中小企業M&Aの現状について<President’s Report vol.10>

株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広

皆さまこんにちは、 
株式会社ビズアップ総研の代表取締役 吉岡高広です。

いつも弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
今回は、中小企業・小規模事業者の後継者不足や人手不足の打開策になりうる中小企業M&Aの現状についてお話したいと思います。

中小企業M&Aとは、後継者不在の企業や事業の存続・発展のためにM&A(合併と買収)により第三者へ承継する経営手法です。2025年までに、中小企業・小規模事業者の約半数が後継者不足に直面すると見込まれる中、近年はその需要が急速に高まっています。
事実、中小企業白書によれば、M&Aの件数は22年度に過去最多となる4,304件を記録しました。企業規模別の内訳は不明ですが、中小企業が日本の全企業数のうち99.7%を占めている現状を踏まえると、大半が中小企業M&Aだと推察されます。

国が設置する事業承継・引継ぎ支援センターの統計でも、第三者承継に関する成約件数が22年度、過去最多となる1,681件を記録し、中小企業M&Aが増えているのは明白です。
中小企業M&Aの増加には後継者問題が大きく影響していて、M&Aを選択した中小企業経営者の多くが、親族内承継や社内承継の目途が立たない中で廃業の危機を感じていました。そしてさらに、中小企業M&A増加の背景にあるのは、後継者問題だけではありません。M&Aをしやすい環境が整った結果、事業規模の拡大や経営の立て直しを図りたいという譲渡企業、譲受企業双方のニーズが合致しやすくなったことも要因の1つです。しかし、中小企業M&Aは推進を図るうえでは、さまざまな課題があります。

第一に挙げられるのが、「M&Aについての共感を得られない」という課題です。実際、譲渡企業側では「第三者への会社売却は恥ずべき事」という意見が散見されるほか、譲受企業側でも多くの企業がM&Aの障壁として「相手先、自社従業員などから理解を得られるか」という不安を挙げています。
また、名義株(本当の株主ではない人が名義だけ株主名簿に載せている状態の株式)や簿外債務の存在、株式分散も、円滑なM&A交渉を妨げる要因となっています。

このように中小企業M&Aを実現させるのは容易ではありません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで課題解消が可能です。
例えば、「M&Aについての共感を得られない」という課題に対しては、M&Aの目的・戦略を明確化し、株主総会や取締役会で公表することが有効です。
役員レベルでの承認を得た後は、労働組合や労働者代表にM&A方針を伝えると良いでしょう。会計上の問題に関しては、取引のサポートを担うM&Aアドバイザーに協力を求めるのが有効です。M&Aアドバイザーの主要プレイヤーは銀行や、税理士・会計士といった企業経営・会計に精通した専門家で、正確なデューデリジェンス(契約前に買収する側が売り手側の企業について、徹底的に調査すること)を通じて実務上の問題を解決してくれるでしょう。

当社のウェビナー(BizWebinar・ハイグレードセミナー)でも、中小企業のM&Aに関する最新情報をご用意していますので、ぜひご活用いただければと思います。

今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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