医療・介護・障害福祉のトリプル改定<President’s Report vol.3>
株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広
(2024/1/18)
皆さまこんにちは、株式会社ビズアップ総研の代表取締役 吉岡高広です。
いつも弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
医療・介護・障害福祉の3分野では、2024年4月にトリプル改定が予定されています。
今回は、3分野の経営に大きな影響を与えるとされるトリプル改定について、濃い内容なので前・後半の2回に分けてお届けしたいと思います。
トリプル改定とは「医療・介護・障害福祉」の診療報酬が同時に改定されることで、医師や看護師らの人件費に当たる診療報酬本体は2年に1回、介護報酬・障害福祉サービス等報酬は3年に1回が行われることから、6年に1回実施されます。
トリプル改定の改定率を巡っては、厚生労働大臣が諮問機関の中央社会保険医療協議会と議論を重ねてきました。そのうえで、厚生労働大臣と財務大臣との閣僚折衝の結果、「医療・介護・障害福祉」の予算にあたるトリプル改定の改定率が2023年12月20日に確定しました。
厚労省の発表によると、トリプル改定の改定率は診療報酬本体がプラス0.88%、介護報酬がプラス1.59%、障害福祉サービス等報酬がプラス1.12%でした。
財務省は、保険料負担の引き上げによる国民負担増への懸念から「診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当」と主張していましたが、おおかたの予想に反していずれも前回改定を大きく上回る改定幅となりました。
つまり、医療従事者の実質的な賃上げが確定した模様です。医療現場の人手不足が叫ばれるなか、今回のトリプル改定は、医療従事者への救いの手となるものと考えられます。
トリプル改定で注目すべきは、診療報酬の改定だけではありません。
医療・介護・障害福祉の事業所に支払われる報酬額の算定基準の改定も、見逃せません。
医療・介護・障害福祉の診療報酬のうち、診療報酬本体にあたる2024年度診療報酬改定の基本方針では、「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」が基本的視点の重要課題に据えられています。
この基本的視点については、2022年度の前回改定でも掲げられ、これに従って地域医療体制確保加算や医師事務作業補助体制加算の要件と評価が見直されました。
24年度改定でも、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやICT(情報通信技術)の利活用の推進といった具体的方向性に基づき、前回改定に類似した技術・サービスの評価項目の改定が予想されます。
次回お届けする後半では、引き続き診療報酬に焦点を絞り、具体的方向性を掘り下げる形で、働き方改革関連法をはじめ、技術・サービスの評価項目に大きな影響を与えるとされるポイントについてお話しします。
当社の医療福祉向けe-JINZAI for medicalwelfareでも、診療報酬改定に関する最新情報をご用意いたしますので、ぜひご活用いただければと思います。
今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。