事業承継・M&A補助金2026とは?制度の概要、補助率や上限額、利用の際の注意点など詳しく解説

事業承継・M&A補助金2026とは?制度の概要、補助率や上限額、利用の際の注意点など詳しく解説

「経営者の高齢化と後継者不在で会社を廃業せざるを得ない」「M&Aで他社を買収したいが仲介手数料やコンサル費用が高すぎて踏み切れない」こんな悩みを抱える中小企業者は依然として多くいます。

そしてこのような悩みの解決に役立つのが事業承継・M&A補助金です。2026年も2025年に引き続き、内容がよりアップデートされ、2026年5月22日に公表されました。本補助金は設備投資から専門家活用、統合費用、廃業費用まで様々な場面で活用でき、最大2,000万円まで補助が受けられます。

本記事においては、事業承継・M&A補助金2026について、その制度概要、補助額や補助率などの詳細、2025年版からの変更点、補助金を利用する際の注意点など詳しく解説します。

目次

事業承継・M&A補助金2026とは?

事業承継・M&A補助金2026は、中小企業が事業承継やM&Aを円滑に進めるために必要となる設備投資、専門家活用、PMI(統合プロセス)、さらには廃業・再チャレンジに伴う費用まで幅広く支援する制度です。

事業承継の準備段階から、M&Aの実行、そしてその後の統合・再スタートまでを一貫して支援する点が特徴で、中小企業庁が推進する「事業承継の加速化」「M&Aの活用促進」を具体的に後押しする補助金として位置づけられています。

補助率は 1/3〜2/3、補助上限額は最大2,000万円と比較的高額で、事業承継やM&Aに伴う実務的な負担を軽減する設計です。補助金は複数の枠で構成されているので、企業の状況や目的に応じて使い分けが可能になっています。

事業承継促進枠

親族や従業員への事業承継を予定する企業が、新たな設備投資を行う際に活用できる枠です。

事業承継前の設備更新は資金負担が大きく、後継者の事業運営を安定させるためにも重要であるため、この枠は承継準備段階の企業にとって使いやすくなっています。

専門家活用枠(買い手支援類型・売り手支援類型)

M&Aを進める際に必要となるFA(ファイナンシャルアドバイザー)や仲介業者への手数料、相談費用などを補助する枠です。M&Aは専門的な知識が不可欠であり、適切な専門家の支援を受けることが成功の鍵となるため、この枠は実務上の負担軽減に直結します。

専門家活用枠(買い手支援類型・100億企業特例)

売上高100億円をめざす成長企業向けに設定された特例枠です。大規模なM&Aを通じて事業拡大を図る企業が、専門家費用を補助対象として活用できます。

本枠は中堅企業の成長戦略を後押しするものとして位置づけられています。

専門家活用枠(小規模売り手支援類型)

小規模事業者が事業売却を検討する際に、仲介手数料や相談費用を補助する枠です。小規模事業者はM&Aに不慣れで、専門家費用が大きな障壁となるため、この枠は「小規模事業者の出口戦略」を支援する重要な役割を持っています。

廃業・再チャレンジ枠

事業承継やM&Aに伴い既存事業を廃業する場合、その廃業費用を補助する枠です。廃業は撤退コストが高く、事業者にとって心理的・経済的負担が大きいですが、この枠により「再チャレンジしやすい環境」を整えることが狙いとなっています。

PMI推進枠(PMI専門家活用類型)

M&A後の統合プロセス(PMI)を専門家に依頼する際のコンサル費用を補助する枠です。PMIはM&Aの成否を左右する重要工程であり、専門家の支援により統合を円滑に進めることができます。

PMI推進枠(事業統合投資類型)

M&A後のシナジー創出を目的とした設備投資を補助する枠です。買収後の事業統合に必要な設備更新や新規投資を支援し、M&A効果を最大化することを目的としています。

参照元:事業承継・M&A補助金 | 経済産業省・中小企業庁

事業承継・M&A補助金2026各枠の比較

事業承継・M&A補助金2026の各枠の主要ポイントをまとめると以下のようになります。

  • 目的の違い…事業承継/M&A実行/PMI/廃業支援
  • 補助率…1/3~2/3
  • 上限額…最大2,000万円(枠により変動)
  • 対象者…小規模~中堅企業まで幅広く対応

各枠の比較(一覧表)

事業承継・M&A補助金2026の各枠を目的、補助対象、補助率、上限額、主な対象者でまとめたのが以下の一覧表です。

参照元:事業承継・M&A補助金 | 経済産業省・中小企業庁

各枠の特徴

上記の一覧表を踏まえ、各枠の特徴を補助的により詳しく解説します。

1. 事業承継促進枠

  • 親族・従業員承継の準備段階で使いやすい
  • 老朽設備の更新や新規投資を補助
  • 承継前の「事業の磨上げ※」に最適

※事業の磨上げとは、既存事業をより儲かる形へ進化させるための改善プロセスのこと。すなわち、今ある事業の強みを研ぎ澄まし、弱みを減らして、収益性・効率・市場価値を高める取組を指します。

2. 専門家活用枠(買い手/売り手)

  • 仲介手数料・FA費用など、M&Aで最も負担が大きい部分を補助
  • 初めてM&Aに取り組む企業にとって実務負担を大幅に削減

3. 100億企業買い手特例枠

  • 中堅企業の成長戦略を支援
  • 大型M&Aの専門家費用を補助する珍しい枠

4. 小規模売り手支援類型

  • 小規模事業者向けに補助率が2/3と高い
  • 小規模店舗の事業売却を後押しする設計

5. 廃業・再チャレンジ枠

  • 廃業に伴う撤退コストを補助
  • 「撤退→再スタート」を支援する政策的枠

6. PMI推進枠(専門家活用/設備枠)

  • M&A後の統合(PMI)を支援
  • 総合コンサル費用+設備投資の両面を補助
  • M&A効果を最大化するための枠

事業承継・M&A補助金2025→2026への主な違い・変更点

本章では、事業承継・M&A補助金2026の2025年版からの主な違いや変更点を解説します。

枠構成の整理及び再編(2026)

2025年版では「事業承継支援型」「M&A支援型」「廃業支援型」「PMI支援型」など、やや複雑な分類でした。しかし2026年版では、活用目的別により明確な枠構成へ整理されています。

すなわち事業承継・M&A補助金2026では、「誰がどの場面で使うか」が一目で分かる構成に改善されているのです。

補助対象の表現がより明確化

2026年版では補助対象が以下の4つに分類されています。

  • 事業承継前の設備投資
  • M&A時の専門家費用
  • PMI(統合)に伴う専門家費用・設備投資
  • 廃業費用(再チャレンジ支援)

2025年度版では、「事業承継・M&Aに伴う一連の費用」など包括的な表現が多く、どの費用がどの枠で対象になるかが分かりにくいという課題がありました。

しかし2026年版では補助対象が明確に区分され、申請者が選びやすくなるよう改善されています。

中堅企業向けの成長支援(100億企業特例)が明確化

2025年版では中堅企業向けの記述はありましたが、特例として明確に枠化されたものではありませんでした。一方2026年版では「買い手支援類型(100億企業特例)」として独立枠が設けられ、中堅企業の大型M&Aを政策的に後押しする姿勢が明確化されています。

小規模事業者向け支援が強化

2026年版ではあらたに「小規模売り手支援類型(専門家活用枠)」が明確に独立して提示されています。2025年版でも小規模事業者は補助対象でしたが、2026年版では「小規模事業者向けの専用枠」として独立し、補助率も高め(2/3)に設定されています。

すなわち2026年版では、小規模店舗・個人事業主の事業売却をより後押しする設計に進化しているのです。

PMI(統合)支援がより細分化

2025年版では「PMI支援型」として一括りになっていましたが、2026年版では以下の2つに分類されています。

  • PMI専門家活用類型
  • PMI事業統合投資類型

すなわち2026年版では、M&A後の統合プロセスを「専門家支援」と「設備投資」に分けて補助できるようになっています。

実施スケジュール(変更なし)

事業承継・M&A補助金2026公式ページによると、実施スケジュールは以下のようになっています。

  • 公募要領公開日…2026/5/22
  • 申請受付期間…2026/6/19~2026/7/24

2025年もほぼ同時期(5月下旬~7月下旬)に実施されており、2026年もスケジュール感は継続性が確保されています。

事業承継・M&A補助金2026の利用上の注意点

前章で2025年版と比較して分かったように、2026年版は「申請者が枠の選択で迷わない構成」に内容がアップデートされた年といえます。

しかしその分、2026年版は枠が多くなっており、誤解しやすい点も増えているので、本章では申請者及び税務・会計業務等を通じて申請者と関わりを持つ関係者が、申請前に必ず確認しておくべき注意点を9点にまとめました。

以下参考にして下さい。

「どの枠を使うか」を間違えると不採択になる

2026年は利用できる枠が7つに細分化されています。(事業承継促進、専門家活用3種、小規模売り手、廃業、PMI2種)
そのため同じ費用でも枠によって補助対象・補助率・上限額等が異なっており、枠選択ミスは致命的になります。

正しい枠の選択例を挙げれば以下のようになります。

  • 仲介手数料→専門家活用枠
  • 設備投資→事業承継促進枠またはPMI事業統合投資類型
  • 廃業費用→廃業・再チャレンジ枠

費用本来の性質に合わせて適切な枠を選ぶことが重要です。

補助対象期間外の支出は一切認められない

本補助金は「交付決定後の支出」しか対象になりません。交付決定前に契約・発注・支払したその費用は全額対象外となりますので注意して下さい。

M&Aについてはスピード感が求められるため、「先に仲介契約を締結してしまった」「DD(デューデリジェンス)を早めに開始してしまった」などのミスが実際の現場では毎年多発しています。

しかしそれは補助金事務局には不採択の理由にしかならないので、くれぐれもルールを厳守する必要があります。

専門家費用は証憑の明確性が必須

M&A専門家に対する費用(FA・仲介手数料・相談費用)は補助対象ですが、契約書・見積書・請求書・業務内容の説明等が不十分だと不採択リスクが高くなります。

特に「成果報酬型の手数料」「着手金+成功報酬の複合型」「コンサル内容が抽象的な契約書」などには不採択を誘引する要素が含まれているので、極力、業務内容があいまい・不明瞭な契約は避けるべきでしょう。

整備投資は“事業承継・PMIとの関連性”が必須

設備投資は事業承継促進枠・PMI事業統合投資類型で補助対象となっていますが、「なぜその設備が承継・統合に必要なのか」を説明できないと不採択となるリスクが上がりますので注意が必要です。

たとえば「承継前の老朽設備更新」や「PMI後の統合に必要な設備」ならOKですが、「単なる事業拡大のための設備」だと限りなくNGとなる可能性が高くなります。

廃業費用は「再チャレンジ」が前提

廃業・再チャレンジ枠は、単なる撤退でなく、再スタートを前提とした廃業であることが必要です。

そのため以下のような項目だと補助対象になる費用として認められる可能性は高いです。

  • 原状回復
  • 在庫処分
  • 解体費用
  • 廃棄物処理

小規模売り手支援類型は“規模要件”に注意

小規模売り手支援類型は補助率が2/3と高く他の枠より魅力的ですが、申請者が小規模事業者の定義(従業員数・資本金)を満たさないと利用不可なので注意して下さい。

飲食業・小売業・サービス業などは比較的規模も小さく使いやすい枠ですが、製造業・建設業などは業者によって規模に差があり要件が厳しくなる場合もあります。

採択後の“実績報告”がかなり重荷

補助金は最終的に支給されれば資金的には楽になり便利ですが、一方で採択後の事務作業も多い点がデメリットです。たとえば採択後も事務局に対して複数年度に渡り以下のような事務作業が必要になります。

  • 証憑の提出
  • 事業報告
  • 専門家の活動報告
  • 設備の写真やその稼働状況の報告

これらの作業をM&Aの実務と並行して行うため、事務負担が大きい点に注意が必要です。

補助金は後払い(概算払い)

補助金は後払い方式です。そのため事業承継やM&Aで掛かった費用に対して、一度は全額を自己資金または借入で支払う必要があります。

資金繰りを誤ると、「採択されたのに支払ができない」という事態も起こり得ます。「補助金が入るので安心」と安易に考えず、十分事前の資金計画を立てた上で補助金の申請を行うようにして下さい。

“補助金ありきのM&A”は危険

補助金は支給が受けられたら経営的には便利ですが、あくまで補助に過ぎません。“補助金があるからM&Aをする”という意思決定は危険ですので十分に注意して下さい。

M&Aはあくまで事業の将来性・シナジー・財務状況等の項目を最優先にして判断すべきです。

まとめ

事業承継・M&A補助金2026について、制度概要、補助額や補助率、要件などの詳細、2025年版からの変更点、補助金を利用する際の注意点など詳しく解説しました。

補助金の申請には、事業計画の策定から実施後の報告まで多くのステップがあり、スムーズな対応には専門的な知識が必要になります。特に今回の補助金では複数の支援枠がより多く設定され、それぞれ要件や補助率等が異なるため、専門家の意見も取り入れて、自社に最適な支援枠を選択することがとても重要です。

本記事も参考に、自社に適切な支援枠を活用して、ぜひ事業承継及びM&Aを成功させて下さい。

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