築の支援にも注力する。
「沖縄を起点に、挑戦を共にし、成長と安心を支え続ける」ことを理念に、地域企業の財務基盤強化に取り組む。

「登録する」をクリックすると、認証用メールが送信されます。メール内のリンクにアクセスし、登録が正式に完了します。

登録無料

売上アップの秘訣や事務所経営に役立つ情報が満載
税理士.chの最新記事をメールでお知らせ